〝17年ゼミ〟のジンクスは破れた | 八丁堀のオッサン「同時代をポップに『切り裂く』」ブログ

〝17年ゼミ〟のジンクスは破れた

 

 あるジンクスにより、米大統領選はトランプ大統領の再選が再選するだろうと密かに思っていた人も少ないでしょう。

 北米大陸で「素数ゼミ」と呼ばれるセミが17年周期で大量発生する年は、共和党政権が続いていたからです。

 来年は、ちょうど〝17年ゼミ〟の年に当たります。

 振り返ると、〝17年ゼミ〟が現れる年の大統領は2004年がブッシュ、1987年がレーガン、1970年がニクソン、1953年がアイゼンハワーと、いずれも共和党の候補が政権を獲っています。

 一方、民主党の候補が大統領になったのは、1936年のルーズベルトまで遡らなくてはならなかったのです。

 ベトナム戦争をめぐって米国の国論が二分されていた1970年6月、一時〝反戦フォークのカリスマ〟に祭り上げられていたボブ・ディランがプリンストン大学から「名誉音楽博士号」を授与されています。

 ボブ・ディランは、セミの大合唱に包まれていたキャンパスでの授与式の様子を「DAY OF THE LOCUSTS(せみの鳴く日)」に書き残しています。

 今回の大統領選は、民主党のバイデン候補が大接戦を制し、〝17年ゼミ〟のジンクスを85年ぶりに破ったことになります。

 再選を目指す現職は有利とされていますが、米社会を分断し、民主主義を危機に陥らせる懸念を生じさせたトランプ大統領への〝抵抗感〟も強かったのでしょう。

 ただ、異色の大統領を生んだのも民主主義ですし、その大統領に退陣を迫るのも民主主義なのです。

 こうして政権交代があるからこそ、民主主義は機能するのです。