2月11日に埼玉県の新人戦本選大会(中学の部)に行かせて頂きまして、あまりのレベルの高さに驚嘆いたしました…。
そして、埼玉県だけではなく、他の都県で新人戦を勝ち抜いた精鋭たちが集う「首都圏学校交歓演奏会」があるという。こりゃ、いかずばなるまいと思い立ち、有給を取った浦和のジジィです。本当は、前日の「中学校の部」も行きたかったのですが、2日間も仕事を休むわけにはいかず、泣く泣く「高等学校の部」へ足を運んだのでした。
2023年3月29日、水曜日。場所は、「さいたま市文化センター」。20年以上前、大宮、与野と合併する前は「浦和市文化センター」と呼ばれていたところです。なんとこのホール、私の自宅から自転車で行ける距離なんです。公益財団法人さいたま市文化振興事業団が運営するホールで、大小ふたつのホールがあり、今回、演奏会が開かれたのは、大ホールの「さくら草ホール」。座席数2006の大きな会場です。決して音響の良いホールではありませんが、毎年、夏のコンクールでは県大会等が開かれる場所で、埼玉県の吹奏楽を愛する者にとってはある意味、「埼玉の普門館」のような所でしょうか…笑笑
この日の「演奏会」が終わった時、会場の外は、雨が降っていました。私にとって、これは”うれし涙”になったのでした…
【審査員】渡邊 一毅 貝沼 拓実 中里 州宏 寺田 由美 加藤 直明 長生 淳 大井 剛史(審査委員長)
1.山梨県代表 山梨県立青洲高等学校(23名)
指揮者:飯田 梢
【課題曲】2017年度 Ⅱ
マーチ•シャイニング•ロード
作曲:木内 涼
【自由曲】序曲「バラの謝肉祭」
作曲:J.オリヴァドーティ
出版:東亜音楽社
コンクールの出演順1番って、大変です。観客が少なくて、響かない。そんな中、この団体は頑張ってくれました…。低音楽器は見たところ、チューバとバスクラしか、ない…?そのせいか、課題曲では、マーチ独特のリズム感が弱かったかも。もう少し、良い環境で演奏させてあげたかったなぁと思いました。
自由曲は、懐かしい曲です。私も何十年も前、中学生の頃に演奏したことがありますね。とても丁寧な演奏だと思いました。特に木管楽器が頑張っていましたね。フルートの音色などはとても美しかったです。改善の余地はありますが、心のこもった演奏でした。
[銅賞]23位
2.埼玉県代表 叡明高等学校(62名)
指揮者:中畑 裕太
【課題曲】2011年度 Ⅴ
「薔薇戦争」より 戦場にて
作曲:山口 哲人
【自由曲】歌劇「マノン•レスコー」より
作曲:G.プッチーニ 編曲:宍倉 晃
出版:ブレーン
「バラの謝肉祭」のあとに「薔薇戦争」とバラつながりです(笑)始まりの一音目から、都会的な洗練されたサウンドが会場に広がります…。個人の技術も高く、すごい演奏です。ただ、全体で演奏している時、多少、金管と木管の音量のバランスが悪く感じたのは、ホールのせいなのかも知れません…。
自由曲は、オペラの曲らしく、表現力豊かな演奏でした。メロディーを歌いあげていて、音もよく響いてます。何よりサウンドに厚みがあります。よく鍛えられているなぁと言う印象。音の処理の仕方も秀逸です。あえて言うならば、ソロパートがもっと表現力を駆使した演奏ができたら、私の好みだったかも。吉見中、青木中などを全国レベルまで押し上げた中畑先生。「高等学校の部」でも期待しています!
[銀賞]10位
3.埼玉県代表 埼玉県立越谷西高等学校(45名)
指揮者:上田 大倭
【課題曲】2018年度 Ⅳ
コンサート•マーチ「虹色の未来へ」
作曲:郷間 幹男
【自由曲】スピリティッド•アウェイ
《千と千尋の神隠し》より
作曲:久石 譲、木村 弓
編曲:森田 一浩
出版:ブレーン
課題曲、まず印象に残ったのは、低音のリズムセクション(特にtuba)が心地よいこと。他の金管も音色が華やかですね。全体的にバランスの取れた演奏です。残念だったのは、trioで聴かせどころの木管のメロディ楽器が淡白な演奏に聴こえてしまった事でした。
自由曲は、森田先生の素晴らしい編曲。私も大好きな曲です。映像音楽を情熱的に演奏していました。特に全体で合奏している時のサウンドがステキです。気持ちのこもった好感の持てる演奏でした。ただ、曲が進み異なる楽器でメロディを受け渡しで行く時、時折、流れが途切れてしまうように感じたのは私だけでしょうか?
