月に住むというバニーガールは微笑んでいることを望みたい | 八丁堀のオッサン「同時代をポップに『切り裂く』」ブログ

月に住むというバニーガールは微笑んでいることを望みたい

 今年はアポロ11号のアームストロング船長、オルドリン飛行士が人類史上初めて月に足跡を残してから50年目に当たります。米国では、この偉業を描いた米映画「ファースト・マン」が公開され、アカデミー賞の有力候補となっています。

 米航空宇宙局(NASA)が公表した当時の交信記録には、こんな音声が残されています。

「OK。バニーガールを注意深く探すよ」

 これは、NSSAに「月には古代から美しい中国人女性と従者のウサギが住んでいる」という伝説を聞かされたオルドリン飛行士の返答です。

 この際、NASAが引用したのは「嫦娥 月に奔る」という中国の神話でした。嫦娥は、夫が持っていた不死の薬を盗み飲んで月の宮殿に逃げたと言い伝えられています。玉兎と呼ばれるウサギは、日本でもなじみの餅ではなく、薬を作ります。

 その名を船名に冠した中国の無人探査機「嫦娥4号」が、月の裏側への軟着陸に成功しました。切り離された探査車「玉兎2号」で、環境や地質を調べる予定です。これは、中国の宇宙技術を誇示する世界初の壮挙です。

 NASAのブライデンスタイン長官はツイッターで祝意を示す一方、次に月から発信される言葉は中国語という米学者の意見には疑問を呈しています。トランプ米大統領は、1972年以降途絶えた有人月面着陸を再開させる方針です。次も、月から発せられるのは英語というライバル心の表れでしょう。

 まさに今、IT(情報技術)や人工知能(AI)など次世代ハイテク覇権をめぐる米中の競争が宇宙にもおよんできたということです。科学技術だけならともかく、安全保障が絡むから厄介な米中の競争です。

 月に潜んでいるバニーガールには、米中双方に向かって微笑んでいることを望みたいものです。