2018年度 伊藤塾中間模試を全問検討する~民法・商法編~ | 思考と体系の館~行政書士・司法書士 合格応援ブログ~

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前回に引き続いて、今度は民法・商法編です。

例の如く、未受験の方は、受験を終えてからお読みになってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題27

過去問を軸に、未出を上手く混ぜている問題です。

今回は、94条2項類推適用が主なテーマでしたが、平成19年度のように典型的な問いかけではなく、応用的なものが多かったので、難しいと感じたかもしれません。「94条2項類推適用の要件 → 帰責性がないから認められない」という考え方で、5を×とすれば良い問題でした。他の選択肢も確実に判定したいですね。

 

問題28

1~3が基本です。4は、ちょっと気づきにくい問題だったかなと。「Bが、制限行為能力取消しを、Cに主張することができない。」みたいな問いかけだったらすぐに気づけるのですが、「Cの差押えは効力を失われない。」と問われると、何を聞かれているんだ?となってしまうかもしれません。

5は、民法の基本から考えるべき問題です。契約を取り消すのだから、契約の相手方に主張するのがスジです。

 

問題29

時効と登記の5つの命題+平成25年度の過去問知識で終わりという問題。

こういうのは、さらっと解けないとまずいですね。

 

問題30

ウが過去問知識ですから、かっちりと切ります。これで2・4のいずれか。

あとの知識は知らないので、現場で考えるしかないです。とはいえ、制度もあまり知らないと思いますから、価値判断で攻めるしかない。

アは、抵当権の順位を変更するというものです。Aの抵当権が後順位に落ちてしまうのですから、Dがとても起こりそうですよね。(Aの抵当権の価値が下がってしまうから。)ゆえに、Dの承諾がないのはまずいんじゃないか。という考え方で×。

エは、抵当権をDに譲渡するというものです。抵当権を誰かにあげたとしても、その優先弁済枠は変わりません。したがって、Cの優先弁済額に影響はない、と考えることができます。

これは、知らないとちょっと厳しいですね。落としてもしょうがないです。

 

 

問題31

1~3が過去問知識で判断できます。特に1なんかでブレてしまうのが一番まずい。

4は、価値判断的に考えても、過失相殺的に考えても、○にせざるを得ないという感じ。明確に知らなかったとしても、これが正解だと考える方が多そうです。5はちょっと細かい知識でしたね。

4・5で迷ってしまうが、価値判断をすると、4が正解という形でいけていれば、合格レベルです。

 

問題32

4以外は、見たことある知識ということで、一発判定クリア!という問題です。落としてはいけませんね。

4についても、債権者代位権の行使の相手方(C)は、Bに主張できたことをそのままAに対して主張できることが原則です。この基本的な理解があれば、×だと判断することは容易かと思います。

 

問題33

アの話が聞いたことないなというくらいで、他は基本の条文知識。こういうのを落とさないのが合格者ですね。

 

問題34

不法行為に関する問題ですが、こういう出題は厳しいですね。去年度もこのような出題がありましたが、正答率は40%を切っていましたので、取れなくても大丈夫だと思います。

もっとも、2・4が憲法的な知識で×、5が行政法的な知識で×と判断できますから、1・3の2択までは持っていけます(というか持っていかないといけない)。その意味では、去年度の本試験よりはやや易しめに作問されているかなと。

 

問題35

相続の中でも比較的有名なテーマなので、ある程度準備をしておく必要があります。

これを前提に検討していくと、全肢が基本知識として押さえておかないといけない問題です。

1は、「3か月」なので×。6か月も待ってくれません。

2は、そもそもなぜ「相続財産の目録」を家裁に出す必要があるのか。この趣旨を理解していれば、限定承認の時の話を混ぜていることに気づけると思います。(限定承認は、+と-の財産を算定する必要上、目録が必要不可欠と覚えておこう。)

3は、確かに一度決定したことの撤回はできませんが、強迫などがあれば話は別です。本問の中では、ちょっと細かい知識だったかなとは思います。

4は、有名な単純相続みなしの事案です。いや、それやった後に、「相続はしません!」って…矛盾した行動じゃないか。と思えればOKです。

5は、無用な混乱を招くことを避けるため、限定承認は「全員」でなす必要がある。という有名すぎる知識です。

この問題を落としてしまうのは、相当もったいない。家族法は範囲が比較的狭いですから、重要論点だけでも確認しておくべきでした。

 

問題36

仲立人と問屋に関する問題。相当余裕のある方しか学習できないテーマなので、落としてしまってもしょうがないです。考える方向性としては、まず、仲立人が旅行仲介業者、問屋が証券会社だと仮定しておきましょう。仲立人はあくまでも契約の仲介をするだけであり自分が契約の当事者になるわけではないこと。一方、問屋は自らが契約の当事者となり買付けなどを行うこと。

このことを前提に検討すると、1が正しく、2が誤りであることが分かります。(1は、そのまま。2は、契約の当事者ではない仲立人がお金をもらうことはできないだろうと考えて欲しい。)

一応、このテーマは未出なので、これを機会に押さえておくとよいと思います。

 

問題37

平成28年度の過去問をきちっとやっていれば、容易に解ける問題。

要は、どのような内容の種類株式を発行することができますか。会社の形態によっては発行できない内容の朱里株式はありますか。という素朴なことを聞いているに過ぎませんから、これを落とすわけにはいきません。最近の会社法は、このくらいの基本的なレベルを聞いてくれることが多いので、完全に捨てるのはもったいないです。

 

問題38

全体的に細かめのことを聞いているように見えますが、自己株式に株式無償割当ては無理ですよ、はいこれでおしまい。という問題です。他の知識も平成26年度に問われたような内容ですから、出来れば落としたくなかったです。

 

問題39

こちらもちょっと細かいことを聞いてきたな。という問題。

招集請求や招集通知は、会社形態によって微妙に変化しますので、これを機会にきっちりと整理しておくと良いと思います。株主総会は重要テーマの1つですから、ここまで詰める価値がありますね。今回は、出来ていなくても気にしなくて大丈夫です。

 

問題40

ここまで聞かれる試験ではないかな。という印象。

平成25年度本試験においても、譲渡制限株式の承認手続がかなり細かく問われましたが、正答率は低かったです。おそらく、平成25年度の本試験問題を、募集株式の発行という形でアレンジしたように思いますが、これはきついですね。

 

以上、民法・商法でした。

 

民法は、問題30、34を落として7問。これが基準で、ここから-1くらいは許されると思います。したがって、得点目標は、6問です。近年の本試験の傾向から考えると、比較的解きやすい年度に相当するレベルであると思います。

商法は、問題36、39、40を全問落としてしまっても、2問。ここは死守したいです。

 

ここでの得点目標は、合計8問。このくらいになりそうです。