私は、中学生の時も虐められていたが、その頃の虐めは大したことはなく、小学生の頃と同じく、克服する為に努力する訳でもなかったし、三年生になると自然に収まり、虐めた側の者達は、仕返しを恐れて近づかなくなっていった。


高校に入ってからも虐めを受けたのだが、小・中学校の虐めと比較して、これは少々陰湿と言えるものだったかもしれない。
それは、強い者が数人で結託し、弱い者を一人ずつ呼び出し、自分達に服するように仕向けるという形だった。


ともすれば、暴力もいとわないという企みが見え見えで、放課後教室に呼び出されて席に着くと、教壇に2人が立ち、説教じみた言葉を投げ、相手が「分かった」と頭を下げるまで説教が続けられた。

事が終わって帰ろうとして、ふと後ろを見ると、もう一人後ろに居る。
計画的で用心深い連中である。


これに限らず、思春期の弱肉強食的な虐めを、他の同級生からも幾つか受けていた私はその後、ひたすら体を鍛えることに専念した。
特に腹筋は、1日500回。
それでももの足りず、寮の4人部屋の二段ベッドに、逆さまにぶら下がって腹筋が出来るようになっていった。


そんなことを続けて一年程で70㎏から60㎏にまで体重を落とし終えた頃、噂を聞きつけて、何人かの同級生が部屋を訪れた。


さんざん腹を集中的に触ったり、軽く叩いてみたりした後、器具の名前は知らないが、腕力を鍛えるためのもので、真ん中が強いスプリングで、両端が鉄パイプで出来たトレーニンググッズを二つ折りにして、片方の端を私の腹部に叩きつける行為を何度か繰り返して、それでも私が平気でいるのに驚いた様子をみせながら、部屋を出て行った。


それから虐めを受けることはなくなった。

暫くして、その中の一人が、自負の腕を試すかのように、冗談混じりに、寮の廊下で私に向かって来た事があったが、こちらも冗談混じりに、相手を抱え込み、開いていた近くの窓から落とす仕草をしたら、必死にもがいて私の腕から逃れ、口もきかずに逃げて行ってしまった。


ちょっとやり過ぎたようである。






友達が激減してしまった。