任天堂QOL新事業第1弾健康「睡眠と疲労の見える化」について
今年初頭に発表があった、娯楽の定義を拡大し人々のQOLを楽しく向上させる新規事業、についての続報が、先日の経営方針説明会にて発表された。
それによると、海外の医療機器メーカと組んで、「睡眠と疲労の見える化」を行うという。詳細は公式を拝見されたいが、簡単にまとめると、具体的には、手間いらずの「QOLセンサー」をベッドサイドに置くだけで、自動的に睡眠のデータを計測収集し、クラウドへ送信・分析し、QOL改善のためのフィードバックを行う、というものだ。人々がこのQOL向上サイクルに安易に取り組め、かつ継続できるように、娯楽企業として長年培ったノウハウを投入するという。
まだ、概要だけの話なので、これだけの材料で当該事業の成否を占うという事は難しいだろう。
きっと、キーとなる部分はまだ公表されていないだろう。
しかし、既報から少々考えてみるのもまた一興である。
まず、正月の岩田社長は、娯楽を拡大し、新規事業として取り組むという事を言っていた。つまり、これは既存のビデオゲーム事業とは一線を画する物であり、もちろんWiiUなど自社製品との連動は有益だし当然考えてくるだろうが、あくまで、ゲームとは別のマーケットを開発する、という目的であろう。だから、ゲーム性やゲーム色の濃淡で内容を評価すべきではない。
また、社長は、スマホに象徴される壮絶なゲーム市場のレッドオーシャン化にはかねてより警鐘を鳴らしており、それゆえゲーム以外のブルーオーシャン事業への進出という意図を強調してもいた。
しかし、こと睡眠計やそのデジタルデバイスとの連携商品となると、すでに製品が多種存在している。もちろん、任天堂がそのようなリサーチを怠るはずは無い。つまり、社長のいうブルーオーシャンとは、潜在需要を見越した上で自社製品による差別化と掘り起こしに絶大な自信があるという事を意味しているか、もしくは、既存の睡眠計とは全く質的に異なる程の性能・サービスを持った新種の製品と呼べる何物かを投入する、という意味になるだろう。個人的には、後者を期待したい。
さて、QOL向上、睡眠と疲労を見える化する、と言われても、それが果たしてどう役に立つのだろうか。
例えば、QOLセンサーを使い大変簡便に睡眠の質と時間を計測できたとして、「健康のためには7時間の睡眠が必要です。あなたは毎日5時間しか睡眠できていません。もっと寝ましょう」とフィードバックアドバイスを受けたとしても、多忙を極める主婦やサラリーマンが、はいそうですねと簡単に睡眠時間を増やせるはずも無い。今時はもう言わないかも知れないが、四当五落で頑張っている受験生にも、むなしい警告に過ぎないだろう。センサーを使うまでも無く、自分が睡眠不足かどうかなんて誰でも分かっている。寝られるなら寝てるわけで、実際寝る時間が無いから寝てないのである。運動をしようと思う時間はあっても、ついついサボりがちになる運動をWiiFitでサポートする、という構造とは、ここが大いに異なるのだ。
QOL向上というなら、フィードバックに基づくアクションが絶対に必要だが、そのアクションを実行することは、それが人々のライフサイクルの根幹にかかわっているため、かなり困難を伴うのである。したがって、この任天堂の新事業サービスが有用なのは、ごく限定的な人々に過ぎないのでは無いか…。
と、既存睡眠計との類推で表面的に判断すると、こうしたあまり感触の良くない感想を持つだろう。
しかし、私は、任天堂の「睡眠と疲労の見える化」には、大いに期待している。
私は2011年からスリープトラッカーという睡眠計を使用している。その経験から思うところを書こう。
まず、いくら睡眠計で睡眠を計測したところで、それだけでは何もならない、と言う事である。
何時間寝た、睡眠の質はどうだった、と分かったところで、だからどうした、となる。人が求めるのは、今日の夜の睡眠の質が向上し、明日の目覚めがすっきりとて、一日を快適に過ごせる為の改善案なのである。
