陳寿『三国志』(100分 de 名著)/渡邉義浩
5月のテーマが三国志と言う事で、相変わらずブームに沸く我が家では、本書の元となる4回シリーズのTV番組を毎回楽しみに見ていた。
演義ではなく、正史の方の三国志を紐解くとあって、大変期待した。もともと史実7割と言われるだけあって、大筋では変わらないものの、史実と虚構とに跨がる相違は大変興味深いものがあった。
また、私は初めて知ったのだが、解説の先生が三国志研究家と言う事でその筋では有名な方らしく、独自の名士論などを軸に、この大変に魅力的な大陸の一時代を快刀乱麻に切り解いてゆくのは、大変に胸がすく思いだった。
すっかり番組と先生のファンになったので、早速番組テキストを購入。それが本書である。テキストで補強という、こういう手厚い構成というのはやはりNHKならではだなあと思う。まあ、テキストを購入するのはビジネス英会話以来なのだが。
内容は、番組で解説した大筋部分に補強を入れた展開が半分、それ以外の細かな解説がもう半分という感じ。大変読みでが有り、買って良かった。
黄巾党の掲げる口上の、蒼と黄色がどういう意味を持つのかとか、いろいろ為になる雑学も多く、筋金入りのマニアを除けば、概ね読んで楽しめるのではないだろうか。
先生は孔明のファンらしく、その語り口は他の回より明らかに熱を帯びて、彼の生涯の禍福を語る際の気の入りようは聞いているだけで胸を打つものがあった。あてられたのだろう。
しかし、伊集院は、いい加減三国志ぐらい読め。ゲームファンなら読むだけで絶対楽しめるし、ゲームプレイにも活かせるはず。
- 渡邉義浩
- 陳寿『三国志』(100分 de 名著)