週刊誌などが「アメリカは原発に関してもっと深刻な見方をしている!」的な記事を書くときに引用している、あるいはネットでも「日本政府を激烈批判」と話題になっているアンダーソン・クーパーの番組から。18日の放送分です。クーパー氏とCNNの医療担当特派員、サンジェイ・グプタ氏は20日まで、東京におり、背景からすると、新宿のどこかのビルの屋上から毎日生放送でニュースを送ってました。どうでもいいけど、クーパー氏、私と同じ年齢です。親近感あります、ええ。が、男の私が言うのもなんだけど、イケメン過ぎる!!!


アメリカでは、エミー賞も取っているすぐれたジャーナリストでありながら、ニュースキャスターという枠を超えて活躍しています。


「アメリカは日本人が知らない情報を知っているんじゃないか、」とかいう人たくさんいるみたいだけど、2人の話をよく聞いてみると…。



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COOPER:いろんな人たちが心配しているのは理解できます。私たちも、放射能について話を聞くときには、言ってみれば、学習中という感じなんですよ。それで、放射能っていうと、私たちは最悪の恐怖を思い起こしますよね。見えないし、においもしないし、知識もない。そういう恐怖があるんですよね。でも実際、情報を得れば[恐怖はなくなるんです]、そして、情報を得たから、私はできる限り長くここ(注:東京のこと)に滞在しようって決めたし、(グプタ氏に向かって)あなたもそうですよね。


GUPTA:そうです。何ていうかつまり、興味深いですよね、だって[放射能の危険に関しては]あらゆる種類の比ゆがあるんですよ。もちろん、放射能を受けるっていうのはいいことじゃないです。だれもそんなことは言わない。でもね、問題はどの程度悪いことなのか、ってことなんですよ。もし、私が今晩チーズバーガーを食べるつもりだと言ったとしたら、それって、必ずしも健康にいいことではないですよね。あるいはタバコを吸ったら、健康にはよくない。でも、それで死んでしまう、というわけでもない。これは比喩として正確ではないかもしれないけど、適切です。


これはいいことではない。が、私から見ると、みなさんが思い浮かべようとしているイメージは、最悪のシナリオのものですよね、そして、確実に[日本にいる]たいていの人にとって、それは当てはまらないんです。原発で今作業している人たちを除けばね。彼らは、はるかに高いレベル[の放射能]にさらされている。本当に心配です。


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これ、繰り返しますが18日放送分です。つまり、クーパー氏も、グプタ氏も、実際事故が起こってから必死になって放射能について学んでいて、その上で、東京で取材を続けても大丈夫っていう結論に達しているわけよ。(地方でも取材をしていますが)


クーパー氏が日本政府を強烈に批判しているのは本当です。それは情報が管理できていないこと、対応が遅いことに対する批判です。かなり激烈だけど、同じような批判をハリケーンカトリーナの時にはアメリカ政府に向かってしていたし、メキシコ湾の原油流失の時にはBPに向かってしていた。基本的に熱い男なのよ。


が、どういうわけか、一部の日本人は、①「アメリカの言ってることが正しいんだ」→②「アメリカ人は日本はやばいって言ってる」→③「やっぱ日本はやばいんだ」というもの凄く短絡的な思考経路になっている、という。日本政府への批判報道と、原発の危険度の報道がどこかでごっちゃになっている。どこの新聞だったか(USA TODAYだったかな?記憶あいまいだけど、)に国外脱出した日本人のコメントとして「英語を使えてよかった。日本の報道より正確な情報が手に入るから、こうして、脱出した方がいいって判断できました。」みたいなものが出ていたが、それって、日本のマスコミに踊らされる代わりに、アメリカのマスコミに踊らされているだけです。しかもおそらくはアメリカの報道の中身ではなく、その雰囲気に。


お気の毒さま。


一つ付け加えておくと、クーパー氏が「できる限り長くここに滞在する」と言いながら、急遽帰国したのは、リビア情勢の大きな変化のためだと思われます。残念ながら、というべきなのか、国際社会の関心は、中東情勢に移りつつあるようにみえます。


もう一つ付け加えておくと、グプタ氏も、すごく心の温かい報道をする人です。いい番組なんだよな、AC360°