[銅賞]19位
4.山梨県代表 日本航空高等学校(29名)
指揮者:千野 こころ
【課題曲】2002年度 Ⅰ
吹奏楽のためのラメント
作曲:高 昌帥
【自由曲】大いなる約束の大地〜チンギス•ハーン
作曲:鈴木 英史
出版:ブレーン
課題曲は、「ラメント」ですか、懐かしいですね。金管楽器が少ない割には、迫力があります。ただ、全体的に音が終わる時の処理の仕方が気になる時が…。明るくパワーのあるサウンドなので、個人的にマーチの方を聴きたかったかも…。
自由曲の冒頭のフルートソロ、とてもステキでした。細かいミスはありますが、表現力豊かです。頑張っているなぁと言う印象。この団体のサウンドと曲が実によくマッチしていて、とても良い。何かを音楽で訴えかけるような感じがしたのは、好印象でした。
[銅賞]21位
5.神奈川県代表 相模女子大学中学部•高等部(47名)
指揮者:関井 うらら
【課題曲】2001年度 Ⅰ
式典のための行進曲「栄光をたたえて」
作曲:内藤 淳一
【自由曲】ハリソンの夢
作曲:P.グレーアム
出版:Alfred
この学校は、校名の通り、中学校と高校の合同チームなんですね。7名の中学生。セーラー服が初々しいです。(高校生は、ブレザーで出演。)課題曲、この曲のイメージに合った重厚な音色です。はじめの方で少し、アンサンブルがバラけた感じがしたのが残念でした。きちんと揃ったサウンドで全体的に安定していましたが、単調に思えてところもありました。
自由曲は、難曲です。躍動感に満ち溢れていましたね。見事なテクニックです。(サックスのソロも素晴らしい!)熱演です。きっと、こういう曲が得意なんだろうなと思える演奏で生き生きしています。金管の音色が揃っていて聴きやすい。ロングトーンの部分で不安定に聴こえるところがあったのが唯一、残念に感じました…。
[銅賞]18位
6.石川県代表 遊学館高等学校(27名)
指揮者:大嶋 直樹
【課題曲】2013年度 Ⅲ
復興への序曲「夢の明日に」
作曲:岩井 直溥
【自由曲】バレエ音楽「アパラチアの春」
作曲:A.コープランド 編曲:森田 一浩
出版:ブージー&ホークス
とてもクリアなサウンドです。岩井先生の楽曲をリズム感よく演奏しています。楽器のバランスのせいか低音部が弱く感じるので、多少、バランス悪く聴こえたかもしれません。”楽しさ”が前面に出た課題曲でした。
自由曲。洗練されたサウンドです。コープランドの楽曲の持つ躍動感もよく表現できていると思いました。ピッチ等に不安定に感じるところも、わずかにありましたが、全般的に安心して聴けました。
[銀賞]15位
7.群馬県代表 前橋市立前橋高等学校(29名)
指揮者:稲毛 信哉
【課題曲】2011年 Ⅱ
天国の島
作曲:佐藤 博昭
【自由曲】マードックからの最後の手紙(2021年版)
作曲:樽屋 雅徳
出版:フォスターミュージック
前橋市立高校って、たしか10年以上前に少人数で全国大会に出場して話題になった学校ですよね?(間違っていたらゴメンナサイ。)課題曲は、「天国の島」、イイ曲です。とても”動き”を感じる演奏でした。さいたま市文化センターは、あまり響かないホールなので、メロディを歌い上げるパートは、”遠く”を意識して演奏するともっと良くなるかなと個人的に思いました…。
自由曲は、テーマのメロディを感情を込めて表現しているように感じました。とても良かったです。アイリッシュダンス風?のメロディのところは、もっと泥臭くやった方が私が好きなパターンでしたね。また、音の広がりを意識して演奏するともっと素晴らしかったかも知れません。
[銅賞]22位
8.石川県代表 金沢学院大学附属高等学校(87名)
指揮者:斉藤 忠直
【課題曲】1987年度 D
