私はあまり裕福な家で育った訳ではないので、子供の頃はインスタントラーメンを食べることが多かった。
今でこそ、あらゆる味の物が出回っているが、当時豚骨味のインスタントラーメンはまだ無かったように記憶している。

そのせいか、たまに近所の食堂で食べる豚骨ラーメンは、極上のご馳走であり、豚骨ラーメン以外はラーメンではないような気持ちにさせられたものである。


それでも、自分の家で簡単に作れるインスタントラーメンもさほど嫌いではなく、親が居ない間に勝手に作って食べたりしていた。


そんな小学生の頃、学校であるアンケートが行われた。
そのアンケートの質問の中に、
「インスタントラーメンと本物のラーメンはどちらが美味しいと思いますか?」と言うものがあった。
その頃、科学調味料が人体に有害であるという問題が大人達の間で囁かれていたためであろう。
私は、
「インスタントラーメン」
と、アンケート用紙に記入した。

インスタントの豚骨ラーメンが無かったので、今までに食べたことのある他の味噌ラーメンや塩ラーメンと比較するしかなかったのだ。

その後アンケートの結果は、
「インスタントよりも本物の方が美味しい。」
と答え