3DS/バッジとれ~るセンター/任天堂 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

3DS/バッジとれ~るセンター/任天堂

最近すっかり夢中である。

昨年末に、本体更新と共に突如として出現したこのソフト。
内容は、平たく言えば、ゲーセンのUFOキャッチャーを二次元1ボタンにした架空のゲーム機「バッジキャッチャー」で、バッジと称する、3DSのホーム画面を飾れるアイコンをゲットするべく挑戦するゲームだ。無料でDLできる。

一昨年の株主総会ぐらいから岩田社長が語っていた、任天堂のIPをもっと活用すべく様々な施策を検討している、という成果の一つであろう。
巨大看板のマリオを始め、どうぶつの森、ゼルダとファンなら思わず手が伸びるバッジが勢揃いだ。
昨年後半から、new3DSの「きせかえ」と連動して、ホーム画面の背景画像や色彩、BGM、クリック音などを自在に編集した「テーマ」を設定できるようになった訳であるが、現在百花繚乱の趣のあるこのテーマ機能と、そこにデコれるバッジの相性は抜群であると言えよう。
ただ、個人的には、あまりこうしたデコり系趣味は無いため、他のデコリストの投稿したホーム画面を見てニヤニヤするぐらいであるが。

しかし、このバッジキャッチャーが、単にゲームとしても、かなり面白いのだ。
これを、よくあるようなスマホのガチャにしなかったのは本当に偉いと思う。
実はこのソフトは課金型ゲームである。バッジキャッチャーは実際のお金でプレイするのだ。プレイ5回で90円である。
UFOキャッチャーを横から見たようなプレイ台内部に積まれたバッジの配置を眺め、Aボタンでクレーンを横に移動し、ボタンを放して止める。あとは、クレーンの腕が下がり、バッジを掴んで持ち上げ、取り出し口上部でアームが開いてバッジが落ちてくる、という寸法である。
難易度としては、かなりゆるゆるだと思う。
とくに滑る床系の台などで、上手い人なら1回で崩して全獲り、なども珍しくないだろう。下手な人でも、コツコツ1つずつ獲っていけばちゃんとコレクションできるようになっている。
また、店の隅には「練習台」というモノがあって、持ち帰れないニセバッジを使った本物を模した台で、1日1回練習ができるのである。さらに、この練習台で獲ったバッジには「当たり」が混じっており、当たりを引くと何と無料プレイ3回プレゼント。当たりは体感では、20~30個に1個ぐらいの印象だ。さらにさらに、当たりが出なくとも、ハズレバッジを10枚集める毎に無料プレイが1回もらえるのだ。さらにさらにさらに、100万DL記念や正月、新キャラバッジ投入などイベント時にもちょくちょく無料プレイがプレゼントされる。
この太っ腹設計はすごい。この無料プレイだけでも相当に遊べるし、相当にバッジを集める事ができるだろう。年末からこっち、必ず毎日プレイしている。
この、基本どんどん獲って欲しい、というスタンスはすがすがしく好印象だ。そして返って課金が増えると思われる。この設計が実に上手いのだ。
説明しよう。
バッジには、シリーズというモノがあって、自分が今どのシリーズのどのバッジを持っているかは、これらのバッジを素晴らしくデコレーションした専用のリスト画面でじっくりと眺める事ができる。コンプしたシリーズには星が付く。コレクターは言わずもがな、普通の人でもちょっと集めたくなる仕様だ。
で、気軽な無料プレイがたくさんあるので、しょっちゅうプレイしている内に、結構な数のバッジは自動的に取れてしまう。上のリストも歯抜け状態で埋まってゆく。バッジには膨大な種類があるので自分の好みのシリーズも出てくるだろう。例えば、ドット絵マリオのバッジは欲しい、ファミコンカセットシリーズはコンプしたい、などなど。
すると、上記の無料プレイをそうした「気になるシリーズ」に集中させてみる事になる。
UFOキャッチャーを想像してもらえば分かるように、台の中でバッジが積み重なっていると、それらを取得する順序、という戦略が必要になるだろう。基本的には上から横から、順に一つずつバッジを獲ってゆけば、最奥部のメインキャラのバッジを含め、必ず全部取れるようなゆるゆる設定になっている。
しかし、当たりの無料プレイ3回では、ちょっと心許ないのだ。もちろん1回で全獲りできる時もある。そして3回では崩しきれない取り切れない場合もある訳だ。雑魚を片付けてあとはメインのマリオだけなのに~と言うところでプレイ終了となってしまう。
しかし、続きは明日、とは行かないのは実際のゲーセンと同様なのだ。早朝4時の「掃除タイム」に、新旧台の入れ替えや、台状態のリセットが行われる。
つまり、次の日幸運にも無料プレイをゲットしたとしても、あのマリオを直接狙う事は、もうできないのだ。その台を最初からまた崩さねばならない。プレイヤーは、あと一息、マリオだけが横たわる台を前にこうした状況を痛いほど理解する。
ここで悪魔がささやく。まあ悪魔と言うには可愛い代物ではあるが。
「さあ、いま課金すれば、このマリオは確実にあなたの物ですよ」
ニンテンドーポイントのチャージさえあれば、ボタンを押すだけで即課金プレイ可能だ。この状況でこのマリオをスルーできるコレクターは少ないだろう。
しかも、1日2回分、180円のプレイで、日替わりのオリジナルテーマがプレゼントされるおまけ付きである。3DSのテーマショップでは通常100円200円でテーマを販売しているので、テーマを購入したと思えば安い物だ。おまけにバッジとプレイの楽しみまで付いてくるのだから。

