ナウなヤング/杉元伶一/水玉螢之丞 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

ナウなヤング/杉元伶一/水玉螢之丞

本書を図書館で借りようと思ったのは、もちろん、年末に水玉螢之丞の急な訃報を聞いたからだ。55才。肺がんだったという。
で、本書を読んだわけだが、あまり面白くなかった。
89年の新書である。わざとスカしたタイトルでも分かるように、現代若者考、それも、年長者は若者を理解しえない、という観点からの論考を共著者のポップな文体と、これまた、ポップな水玉のイラストでまとめた書籍である。本書でヤングとして取り上げられているのが、まさに私の世代だ。それももう40過ぎましたよ。著者にしたらもうすぐ還暦。そして没。光陰矢の如しか。

私が最初に水玉のイラストを見たのは、高校の頃、SFマガジンだったと思う。その後、94年頃に、単行本、「こんなもんいかがっすかぁ(上下)」を偶然購入して再会し、かなりファンになった。「こんなもん」は当時PC雑誌の連載で、台頭し始めていた「おたく」にスポットを当てたエンターテインメントの嚆矢だったのでは無いか。
PCを中心にアニメSF秋葉原という「濃ゆい」人々の生態を、数々の作品のパロディをちりばめて、ポップにスタイリッシュに描く作品には定評があった。毎回の個々のテーマを描きながらもベースでじわっとストーリーを流す方式は、一ジャンルを築いたと言っても過言ではないと思う。好きな作品に対する愛情のほとばしりはすさまじいモノがあったが、それがあくまで読者サービスとしてきちんと環流している表現テクニックは、職人の矜持と気迫を感じたものだ。個人的には、この本を読んでパソコン通信にぐっと傾注した懐かしい思い出がある。

で、大阪市立図書館で蔵書検索すると、SFマガジンと小説のイラストの仕事の他は、この本しか蔵書が無かったので、やむなく借りてみたのだった。

「こんなもん」、面白かったなあ。
手放してしまったが、また機会があれば入手したいと思う。


杉元伶一/水玉螢之丞
ナウなヤング