右むけ、左! 青葉学園物語/吉本直志郎 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

右むけ、左! 青葉学園物語/吉本直志郎

小学生の時だったと思うのだが、好きで何度も読んだ本である。
存在をすっかり忘れる、と言う事は無く、これまでも折に触れ思い出してはいた。先日何かの拍子にふと検索結果に表れたこの本を見つけて、ぱあーっと一気に押し寄せた懐かしさに抗えず、そそくさと図書館で予約してしまった。

そんなに好きで何度も読んだはずなのに、空では大まかな設定と印象的なシーンのいくつかしか思い出せないし、ようやく借りて読み始めても、なかなかくっきり記憶が蘇るという事も無い。しかし、読み進めるうちに、じんわりと思い出したシーンなどもあり、ああそうだやっぱりこの本だ、懐かしいなという思いを満喫した。

終戦の年に原爆孤児施設として誕生した青葉学園は、設立から八年を経て、一般家庭からの児童受け入れの方が増えてきていた。そんな時代のお話である。広島近郊の山間の農業試験場跡地に建てられた各自治寮に数十人の子供達が暮らしていた。和彦、進、ボータンら腕白盛りの小学生を主人公に、とことんまで騒々しくて下品な笑いから、本人ですら忘れてしまった胸に秘めた寂しさ、そして淡い恋心まで、少年達の快活な日常が活き活きと描かれる。個人的には、学園の先生達や仲間達の庇護や助けがありながらも人間のどうしようもない弱さ哀しさがそのまま少年達に突きつけられるシーンや、少年特有の淡い恋愛感情の表現などが印象深かったし、今回読み返してもやはりそうした場面が良かったと思う。

妻にもお勧めしてみたが、読んだ印象は普通、との事だった。まあ、好みもあるし、何よりやはり、響く時期、というものもあるのだろう。
往時も、特に人気の本という風では無かったし、この本が好きだと級友が話しているのを聞いた覚えも無い。
が、雑誌か何かで、このシリーズが大好きで図工の時間に専用の本箱を作った、という投書を見かけて、当時同じ事を考えていた自分はビックリして、他にもファンがいるんだなと嬉しくなった事を覚えている。

早速2巻を予約しよう。学園はもうすぐ夏休み。とても楽しみである。

吉本直志郎
右むけ、左! 青葉学園物語