このような構造であるので、残高があるとけっこう気軽に課金してしまうのだ。これまで数百円を費やした。
これがもし、トイカプセル自販機のようなよくある単なるガチャなら、絶対に課金していない自信がある。自分の手で自分でプレイして、ゲットできたできなかった、という課金に対する透明感納得感がもたらす効果は計り知れないと思われる。

多様性と希少性も十分、という点も見逃せない。
とにかくまだ1ヶ月そこそこだというのに膨大な種類のバッジがリリースされている。多分既に100や200ではきかない種類がリリースされているはずだ。しかしバッジと言っても単なる画像データなので作るのは簡単だろう。要はチョイスだ。シリーズのチョイス、キャラのチョイス、デザインのチョイス。
例えば、人気シリーズのどうぶつの森のこれまた超人気キャラしずえの、クリスマス限定のデザインバッジ。おなじみマリオの、しかも人気のドット絵タイプのさらに羽織袴を着た正月デザインバッジ。こんなモノがあったらファンはゲットする以外にどうしろというのだろう。しかも期間限定で、1週間そこそこで潔く消えてしまう。消えてしまったら、もう二度とゲットできないか、来期に再登場するという淡い期待にすがるしかない、と言う事は子供でも分かる。
そして、このシリーズチョイスが渋いのだ。
素人なら人気のマリオやポケモンをどんどん出しておけば売れるだろうと考えるだろう。もちろんそうしたチョイスも柱の一つだ。しかし、本当の課金層は、もっと違うものを求めるんだ、と言う事が、このソフトの企画者にはよく分かっているようだ。
まず出してきたのが、神トラ2の壁画ゼルダ。次に出たのが、なんとニッキーシリーズ。そして今回、リズ天キャラシリーズ。
興味が無い人には何のことか分からないだろうが、3DSを持っていて任天堂ファンで、そこそこ課金が自由になる年代で、コレクター気質のマニア気取りゲーマーを狙い撃ちするラインナップという事である。ピカチュウバッジには見向きもしないだろうマニアが、ニッキーの水着バッジに幾らつぎ込んだんだろうと考えると、実に興味深い。
今後も「濃い」ラインナップに期待できそうで胸が躍るのである。

最後に、バイトとの交流の楽しさがある。
このゲームは、架空のゲーセンを模した作りになっており、そこでプレイヤーを案内するのがピンクのウサギの「バイト」である。ちなみにバッジを作っているのは店長だ。店長はイワタという名前ではないかと噂されているな…。
で、このバイト、「っすよ~」が口癖という、任天堂得意のほんのりブラック系キャラで、実にマニアックなキャラ設定と味のある台詞で、多分ファンは多いだろうと思われる。
特に週一程度でやってくるイベント時には、題材にちなんだ濃い会話を楽しむ事ができる。台詞からゲームに関する深い経験と知識を伺う事ができ、そうした経験を共有できる層に対する受けの良さは想像に難くない。リズ天のレスラー会見が好きとか、バイトは結構趣味合うなあ~などと思ってしまう。
しかも、テキストを流すだけでは無く、応答を選択する事で会話の流れを複数用意したり、かなり凝った作りで交流感を盛り上げている。
ゲーム以外にも、一般オタク系の知識や話題も豊富で、テキストの作成にはかなり力量のある担当がしかも複数で付いているのでは無いかと想像する。日々のデコリストのホーム画面投稿を紹介するモードでも、1日1~数件ではあるが、ピックアップした投稿に対して、ゲームを中心にコミックなどのオタ界隈の実に濃いコメントが付いており、結構ニヤニヤできるだろう。


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