睡眠とは、時間を取ればそれで良いという単純な物では無い。5時間なら不足だが、8時間寝れば十分、で済む話ではないのである。質の悪い8時間の睡眠より、質の高い4時間半の睡眠の方が、段違いに効果的であることは自身の経験からも間違いないと思われる。睡眠時間を増やせと言っても簡単にできることでは無いが、限られた睡眠の質を向上する工夫なら、いくらでも行う余地があるだろう。
だが、そのために、睡眠の質を上げるためには、「今日、今、具体的にどうすれば良いのか」を教えてくれる既存の製品は、(多分)存在しない。
上記のスリープトラッカーのエントリでも書いているが、大事なのは計測記録では無いのである。いくらアプリでスマート連携とか見目の良いグラフ化とかやっても、そんな物には何の価値も無いのだ。
大事なのは、睡眠の質に影響する生活因子を特定し、質を向上する因子を増やし、質を下げる因子を減らすことだ。これに必要なのは地道な記録であるが、上記のスリープトラッカーの付属ソフトも全くこの点には注力していない。
オムロンの類似商品には、月額300円で、ぐっすり眠れるようになる生活習慣改善のサポートサービスがあるが、一般的な改善項目と実施のフィードバックサポートに過ぎないようだ。
しかし、事、睡眠や疲労など、健康に関することは、非常に個人差が大きい。睡眠の質の改善に、本当に影響するポイントを的確に分析するのは、家庭用機器では限界があるだろう。
そこで、クラウドでデータを処理するメリットが出てくるわけである。多数のサンプルデータを強力なリソースで分析することにより、より精度の高い予測が立てられる可能性がある。
最近の自身の経験でも、面白いことがあった。
上にも書いたようにずっと4時間半睡眠法を行ってきた。1時半に寝て、6時に起きるわけであるが、これはちょっと中止することになった。一人早く床に入る妻が、寝付けない場合には非常に寂しい思いをするという事と、時々眠そうにしている私を見るとイラッと来るという事があり、4時間半は禁止になったのだ。よって、現在は12時就寝6時起床である。そして、もしどうしても早起きしたいのなら、6時より早く起きれば良い、と言う事になる。しかしアラーム等を使って無理に起きるのは睡眠妨害になって不健康である。もし4時間半睡眠で充足しているのなら、自然に早く目が覚めるはずだ。このように、現在では、スリープトラッカーはあくまで6時にセットし、それより早く起きたい場合には睡眠の質を改善して自然と早起きしようと挑戦している。
するとどうなるか。
睡眠の質が悪いと、6時の妻の目覚ましまで寝込んでしまう。睡眠が普通だと、5時半~6時の間で、スリープトラッカーにて起床する。睡眠の質が良く十分だと、4時半~5時頃に目が覚める、という感じになる。
では、睡眠の質を改善するポイントは何か?数ヶ月いろいろと探ってみたところ、最も顕著な効果を発揮したのは、食事であった。
まず、食べ過ぎると、てきめんにアウトである。とくに昼頃からおやつ、夕食と、炭水化物を多く摂ると起床時間にかなり影響がある。
そして、咀嚼である。十分に咀嚼して食べると、睡眠時間が少なくて済むようだ。
夕食の炭水化物を少なくし、かつ、これでもか!と言うぐらいに噛んで食べると、翌朝は、かなりすっきりスムーズに早く目が覚める場合が多い。
人間も所詮生物だという事が身に浸みた。普段我々は、まるで脳や精神が主体のように振る舞っているが、何のことはない、大事なのは消化器官なのだ。食べる、という生命の基本が、人間にも最重要なことなのである。
主役たる脳に、脳を活かす付属器官が付いているのでは無い。
主役たる胃腸に、胃腸を守るための脳や手足が付いているのが人間なのである。
少なめの食事を、一口毎に箸を置いて、1分噛んで、飲み込む、という食べ方をすると、翌朝の目覚めはかなり期待できる。しかし、さすがにそこまでは難しいのも現実だ。しかも、私は元来、早食いで、ほとんど噛まずに飲み込むようなタイプだったからなおさらだ。ついつい、あまり噛まずに食べてしまい、分かっていても中々良く噛んで食べることを実践できないでいる。
この辺りの事情は、また別途まとめて報告しよう。
