民訴17年第2問 | 司法試験とバリスタ

民訴17年第2問


第 2 問
 甲は,A土地を所有していると主張して,A土地を占有している乙に対し,所有権に基づきA土地の明渡しを求める訴えを提起し,この

訴訟(以下「前訴」という。)の判決は,次のとおり,甲の請求認容又は甲の請求棄却で確定した。その後,次のような訴えが提起された

場合(以下,この訴訟を「後訴」という。),後訴において審理判断の対象となる事項は何か,各場合について答えよ。
 1  甲の請求を認容した前訴の判決が確定したが,その後も乙がA土地を明け渡さないため,甲は,再度,乙に対し,所有権に基づきA

土地の明渡しを求める訴えを提起した。
 2  甲の請求を認容した前訴の判決が確定し,その執行がされた後,乙は,自分こそがA土地の所有者であると主張して,甲に対し,所

有権に基づきA土地の明渡しを求める訴えを提起した。
 3  甲の請求を棄却した前訴の判決が確定した。その後,丙が乙からA土地の占有を譲り受けたため,甲は,丙に対し,所有権に基づき

A土地の明渡しを求める訴えを提起した。


小問1
(1では,既に執行力のある勝訴判決を得ている原告の再訴が訴えの利益を有するかどうかを踏まえて論ずべきである。)
1,訴訟物は同じである。既判力は及ぶ。114Ⅰ。積極的効力・消極的効力の意味。既判力の客観的範囲。既判力の時的限界。 
2,訴えの利益は?→原則ない。もっとも、例外あり、基準時以後の事情変更のみ。
 

小問2
(2では,前訴の訴訟物と後訴の訴訟物の関係を論じた上で,前訴の確定判決によって審理判断の対象が制限されるかどうか,制限される

場合にはいかなる理由によるかを論ずべきである)
1,訴訟物が違う。
2,既判力が及ぶか→主文にあらず、及ばない。本問は理由中の判断につき争い→信義則で処理→前訴の判断を前提に審理判断、基準時以

後の事情のみ
 

小問3
(3では,原告敗訴の事案であることを踏まえて,係争物の占有の承継と既判力の拡張の関係を論ずべきである。)
1,訴訟物は違う
2,既判力は当事者でないので及ばない(相対効の原則115Ⅰ①)→承継人まで及ぶか→115Ⅰ③にあたるか、その趣旨。→敗訴判決の潜脱防止。紛争解決の実効確保。→手続保障のフォロー→広く当事者適格を承継した者→既判力の生じた前訴の判断を争えず、基準時以後の事情の変更のみ
 
以上