【実践編12】年次有給休暇1/3
●年次有給休暇
労働基準法第39条第1項・第5項・第6項・第8項・・・・A
●罰則
労働基準法第119条・・・・B
●不利益な取扱いの回避
同法附則第136条・・・・C
■重要度 = 中
A】 年次有給休暇
使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業した期間は、第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
B】 罰則
次の各号の1に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
(1)第39条(年次有給休暇)の規定に違反した者
C】 不利益な取扱いの回避 (実務上、要注意!3/3参照のこと)
使用者は、(労働基準法)第39条(年次有給休暇)第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
■ポイント
1、時季指定権
時季指定の効果は、使用者の適法な時季変更権の行使を解除条件として発生する。
⇒ 年次有給休暇の成立に、使用者の承諾を容れる余地はない。
2、取得理由(利用目的)
年次有給休暇の利用目的については、労働基準法の関知しないところ。つまり、休暇をどのように利用するかは、労働者の自由であり、使用者の干渉を許す余地がない。
※1、労働者は、有給休暇の取得理由を使用者に申告する義務がない。ただし、その取得が事業の正常な運営を妨げる場合において、その取得理由によっては時季変更権の行使を差控えるときは、使用者が取得理由を尋ねることは、社会通念として許される。
※2、申告した利用目的と異なる利用目的に有給休暇を使用したとしても、通常は、問題となることはない。しかし、ケースによっては、権利の濫用にあたるとして、有給休暇の取得が認められないこともある。
⇒ 使用者の時季変更権の行使を最初から無視してかかるような権利の行使は、法律の認めるとことではない。
有給休暇の取得が権利の濫用にあたるか?(例示)
① いっせい休暇闘争のための取得
⇒ あたる。
② 休暇中の労働者が他の事業場での争議行為に参加
⇒ あたらない。