ともかく、任天堂が睡眠と疲労の改善に乗り出して来るというなら、期待して待ちたいと思う。
それによると、海外の医療機器メーカと組んで、「睡眠と疲労の見える化」を行うという。詳細は公式を拝見されたいが、簡単にまとめると、具体的には、手間いらずの「QOLセンサー」をベッドサイドに置くだけで、自動的に睡眠のデータを計測収集し、クラウドへ送信・分析し、QOL改善のためのフィードバックを行う、というものだ。人々がこのQOL向上サイクルに安易に取り組め、かつ継続できるように、娯楽企業として長年培ったノウハウを投入するという。
まだ、概要だけの話なので、これだけの材料で当該事業の成否を占うという事は難しいだろう。
きっと、キーとなる部分はまだ公表されていないだろう。
しかし、既報から少々考えてみるのもまた一興である。
まず、正月の岩田社長は、娯楽を拡大し、新規事業として取り組むという事を言っていた。つまり、これは既存のビデオゲーム事業とは一線を画する物であり、もちろんWiiUなど自社製品との連動は有益だし当然考えてくるだろうが、あくまで、ゲームとは別のマーケットを開発する、という目的であろう。だから、ゲーム性やゲーム色の濃淡で内容を評価すべきではない。
また、社長は、スマホに象徴される壮絶なゲーム市場のレッドオーシャン化にはかねてより警鐘を鳴らしており、それゆえゲーム以外のブルーオーシャン事業への進出という意図を強調してもいた。
しかし、こと睡眠計やそのデジタルデバイスとの連携商品となると、すでに製品が多種存在している。もちろん、任天堂がそのようなリサーチを怠るはずは無い。つまり、社長のいうブルーオーシャンとは、潜在需要を見越した上で自社製品による差別化と掘り起こしに絶大な自信があるという事を意味しているか、もしくは、既存の睡眠計とは全く質的に異なる程の性能・サービスを持った新種の製品と呼べる何物かを投入する、という意味になるだろう。個人的には、後者を期待したい。
さて、QOL向上、睡眠と疲労を見える化する、と言われても、それが果たしてどう役に立つのだろうか。
例えば、QOLセンサーを使い大変簡便に睡眠の質と時間を計測できたとして、「健康のためには7時間の睡眠が必要です。あなたは毎日5時間しか睡眠できていません。もっと寝ましょう」とフィードバックアドバイスを受けたとしても、多忙を極める主婦やサラリーマンが、はいそうですねと簡単に睡眠時間を増やせるはずも無い。今時はもう言わないかも知れないが、四当五落で頑張っている受験生にも、むなしい警告に過ぎないだろう。センサーを使うまでも無く、自分が睡眠不足かどうかなんて誰でも分かっている。寝られるなら寝てるわけで、実際寝る時間が無いから寝てないのである。運動をしようと思う時間はあっても、ついついサボりがちになる運動をWiiFitでサポートする、という構造とは、ここが大いに異なるのだ。
QOL向上というなら、フィードバックに基づくアクションが絶対に必要だが、そのアクションを実行することは、それが人々のライフサイクルの根幹にかかわっているため、かなり困難を伴うのである。したがって、この任天堂の新事業サービスが有用なのは、ごく限定的な人々に過ぎないのでは無いか…。
と、既存睡眠計との類推で表面的に判断すると、こうしたあまり感触の良くない感想を持つだろう。
しかし、私は、任天堂の「睡眠と疲労の見える化」には、大いに期待している。
私は2011年からスリープトラッカーという睡眠計を使用している。その経験から思うところを書こう。
まず、いくら睡眠計で睡眠を計測したところで、それだけでは何もならない、と言う事である。
何時間寝た、睡眠の質はどうだった、と分かったところで、だからどうした、となる。人が求めるのは、今日の夜の睡眠の質が向上し、明日の目覚めがすっきりとて、一日を快適に過ごせる為の改善案なのである。