ムービング•オン
作曲:川上 哲夫
【自由曲】斐伊川に流るるクシナダ姫の涙(2022年版)
作曲:樽屋 雅徳
出版:フォスターミュージック
プログラムによると87名とのこと。実際にステージ上の様子を見てみると壮観です。これまでの団体と違ってセッティングに時間がかかっています笑 課題曲は、「ムービング•オン」ですか。実は、私、この曲、ものすごく好きなんです…。演奏が始まりました。人数は多いのですが、全然うるさくない。技量に劣る団体は、パワーに頼って聞きづらくなるものですが、この学校は、そんなところがない。サウンドがまろやかのせいでしょう。そして、スマートな演奏です。各個人の基礎的な部分のポテンシャルも高く感じます。ただ、合奏になった時、個人個人の音が噛み合っていない部分もあったかも知れません。
自由曲、前の団体同様、樽屋先生の作品です。ひとことで言うと”じょうず”です。効果的に練習したであろうことが演奏から感じ取れます。人数が多いのにアーティキュレーションが揃っていて乱れがない。音色が揃って聴こえると、もっと良くなるように思いました。
[銀賞]10位
9.東京都代表 岩倉高等学校(68名)
指揮者:大滝 実
【課題曲】1975年度 D
吹奏楽のためのシンフォニックポップスへの指標
作曲:河辺 浩市
【自由曲】「交響曲第1番」より 第4楽章
作曲:R.ジェイガー
出版:ウィンズスコア
言わずと知れた大滝先生の登場です。大滝先生が岩倉高校を指導されるようになってから初めて生演奏を聴かせていただきました。プログラムで岩倉高校の課題曲を見た瞬間、オオッと声を上げてしまいました。一般的には、河辺浩市〔公一〕作品と言えば、1974年度の課題曲B「高度な技術への指標」ですが、私は個人的にこの曲の方が圧倒的に好きです。何故なら「高度なー」の方は、いろいろなテイストの詰まった宝箱のような曲でしたが、こちらの曲はシックで大人っぽい感じがたまらなかった。最近はめっきり聴く機会もなくなり、残念に思った矢先のことでした。演奏を聴いて、まず思ったのが、楽器を吹くときの息のコントロールが揃っていて凄い!なんだかゾクゾクしましたね。メロディの歌い方もすばらしい。どちらかと言うとポップスと言うよりクラシックに近い感覚で聴けました。とてもよかった。
課題曲で感動していたら、自由曲でもっと驚いた。ジェイガーの「交響曲第1番」。懐かしすぎる!1970年度全国大会、天理高校の演奏で有名ではないでしょうか?(私が子供の頃は”関西の高校吹奏楽部”といったら、圧倒的に”天理高校”たった…)岩倉高校の演奏は、実に重厚できっちりとしたものでした。今まで抱いていたこの曲の印象とは(本音を言うと)、違う解釈の演奏と思えましたが、実にクラシック的な歌い上げ方でした。素晴らしかった。
大滝先生、これからも吹奏楽界を牽引していってください。
[金賞]6位
10.埼玉県代表 花咲徳栄高等学校(52名)
指揮者:川口 智子
【課題曲】2007年度 Ⅳ
マーチ「ブルースカイ」
作曲:高木 登古
【自由曲】ドラゴンの年(2017年版)
作曲:P.スパーク
出版:Studio Music
課題曲は、明るく軽やかなサウンドで素晴らしいです。音色が揃っていて、メロディがまるで1本の楽器で吹いているように聴こえます。技術的な面でも申し分なく、コンサートマーチのお手本のような演奏でした。
次は難しい自由曲です。しかし、そうとは感じさせないような自然な演奏です。各自の演奏者の音がきれいに解け合いよく響いています(特に金管楽器)。ものすごく丁寧に演奏しているのがわかります。多少、わずかなズレを感じるところもありましたが、それを打ち消してしまうほどの熱演でした。とても良かった!
