コロナ禍で詐欺が横行するニッポン | 八丁堀のオッサン「同時代をポップに『切り裂く』」ブログ

コロナ禍で詐欺が横行するニッポン

 

 M資金詐欺は、それなりに地位のある企業の経営者や実業家を主なターゲットにする詐欺として知られています。

 M資金とは戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本から財宝や資産を接収して隠していたという作り話で捏造された〝架空の資金〟のことです。

 M資金詐欺では、詐欺師が「今でもM資金の一部が極秘裏に資産運用されている」といった作り話を駆使して巧妙に詐欺を仕掛けていきます。

 その手口は、まず多額の資金を選ばれた企業や人物だけが融資を受けられるという自尊心をくすぐられるような触れ込みでターゲットに接近していきます。

 狙いは、仲介手数料として先に架空の融資金の数%を騙し取ることです。むろん、こうした話は最初から真っ赤な嘘で、詐欺師は仲介手数料を手にすると忽然と姿を消すという仕掛けです。

 これまでも名の通った大企業の幹部や芸能人などが用意周到な仕掛けと巧妙な話術によって、M資金詐欺に騙されてきました。

 今年6月、神奈川県警は詐欺の疑いで男性3人を逮捕しています。容疑は、旧日本軍の隠し財産を提供するという典型的なM資金詐欺でした。

 彼らは県内の会社役員に融資話を持ち掛け、手数料として現金1億3000万円を騙し取っていました。被害額は、総額で31億5000万円にもおよぶとみられています。

 令和の時代になってもM資金詐欺に引っかかるというのは、それだけコロナ禍で資金繰りに窮している企業が少なくないということでしょう。

 政府や自治体による支援金が行き渡るのに時間がかかる状況だからこそ、詐欺師は渡りに船とばかりに甘言を弄して経営資金に窮している経営者に近づいていくのです。

 バブル崩壊やリーマン・ショック、東日本大震災、コロナ禍など未曽有の経済危機は、詐欺師が暗躍する絶好の〝チャンス〟となります。

 なぜなら、社会的な動揺が大きいほど詐欺を仕掛けるには格好の道具立てとなるからです。

 一方、詐欺のターゲットにされる経営者にとって社会不安や先行きの不透明感は、目を曇らせてしまう舞台装置となってしまうのです。