ここ最近
シリーズでお伝えしてきた
「インナーチャイルドセラピー」体験ですが
クライマックスを迎えようとしています。
インナーチャイルドセラピーって
「幼い頃の自分を癒す」
っていうことなんですけど
実は催眠療法だったらしいです。
最初に説明されてましたけどね
ほぼほぼ聞いてなかったようです。
人って
傷ついた経験や
あまりにもしんどい記憶は
なかったことにしてしまったり
忘れてしまったりします。
もしくは
記憶が残っていたとしても
感情を忘れてしまっていたりしますね。
幼い頃に受けた傷は
忘れたようでも
常にそこにあります。
触れると痛いので
見ないように隠している。
だから不意に触れられると
心が過剰に反応して
しんどい思いをします。
でも自分では傷を認識していないので
なぜ反応してしまうのかわからない。
そうしてずっと傷ついたまま
痛い思いをごまかしながら
過ごしてきたのに
30代を過ぎたころから
同じような問題が起こって、
どんどんしんどくなってきます。
幼い頃に傷ついた自分は
今もまだ
あの頃の感情に縛られていたりします。
僕の幼い頃を
思い出してみると
兄貴と親父が取っ組み合いの喧嘩をして
それを止めようと泣き叫ぶ姉と
ただオロオロするだけの母。
そして
部屋の外で膝を抱えながら
ただただ恐怖に怯える自分。
あの頃の自分を癒すために
やってみようと始めたセラピーですが
最初はイメージの中の幼い自分に
声をかけることもできず
『助け出すことなんてできない』
そう思ってました。
声をかけても反応しない彼でしたが
回数を重ねるごとに
少しずつ反応するようになり
やがて
『助けて・・・』
と助けを求めるようになりました。
『彼を救ってあげたい』
そう思いながらも
僕が彼に触れてしまったら
僕自身が
彼の悲しみに取り込まれてしまいそうで
怖くて仕方なくて
彼を助け出すことができませんでした。
傷ついて助けを求める彼を見て
何もできない自分が
申し訳なくて不甲斐なくて
何とも言えない感情に押し潰されそうになり
涙が止まりませんでした。
そして、今回
傷ついた彼を助けるために
もう一度
彼が傷ついていたあの場所へ行くことにしました。
彼が傷ついていた情景を
できるだけ細かくイメージングするんですが
最初はカラーで動画だったのが
セピア色の静止画に変わり
今回、白黒の静止画へと変化していました。
それこそがセラピーが進んでいる証拠らしく
その時の傷や恐怖が変化していっている
と言うことらしいです。
意を決して
恐る恐る怯える膝を抱える彼に
もう一度声をかけてみたら
最初はやはり反応しないのですが
何度かトライしているうちに
彼はこっちを向いてくれました。
そして彼は
笑ってくれました。
『安全な場所を用意して
そこに彼を呼んでみましょう』
そう促されて
彼を誘うと
やはり動きはなかったのですが
『どこに行きたいの？
行きたいところはある？』
そう聞くと彼は
『君のそばに行きたい』
そう言って笑ってくれました。
僕が用意した安心安全な場所よりも
『君のそばにいたい』
と笑う彼を見ていると
僕自身が嬉しくてうるっときました。
悲しくて涙することはあっても
嬉しくて涙する経験なんてほぼないので
なんだかびっくりしてしまいました。
僕のそばまで来た彼を見ると
あんなにも彼に触れることを恐れていたのに
なぜか、恐怖を感じることなく
彼の手を取り
そして抱きしめることができました。
『ありがとう』
とうれしそうに笑う彼に対して
もう恐れも恐怖もありませんでした。
『幼い頃の自分と何がしたいですか？』
そう聞かれて
ふと思いついたのが
『ただ手をつないで散歩したい』
ということだった。
早速、彼の手を取って
黄色に輝く銀杏並木を歩いていると
とても満ち足りた暖かい気持ちになれました。
最後の仕上げとして
今まで彼がいた殺伐とした場所を
きれいにしようと戻ってみると
なぜかそこには膝を抱えた彼がいたのです。
『どういうこと？』
と混乱しましたが
よくあることらしく
記憶として戻っているような感じみたいでした。
でも
前と同じように膝を抱える彼を見ても
そこに既に恐怖はなく
ただの写真のようでした。
自分が受ける印象や感情が
明らかに変化しているということに
とても驚きました。
膝をかかえて恐怖に怯えていた小さい僕は
常に右側にイメージしていました。
つまり
イメージする時はいつも右を見てる感じです。
そこで
『左手に箱を作って
そこに恐怖だったそのイメージを入れて
蓋をしてしまいましょう。』
と言われたので
左手に箱をイメージして
右手に合ったイメージを箱へと移そうと
右を見たら
そこにもうすでにそのイメージがありませんでした。
探しても探してもどこにもなく
イメージを思い出すことができなくなっていました。
『そんなバカな…』
そうとまどいながら記憶をさかのぼると
確かに記憶にはあるんですが
それはもう別物の感じがするんです。
特に何も意味を持たないただの記憶。
僕がとまどっていたら
『今幼い頃の自分を見てどんな感じがしますか？』
と聞かれたので
イメージを銀杏並木に戻してみると
彼の姿はもうそこにはなく
あたたかい安心感だけがそこにはありました。
なぜいなくなったのかもわからないし
どこに行ったのかもわかりません。
ただ
うれしそうに笑っていた彼を思い起こしてみると
無邪気で元気でよく笑う
いつもそこら中走り回っているような
底抜けに明るい男の子
それが僕が彼に持つイメージです。
『その幼い自分を見るイメージこそが
飾ることのない自分』
だったのです。
なんとなく想像はしていたものの
ものすごく愛おしく感じた瞬間でした。
僕は母親をはじめ
たくさんの人たちからの影響受けて
いつの間にかそのままの自分でいることに
許可を出せなくなっていました。
誰かの力になれない
お金が稼げない
結婚できない
仕事ができない
自立してない
そんな自分はだめなんだと
自分にダメ出しばかりしていました。
セラピーを終えて
このなんともいえない
不思議な感覚で
『自分は自分のままでいい』
と思えている気がします。
こうして
インナーチャイルドセラピーは
ここで一旦終りました。
今は
ただ安心感と安堵感が
胸いっぱいに広がっているような気がします。
あんなに焦って
あんなに怯えて
反応しまくっていた僕の心は
落ち着き、平穏を感じています。
セラピーのゴールは
幼い頃の僕を癒して
今の自分と一体化することでした。
銀杏並木にイメージを戻したときに
僕の前から彼は消えてしまったので
僕の中に戻ってきたかどうかはわかりません。
ただ
今感じているこのあたたかさは
きっと
彼が自分の中に戻ってきたからだろう
と思っています。
変わりたいって思ってたけど
それは今の自分じゃない何かに
なることじゃなくて
自分を思い出すことなんだと思います。
FIN
⛩タケスィ
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