[金賞]6位
11.東京都代表 駒澤大学高等学校(41名)
指揮者:田村 拓巳
【課題曲】2007年度 Ⅲ
憧れの街
作曲:南 俊明
【自由曲】シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」
作曲:福島 弘和
出版:ブレーン
私には、硬質のサウンドに感じられましたが、全体的に見事なまでに溶け合っていて素晴らしかった。マーチにあっている音色です。メロディのフレーズごとにつながりがあって、とても聴きやすかったです。そんな課題曲でした。
自由曲。前半のソロパート、楽器がかわるたびに受け継がれていく様が美しかった。この曲に合ったサウンド作りをしていて、課題曲の音色とはかなり違った雰囲気を出していた。とても素敵です。それと全員が同じ”間”で演奏しているのがすばらしい。大いに楽しめる演奏でした。強いて言うならば、”動”と”静”のコントラストが感じられれば、もっと良かったかなと思いました。余談ですが、私は、この学校の母体の大学の出身です(吹奏楽部ではありません笑笑。私が通っていた頃は、上埜孝先生が指導されており、K大学吹奏楽部の全盛期でした…)。だから、頑張ってほしいです…
[銀賞]9位
12.東京都代表 八王子学園八王子高等学校(81名)
指揮者:高梨 晃
【課題曲】1999年度 Ⅰ
マーチ・グリーン・フォレスト
作曲:内藤 淳一
【自由曲】吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より
Ⅰ.衝動 Ⅱ.情緒 Ⅲ.陽光
作曲:高 昌帥
出版:CAFUA
演奏開始直前、指揮者が客席に向かって、お辞儀をされた瞬間、「あっ、高梨先生だ…」と。
昨年、楽しみで欠かさず観ていた日テレ、笑ってコラえて『吹奏楽の旅』に出てらっしゃったので、何だか実際にお会いしたことがあるような錯覚におちいります…。
課題曲は、私が吹奏楽と言うものから離れていた時期の曲ですので、生で聴くのは、初めてだと思います。オーソドックスなマーチっていう感じです。tubaの低音の刻みがおそろしく心地よいです。全体的に軽快さを保ちながら、丁寧に演奏されていて、とても素晴らしく、好感の持てる演奏でした。さすがです。
次は、『吹奏楽の旅』で描かれていましたが、ゴトコフスキー「炎の詩」に自由曲として負けて?しまった高先生の人気曲「陽が昇るとき」。洗練されたサウンドで、技術的な面でも舌を巻く演奏でした。「II」のフルートソロ、とても良かった。全体的にメロディの歌い方が、ステキなので、思わず、感情移入してしまいそうなパフォーマンスです。上品な印象でこれはこれで完成しているのですが、私個人の好みとしては、もう少し泥臭さがあったらよかったかも。スケールの大きなドラマチックな演奏、会場も大いに盛り上がりました!
[金賞]6位
13.埼玉県代表 埼玉県立越谷南高等学校(76名)
指揮者:岡田 崇利
【課題曲】2012年度 Ⅳ
行進曲「希望の空」
作曲:和田 信
【自由曲】ピータールー序曲
作曲:M.アーノルド 編曲:近藤 久敦
出版:ブレーン
課題曲は、「希望の空」。私、個人的に好きなんですよねぇ、この曲。そして、その期待に違わない素敵な演奏でした。ホールのせいか、少し音が広がらない感じがしましたが、それを補って余りある軽快さと爽やかさが印象に残るとても良い演奏でした。
自由曲は、イギリス労働組合会議創立100年を記念し委嘱された楽曲。1868年、マルコム・奏に引き込むには十分なパフォーマンスでした。よかったです。
[銀賞]13位
14.埼玉県代表 星野高等学校(52名)
指揮者:中島 啓
【課題曲】1999年度 Ⅳ
行進曲「K点を越えて」
作曲:高橋 伸哉
【自由曲】エル・カミーノ・レアル
作曲:A.リード
出版:ハル・レナード
木管楽器は、深い音をしているのでメロディを奏でる時、とても効果的でした。その反面、メロディラインが目立つので伴奏パートが弱く感じ、バランスの点でどうかなと思ったのも事実です。しかし、全体的には、実に安定感のある演奏で楽しく聴けました。さすが、実力校の演奏と思わせる課題曲でした。