睡眠とは、時間を取ればそれで良いという単純な物では無い。5時間なら不足だが、8時間寝れば十分、で済む話ではないのである。質の悪い8時間の睡眠より、質の高い4時間半の睡眠の方が、段違いに効果的であることは自身の経験からも間違いないと思われる。睡眠時間を増やせと言っても簡単にできることでは無いが、限られた睡眠の質を向上する工夫なら、いくらでも行う余地があるだろう。
だが、そのために、睡眠の質を上げるためには、「今日、今、具体的にどうすれば良いのか」を教えてくれる既存の製品は、(多分)存在しない。
上記のスリープトラッカーのエントリでも書いているが、大事なのは計測記録では無いのである。いくらアプリでスマート連携とか見目の良いグラフ化とかやっても、そんな物には何の価値も無いのだ。
大事なのは、睡眠の質に影響する生活因子を特定し、質を向上する因子を増やし、質を下げる因子を減らすことだ。これに必要なのは地道な記録であるが、上記のスリープトラッカーの付属ソフトも全くこの点には注力していない。
オムロンの類似商品には、月額300円で、ぐっすり眠れるようになる生活習慣改善のサポートサービスがあるが、一般的な改善項目と実施のフィードバックサポートに過ぎないようだ。
しかし、事、睡眠や疲労など、健康に関することは、非常に個人差が大きい。睡眠の質の改善に、本当に影響するポイントを的確に分析するのは、家庭用機器では限界があるだろう。
そこで、クラウドでデータを処理するメリットが出てくるわけである。多数のサンプルデータを強力なリソースで分析することにより、より精度の高い予測が立てられる可能性がある。
最近の自身の経験でも、面白いことがあった。
上にも書いたようにずっと4時間半睡眠法を行ってきた。1時半に寝て、6時に起きるわけであるが、これはちょっと中止することになった。一人早く床に入る妻が、寝付けない場合には非常に寂しい思いをするという事と、時々眠そうにしている私を見るとイラッと来るという事があり、4時間半は禁止になったのだ。よって、現在は12時就寝6時起床である。そして、もしどうしても早起きしたいのなら、6時より早く起きれば良い、と言う事になる。しかしアラーム等を使って無理に起きるのは睡眠妨害になって不健康である。もし4時間半睡眠で充足しているのなら、自然に早く目が覚めるはずだ。このように、現在では、スリープトラッカーはあくまで6時にセットし、それより早く起きたい場合には睡眠の質を改善して自然と早起きしようと挑戦している。
するとどうなるか。
睡眠の質が悪いと、6時の妻の目覚ましまで寝込んでしまう。睡眠が普通だと、5時半~6時の間で、スリープトラッカーにて起床する。睡眠の質が良く十分だと、4時半~5時頃に目が覚める、という感じになる。
では、睡眠の質を改善するポイントは何か?数ヶ月いろいろと探ってみたところ、最も顕著な効果を発揮したのは、食事であった。
まず、食べ過ぎると、てきめんにアウトである。とくに昼頃からおやつ、夕食と、炭水化物を多く摂ると起床時間にかなり影響がある。
そして、咀嚼である。十分に咀嚼して食べると、睡眠時間が少なくて済むようだ。
夕食の炭水化物を少なくし、かつ、これでもか!と言うぐらいに噛んで食べると、翌朝は、かなりすっきりスムーズに早く目が覚める場合が多い。
人間も所詮生物だという事が身に浸みた。普段我々は、まるで脳や精神が主体のように振る舞っているが、何のことはない、大事なのは消化器官なのだ。食べる、という生命の基本が、人間にも最重要なことなのである。
主役たる脳に、脳を活かす付属器官が付いているのでは無い。
主役たる胃腸に、胃腸を守るための脳や手足が付いているのが人間なのである。
少なめの食事を、一口毎に箸を置いて、1分噛んで、飲み込む、という食べ方をすると、翌朝の目覚めはかなり期待できる。しかし、さすがにそこまでは難しいのも現実だ。しかも、私は元来、早食いで、ほとんど噛まずに飲み込むようなタイプだったからなおさらだ。ついつい、あまり噛まずに食べてしまい、分かっていても中々良く噛んで食べることを実践できないでいる。
この辺りの事情は、また別途まとめて報告しよう。
ともかく、任天堂が睡眠と疲労の改善に乗り出して来るというなら、期待して待ちたいと思う。