1日3杯のコーヒーが人を健康にする!/安中千絵 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

1日3杯のコーヒーが人を健康にする!/安中千絵

高校生の頃からコーヒー党であったが、あまりこだわりは無かった。吟味した豆を煎って挽き、淹れ方の修練に血道を挙げるような趣味はなかったが、一時期、まだ近所の商業施設にコーヒー豆専門店が入っていた時代に、店主に無理言って生豆を買ったりした事もあった。確かに、それなりの風味は味わえたと思うが、感想の大半を占めたのは、やっぱり面倒だな、というもの。煎って惹いて淹れてで、コーヒー一杯淹れるのに半時間かかってしまう。
一方でインスタントなら、小さじ2杯をマグに入れ、水道水を注いで、レンジでチン。飲みたいな、と思ってから1分以内にはもう飲める。
まあ、たしかに味は違うだろうが、自分はあまりこだわる方では無かった。便利な方が良い。
以来、20年近くインスタント党だった。

妻は、ほとんどコーヒーを飲まなかった。カフェインがあまり良くないと思っていた事もある。たまに一緒に飲む事もあったが、それよりはインスタントコーヒーにゼラチンを入れて作ったコーヒーゼリーを食べる方が多かったろう。インスタントで作ってもそれなりに美味しいゼリーができる。

そんなある日、ふとコーヒーを飲もうと思い立った妻が、自分でインスタントを淹れてみて、そのあまりの不味さに愕然としたという。
こんな不味いものを飲んでいるのかと夫を不憫に思った彼女は、涙をこらえて早速ネットで安いドリップパックを探して注文したという。むろん、夫本人はそれなりに旨いと思って飲んでいるのだが…。
購入したのは、封を切って、カップに乗せて、お湯を注ぐと、すぐにドリップコーヒーが楽しめる、というよくあるタイプの商品である。

ところが、これがことのほか旨かった。あまり旨いので、妻も喜んで飲み始めた。しかも割合コスパが良い。1杯あたり20円程度だ。むろん、インスタントコーヒーの1杯約5円には負けるものの、味と手間を勘案しても、これはドリップの方が良いな、となるほどだ。

私がコーヒーに求めているのは、味と言うよりも、むしろ成分で、平たく言えばカフェインである。逆に、妻はむしろカフェインを避けていて、一時期紅茶にハマった事もあったがカフェインレスの麦茶に落ち着いたという経緯もある(カフェインよりもシュウ酸による結石の予防という目的の方が強いかも)。
ところが、このお手軽ドリップコーヒーを飲むようになったら、結構体調がよい事に気がついた。体調と言うよりむしろ気分だろうか。
そこで、毎朝一緒にコーヒーを飲むようにしたところ、これでもう1ヶ月ほどずっと非常に調子が良い。
すっかり我が家の朝の習慣になった。

そんなときに、妻が見つけてきたのがこの本。
コーヒーの有効性がいろいろと書かれている。この手の本なら当然の、トピック形式の平易で読みやすい文章などは当然だが、著者が研究者出身で、キチンとエビデンスを意識して書いているところがポイントだろう。その上で、よくある他の健康に良いと喧伝される食品とは異なり、コーヒーには特に明らかな効用のエビデンスが見つかる、とても珍しらしい食品であると結論づけている。
コーヒーの効用は大きく分けて、カフェインと、クロロゲン酸(ポリフェノールの一種)によるものが多いらしい。
よくあるインチキ健康食品本とは一線を画し、キチンと知的で良識ある書き方をしており、信頼に足ると思われる。ただ、その分、その手の本やテレビの喧伝になれた現代人にはインパクトは薄めに映るかも知れない。コーヒーのダイエット効果は1年で1kg!とか言われて、たったそれだけ?と思うような人には向かないだろう。

そうそう、先の映画を見ていたので、著者は昔タニタで栄養士をしていたとの経歴を巻末で読んで、この人か!と奇遇な縁を感じた。

安中千絵
1日3杯のコーヒーが人を健康にする!