自由曲は、最近、取り上げられることの多い「エル・カミーノ・レアル」です。リードらしいのはもちろん、それ以上にリードを感じさせてくれる時間でした。そして、躍動感がありつつも、細かいところまで配慮の行き届いた演奏でした。今後の活躍にも期待します。
[銀賞]12位
15.神奈川県代表 三浦学苑高等学校(58名)
指揮者:畠山 崇
【課題曲】2003年度 Ⅳ
マーチ「ベスト・フレンド」
作曲:松浦 伸吾
【自由曲】吹奏楽のための神話
~天の岩屋戸の物語による
作曲:大栗 裕
出版:音楽之友社
前の学校が終わり、ステージ上ではセッティング中です。配置が真ん中にぎゅっと集まった感じ。なんだか面白い。
三浦学苑の課題曲は、実に聴きやすかった。ある意味、模範的な演奏といえます。あえて冒険をせず、安定的な表現をする。「勝ち」を意識しているように聴こえます。だから、いい意味であっという間に終わってしまいました…。
自由曲は、「神話」ですね。表現するのが難しい曲です。この学校の硬質なサウンドにとてもよく合っていて、私がこの曲を好きなせいもあるのですが、どんどん演奏にのめり込んでいきました。特にクラリネット群の技量が目立ちます。パンチが効いていて、大栗作品の雰囲気も良く出ています。そこで、ハタと思いつきました。課題曲をあっさりと演奏したのは、自由曲と対比させるためではなかったかと。もし、そうであるのならば、心憎い”演出”ですね…。最後に…、最近、聴く機会が少なくなってしまった大栗作品。もっともっと、色々な団体が取り上げてほしいものです。
[銀賞]13位
16.埼玉県代表 埼玉県立伊奈学園総合高等学校(76名)
指揮者:宇畑 知樹
【課題曲】1993年度 Ⅳ
マーチ・エイプリル・メイ
作曲:矢部 政男
【自由曲】マードックからの最後の手紙(2021年版)
作曲:樽屋 雅徳
出版:フォスターミュージック
さあ、待ってました、伊奈学園の登場です!今年は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょう!
マーチらしいメリハリを感じる課題曲です。柔らかいサウンドにうっとりしてしまいます…。その上でアクセントもしっかり効いていて、心地良い。実に格調高いマーチでした!
自由曲は、マードックです。以前から人気曲ではありましたが、近年、コンクールで玉名女子が取り上げて、いっそう演奏される機会が増えた?楽曲でしょうか。各楽器の音の溶け合う様が手に取るようにわかります。響きが実にノーブルです。その上、ソロパートの表現力が秀逸。音の伸びがすごい。ワタシ的には、非の打ち所がない演奏でした。今年の伊奈学園も期待出来そうです!
(今年は久しぶりに5/3の定期演奏会に行かせていただきます!)
[金賞]4位
17.群馬県代表 群馬県立太田東高等学校(17名)
指揮者:伴野 和章
【課題曲】1987年度 A
「風紋」
作曲:保科 洋
【自由曲】交響詩「海」より 第3楽章「風と海との対話」
作曲:C.ドッビュッシー 編曲:佐藤 博昭
出版:株式会社ミュージックエイト
プログラムを拝見すると、人数が17名。この前の伊奈学園が76名なので、ずいぶん少なく感じます。でも、演奏を聴いて、驚きました。人数の割には、よく音が出ています!”さい文”で、このくらい響かすことが出来れば、立派なものですよ。ただ、ひとつだけ…。この団体だったら、「風紋」よりマーチの方が効果的な課題曲となったのでは、と思いました。
自由曲は、ドビュッシーの「海」ですね。オジさんが若い頃は、コンクールで大変、流行ったのを思い出します。個人の技量がしっかりしているので、人数のわりにスケールの大きな演奏に感じました。少人数でこの曲を演奏するのに成功していましたね。ただ、高音の出る金管がいれば、もっと良かったかも知れません。
[銅賞]19位
18.山梨県代表 山梨県立韮崎高等学校(42名)
指揮者:仲田 太年
【課題曲】1994年度 Ⅲ
饗応夫人 太宰治作「饗応夫人」のための音楽
作曲:田村 文生
【自由曲】交響詩「海」より 第3楽章「風と海との対話」
作曲:C.ドッビュッシー 編曲:佐藤 正人
出版:ブレーン
韮崎高校の登場です。グリーンのジャケットが鮮やかですね。大会プログラムの学校紹介の欄を見ますとサッカーの中田英寿さんやノーベル賞の大村博士を輩出しているそうな。なんと大正11年創立の「文武両道」の伝統校です。
