3月14日ファイナンシャルタイムズOnlineの記事 

日本の原子力技術者たちが福島の原子炉のコントロールを取り戻そうとするなか、誰もが疑問に思っているのはこれはチェルノブイリ並みのものになりうるのか?ということだ。起こりうる最悪のケースはどんなものだろうか?

専門家が第一に強調するのは、たとえすべての封じ込めがうまくいかなかったとしても、実際には核爆発が起こることはありえない、ということだ。というのも、福島の燃料は完全に濃縮されたものではないのだ。

「核爆発もあり得るという示唆はすべて間違った論拠に基づいており科学的な事実に基づいていない。」イギリスマンチェスター大学ダルトン原子力研究所のリチャードウェイクフォードは言う。

最悪のシナリオ:壊滅的メルトダウン

原子力産業史上最悪の事故、1986年のソ連チェルノブイリの事故でさえ、核爆発ではない。炉心の暴走した核融合が温度と圧力を急速に上げ、強力ではあるが従来型の(=核爆発でない)爆発を誘発し、その結果高度の放射性物質を何千平方キロにもわたってまき散らした。

同じようなパターンの出来事は福島では起こりえない。というのも福島の沸騰水型の原子炉はまったく異なる設計で、チェルノブイリよりもはるかに強力な封じ込め能力がある。ソ連のRMBK原子炉は吹き飛んだ時でも電力を作っていた。一方日本の原子炉は地震が襲った時に停止している。


しかし、ウェールズのスワンジー大学の原子力危機専門家であるジョン・ギタスは現状では、現場の作業員の海水注入努力にもかかわらず、燃料棒がさらされたままであり、同じような放射性物質に関する災害が、福島の2号機で起こる可能性は1%ある、と見積もっている。

ギタス教授が言うには、最悪の場合、炉心の燃料棒が溶け、原子炉の圧力容器を破損させ、その周りのコンクリートと格納庫を破壊する。その後大量の放射性物質が放射されることになりうる。「その可能性はおよそ100分の1だ」彼は言う。「しかし、こうしたことが起こったら、数十人の人が被ばくして亡くなり、広大な地域が汚染されることになるだろう。」

中程度のシナリオ:封じ込めを確保

もし、封じ込めが確保されたままであれば、-そして、技術者たちがバルブとポンプ装置の問題を解決して、海水が2号機の燃料棒を覆っている状態を維持できれば、もっとも危ない段階は終わるだろう。

壊滅的なメルトダウンの危険が消えても、福島からの放射線物質の放出が終わるわけではない。燃料元素は莫大な熱をつくりつづけ、それゆえ冷却水の蒸発も続く。

原子炉の作業員は危険な圧力の上昇を防ぐために、この原子炉からの蒸気を逃さなければならない。そして、この3日間おこっているように、それは必然的に発電所外に放射性物質を放つことになる。この蒸気の排出は炉心が冷却される間、数週間から数か月は必要とされる。科学放射性物質は低レベルでも長期に放出されると、自然にあるものよりちょっと高いだけでー当局からどんなに保証を受けようと、多くの人を脅かし、福島に人を呼び戻すのは難しくなるだろう。


最上のシナリオ:急速な冷却

一部の専門家によれば、冷却はより急速にすすむこともある、そしてその場合、作業員は放射性物質の放出を数日で止めることができる。この際には、避難した人たちはさらなる被ばくの警告を予期せずに家にもどることができる。しかし当局は途方もない浄化と解体作業を行わなければならない。海水で浸したということで、原子炉は再利用できないほどに腐食しているだろうから。

http://www.ft.com/cms/s/0/32025c2a-4e6a-11e0-98eb-00144feab49a.html#axzz1GeyeA9Im