CAFE PANDA ── 本と音楽とマーケテイングと

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読書や音楽鑑賞、マーケテイングプランナーとしての仕事を通じて感じたことや思ったこと、気付いたことや学んだこと、そして嬉しかったり心動かされたことを、とりとめなく綴ります。

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猛烈な嵐が通り過ぎて、これからはようやく、一日一日、春めいてくるのでしょうか?春めくといえば、久しぶりのベースアップに踏み切る企業が出てきたり、街角景気も上向いたり、日本経済にも春の兆しというわけで、アベノミクスの成果を伝える報道が後を絶ちませんが、その一方で、お隣の韓国や中国との緊張関係を伝える報道も一向に減る気配がありません。特に昨年末の安倍首相の靖国参拝が大きな引き金になったことは誰もが知るところですが、この本は、この「靖国問題」にも目を開かせてくれました。

「世界は宗教で動いてる」橋爪大三郎
橋爪大三郎さんは、確か新書大賞にも輝いた大ヒット作「ふしぎなキリスト教」の共著者です。同書の面白さに味を占めて本書を手にしましたが、宗教と文明の成り立ち方の関わりを、わかりやすく、また面白く伝える著者の語り口に、またまた脱帽しました。

「ふしぎなキリスト教」は、表題通り、あくまでもキリスト教と西洋文明との関係がテーマでしたが、本書では、キリスト教に止まらず、イスラム教とイスラム文明、ヒンドゥー教とインド文明、中国文明と儒教や仏教の関わり、そして神道を中心とする日本人にとっての宗教…といった具合に、さまざまな宗教と文明の成り立ち方の関係を、対比的に紐解いていきます。そして、たとえばアメリカの個人主義や中国における現行の共産党体制などの背後にある、文化圏によって異なる人々の根本思想の違いと、そのさらに背後にある宗教上の教義の違いや神と人間の関係性などが次々と浮き彫りにされ、「なるほど」と腑に落ちることしきりです。

日本人にとっては実感しにくいかもしれないけれど、宗教の違いが、さまざまな文明を形作っている、あるいはその逆も真であり、確かに表題通り、世界は宗教で動いているという面もあるのだろうなぁ…と深く納得しました。そして、世界で起こっているさまざまな出来事に対するものの見方が1つ増えたようでもあり、少し嬉しかったりします(笑)

本書では、さまざまな宗教と文明の関係を取り上げながら、最後は、日本人と宗教との関わりの中で、国家神道の誕生や靖国神社創建の経緯などにふれています。これらの経緯には純粋に宗教的とはいえない多分に政策的な意図が絡み、さまざまな問題を孕んでいることが窺えます。本書は問題提起で締め括られていますが、僕たちは、安易なナショナリズムに陥ることなく、より深く学び、考えることが大切と感じました。

安易なナショナリズムといえば、今夜のニュースで、浦和レッズサポーターによる“JAPANESE ONLY”の垂れ幕を試合終了まで撤去しなかったことで、球団が重い処分に処せられたという報道がありました。「おもてなし」の心でオリンピック開催地に選ばれたこの国でです。とても残念な気持ちになりました。僕たちは、もっと世界とともに生きなければいけない…

こういった意味では、この本は、日本の片隅に暮らす僕にも、世界に目を向けさせてくれる、世界と日本の関わりについて考えさせてくれる、そんな楽しい読書体験でした。おすすめです。
我が家の周りにも再び雪が舞ったり、一向に春めいてくる気配はありませんが、早や3月。甥が大学に合格した報せが届いたり、わが社での会話にも「来期に向けて…」という枕詞が増えたりと、新年度がすぐそこまで来ていることを実感できるようになってきました。僕自身の身の回りの環境はもう何年も大きな変化はなく、今年も特になさそうですが、不思議とこの時期は、新しい年への期待や、新しい自分自身に対する意気込みで、何だかソワソワしがちです。大方は空回りで終わるのですが、こんな風に気持ちが前向きになる今の時期は、決して嫌いじゃありません。そして、こんな時期にうってつけの本に出会うことができました。

GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代/アダム・グラント

啓発本にありがちな何だか軽いタイトルだなぁ…と疑いの眼差しを向けつつ手に取ったところ、わが愛読書“スト競”の著者、楠木建さんの監訳とわかり、いきなり180度方針転換、これは買いでしょ!となった次第です。
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)/アダム グラント
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で、どんな本だったのか… 一言で言えばタイトル通りです。「情けは人のためならず」、「与える人」こそ成功する時代なんだ…と著者は説きます。こういってしまうと何だか身も蓋もないような話ですが、帯の楠木さんの言葉の通り、「世の“凡百のビジネス書”とは一線を画す一冊」なのです。言わずと知れた道徳倫理を蒸し返すような内容でなはく、これからの働き方、生き方に、力強いメッセージと具体的な指針を与えてくれる…僕にとってはそんな読書になりました。

著者は一流ビジネススクールで教鞭をとる、注目の組織心理学者。人のタイプを「ギバー」「テイカー」「マッチャー」に分け、「ギバー」が成功を手にする経緯を各界の「ギバー」への豊富な取材に基づいて紐解きます。また組織心理学的、あるいは社会学的アプローチによるさまざまな研究成果を交えて「ギバー」の意思決定の特性を洗い出し、ギバーの成功要因に対するより強固な裏付けを随所で提示していきます。こういった実証的なアプローチが、本書のメッセージをきわめて骨太なものにし、読者の心を動かす迫力をまとわせているように思います。

読み進めながら、まず気になってくるのは、自分は果たしてギバーなのかテイカーなのかマッチャーなのか‥という疑問。ギバーのように振る舞っていることもあれば、テイカーのように自分の利益に囚われていることも多々あるような…結局、ややどちらか寄りのマッチャーということになるのでしょうか…まあ正直よくわかりません。でも、読後には、もう少し意識的にギバーになっていきたいと思いました。そうすれば、仕事も人生も、もう少し豊かなものなるかも知れない。そんな気持ちに満たされました。

よろしければぜひご一読を。
首都圏に三度大雪か!?と不安が高まっていましたが、いい方に予想が外れ、事なきを得た週末でしたね。これでようやく異常気象にも別れを告げ、これからは着実に春めいていってくれればいいのですが…。二度の大雪は、僕が暮らす静岡県の東部地域の平野部を、おそらく何十年かぶりに雪国の景色に変えました。それだけに今年は、春を心待ちにする気持ちがひとしおだったりします。

春を待つ…といえば、作曲者の意図とは全く関係なく、僕にとって、勝手に「春の訪れを感じる」ための音楽があります。グリーグのピアノ協奏曲です。かれこれ30年以上!も前に、ロックと破れたジーンズをこよなく愛していた少年とクラシック音楽との出会いをとりもってくれた曲でもあります。(ここらへんのことは前回の記事に書きました。)

何かの記事では、後期ロマン派3大ピアノ協奏曲の一つ(残りはチャイコフスキーの1番とラフマニノフの2番だったような…)にも数えられていたほどの名作なので、専門的な解説は(無理なので)当然専門家に譲るとして、僕にとってどんな風に聞こえるかというと、いきなり印象的な、凛としたカデンツァから始まる第1楽章は、まだ雪深く、氷に閉ざされた山河です。第2楽章アダージョの優しいメロディは、雲間からようやく届いた早春の日差しの、ほのかな温もりのようです。そして第3楽章。主題に導かれて春の日差しがはっきりと大地を照らし始めると、川の水が流れ始め、大地の雪を溶かし、草花に再び生命を与えていきます。そして終結部では、大地一面に生命の彩があふれるのです。

グリーグが北欧ノルウェーの人で、「ノルウェー」=「寒い」=「みんな春を心待ちにしている」的な安直なイメージ連鎖が、僕にとってのこの曲のイメージを大きく左右していることは否めませんが、グリーグ特有の清涼感あふれるリリシズムが拍車をかけていることも確かです。

そして、心の琴線にふれる、まさにリリシズムあふれる演奏で「春の訪れ」を告げてくれるのが、ラドゥ・ルプーの演奏です。あるブログで紹介されていたルプー独奏/プレヴィン指揮/ロンドン響(1973年)は、僕にとって、目下のところこの曲の演奏のNo1です。本質的な音楽の表現からかけ離れたコンサートや録音を嫌った孤高の天才が奏でる、この1音1音の瑞々しさは何だろう…!?

この原稿を書きながら、今夜もこの曲を聴きました。不思議なものです。春はもうそこまでやって来ているように感じます。
グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲/プレヴィン(アンドレ),ロンドン交響楽団 ルプー(ラドゥ)
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