「饗応夫人」ですか。大曲に挑まれましたね。しっかりしたテクニックがないと“破綻”してしまう可能性がある難曲です。ある種の流れがあって、すごく、“整理”された演奏のように感じました。雰囲気もあって、楽しめました。ただ、あくまでも私の好みですが、太宰治の原作のように“苦悩”を感じることのできる“激しさ”を表現できれば、もっと良かったかも(標題音楽なので…)。
自由曲は、前の団体と同じ、「海」。「饗応夫人」の激しさから、印象派のキラキラとした音楽を演奏するのは切り替えが難しかったことと思います。でも、見事にやり切りましたね。ですが課題曲の熱演で少し、疲れましたかね…。そう思ったのは、私だけだったかも知れませんが…。
[銀賞]16位
19.東京都代表 東海大学付属高輪台高等学校(55名)
指揮者:畠田 貴生
【課題曲】2013年度 Ⅲ
復興への序曲「夢の明日へ」
作曲:岩井 直溥
【自由曲】森の贈り物
作曲:酒井 格
出版:de haske
個人的な話になりますが、ずいぶん前、高輪台の定期演奏会に行った時、ホール(ミューザ川崎)内に入った後、席に着く前にどこかでチケットを紛失してしまい、自分の席(指定席)が、わからなくなったことがありました。係員の方(おそらく高輪台OB)に相談したところ、迅速に代わりの席を用意して頂き感動したことを覚えています。そんなこともあり、私にとって、印象のいい団体です。
岩井先生の“最後”の課題曲、まるで高輪台のために作曲されたようですよね。高輪台の明るく、ゴージャスなサウンドには、ピッタリな「夢の明日へ」。そして、自由曲は酒井先生の「森の贈り物」。ある意味、対称的な2曲ですね。さすが、高輪台、どちらも”完璧”でした!文句のつけようがありません。素晴らしいのひとこと。では、なぜ、グランプリが取れなかったか?当たり前ですが、技術や表現力が劣っていたわけではありません。素人のオヤジなりに考えた結論、そこは、”選曲”かと。課題曲はよいのですが、自由曲は酒井先生が世界遺産「屋久島」の森をイメージして作られた曲。言わば、「ジブリ」の世界です。都会的で華麗な高輪台のサウンドとのほんのわずかな差異があったのでは?(個人的な見解です…)
なんて、言ってますが、高輪台はほんとにパーフェクトな演奏でした!!
(余談ですが、個人的にイチバン好きな「森の贈り物」の演奏は、2014年の全日本吹奏楽コンクール、玉名女子高校の演奏です。これは、歴史に残る名演だと思います!)
[金賞]3位
20.埼玉県代表 春日部共栄高等学校(62名)
指揮者:織戸 祥子
【課題曲】1976年度 D
ポップス描写曲「メインストリートで」
作曲:岩井 直溥
【自由曲】楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り
作曲:R.シュトラウス 編曲:中村 睦郎
出版:未出版
この学校の音楽に対する向き合い方がたまらなく好きで応援している団体です。コンクールでは、ないにしろ順位のつく、コンペティションですから、他人事ながら、少し緊張しますね…。
課題曲は、大昔の岩井先生の課題曲「メインストリートで」。ポップス系の課題曲は数々あれど、個人的にNO.1だと思う曲です。演奏が始まりました…。柔らかなサウンドの出だし。ポップスのいい意味での”軽さ”を見事に表現しています。共栄らしい繊細なサウンドがたまりません。最後のフルートソロ、ステキでした!会場も大盛り上がりのパフォーマンスを堪能しました!
自由曲は「サロメ」。物凄く、雰囲気のある演奏でした。王女サロメの妖艶さも見事に表現されていて感動ものです(オーボエソロ、ブラボー!)。何よりも、気迫がすごかった!鬼気迫るものがありました…。金賞を獲得した学校は、どこも素晴らしい演奏でほとんど差はないと思いますが、『気迫』においてはダントツ、No.1でした!そして、最優秀グランプリ、おめでとう!西関東3強だけではありません。菅生がいて、高輪台がいて、そして八王子がいる中のグランプリですから。素晴らしい!!今年こそは、“悲願”が達成されると信じて疑いません!
[金賞・最優秀グランプリ・埼玉県知事賞]1位
21.群馬県代表 群馬県立前橋東高等学校(43名)
指揮者:牧野 勇
【課題曲】2019年度 Ⅲ
行進曲「春」
作曲:福島 弘和
【自由曲】オルレアンの少女
作曲:天野 正道
出版:CAFUA
課題曲は、まだ、記憶に新しい福島先生の曲です。明るくて軽快なサウンド。一音、一音、しっかりと丁寧に演奏しているのがわかります。私は、専門的な音楽教育を受けているわけではありませんので、明確に申し上げることはできないのですが、この団体の”良さ”を出し切れた演奏だと思いました。
天野先生の作品「オルレアンの少女」は、2019年に文教大学の委嘱(桜ヶ丘学園吹奏楽部との共同委嘱)で作曲されました。「オルレアンの少女」と言えば、ジャンヌ•ダルクですね。題材が重たいですが、それに負けない厳かさを感じました。特に低音部がよく響いているのが効果的でした。細かいミスは、あったものの安心して聴ける自由曲でした。
[銅賞]17位
22.東京都代表 東海大学菅生高等学校(88名)
指揮者:加島 貞夫
【課題曲】1978年度 C
ポップス変奏曲「かぞえうた」
作曲:岩井 直溥
【自由曲】不朽の大樹
作曲:八木澤 教司
出版:未出版
課題曲、シブいですね。だいたい、ポップスと数え歌を合体させると言う岩井先生の発想が面白い。古い課題曲ですが、名曲です。
サウンドが豊かなので、ハーモニーが重厚に響く演奏でした。トランペットソロの表現力がすばらしい。80名以上の大所帯ながら、音色が揃っているので、ちっともうるさく感じない。情感あふれる演奏。思わず、「うまいねぇ。」
菅生が自由曲に選んだ「不朽の大樹」は、2020年に川口市•アンサンブルリベルテ吹奏楽団の創団40周年記念の委嘱作品として、八木澤教司先生の手により作曲されました。(私自身も2020年12月27日、川口総合文化センター『リリア』で行われた第58回アンサンブルリベルテ定期演奏会で初演を聴かせて頂きました。)私なりに簡単にまとめますと『家系図から思いを馳せる様々な苦難に立ち向かってきた人類の長い歴史』をテーマにした作品のように思います。2020年のコンクール中止を挟んで4回連続、全国大会金賞を成し遂げている菅生がこの壮大な曲をどう”料理”してくれるか、演奏前からとても楽しみにしていました。演奏が終わって、ため息が出ましたね…。完璧です。そして、スケールのデカいこと!もう細かい事は抜きにして、何も言うことありません。我が埼玉県勢にとって、”恐ろしい敵”は今年も健在です…。
[金賞]5位
23.埼玉県代表 埼玉栄高等学校(62名)
指揮者:奥 章
【課題曲】2019年度 Ⅲ
行進曲「春」
作曲:福島 弘和
【自由曲】「ムーラン」より
作曲:J.ゴールドスミス、M.ワイルダー、D.ジッペル
編曲:宍倉 晃
課題曲は、前橋東と同じですね。軽快でノーブルな出だし。同時に行進曲のリズム性も意識させてくれます。まるで小川のせせらぎのように、ゆっくりと音楽が流れていく様が見て取れます。なんと優雅な時間でしょう。とても素晴らしかった!
自由曲の「ムーラン」は、ディズニー映画の音楽です。埼玉栄のHPを見てみるとコーチである宍倉晃先生が新たに編曲されたようですね。映画音楽は、難しいと思うのですが見事なパフォーマンスでした。表現力の高さは、埼玉栄の伝統。今年もしっかりと守ってくれています。何よりもサウンドが柔らかい。サウンドだけだったら、全団体の中でイチバンだと私は、思いました!素晴らしい演奏を聴かせてくれて、感謝!!
[金賞・準グランプリ]2位
全23団体、すべて聴き終わりました。正直言って、疲れました。でも、心地よい疲れです。会場に訪れる前から大きく期待をしていました。でも、聴き終わってみて、それ以上の大満足でした!成績上位の学校は殆ど差がなく、どこがグランプリをとってもおかしくないと思いました。それが証拠に7名の審査員が最も良い成績をつけている団体は、各々、バラバラです(点数は、「埼玉吹奏楽コンクール新人戦」のHPで確認出来ます)。
このような時期の大会は、演奏の質の向上に大いに役立ちますね。夏のコンクールに向けての試金石にもなるような気がします。現在、首都圏の学校が中心となって開催されていますが、もっと地域を広げて大規模な大会になると良いですね。特に千葉県の学校が参加してくれるといいなぁ。(習志野とか柏、幕総もね…)
なお、このブログに載せられている文言は、私の個人的感想です。
決して、悪意を持って書かれているものではありません。
ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、素人のオヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。