花粉症対策の新機軸 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

花粉症対策の新機軸

最近、30年来もてあましてきた花粉症の症状を、ほぼ完全に押さえ込むことに成功した。

小学生の頃から、やたら水っぽい鼻水が出てぼーっとする、くしゃみが止まらず、目がかゆい、という典型的な花粉症症状を、まだそうした病名が喧伝される前だったと思うが、毎年発症していた。
垂れてくる鼻水と戦い、くしゃみを抑え、ぼーっとする頭脳で眠気に耐えることは、小中高の授業中には、大変な苦労をしたような気がする。特に、予習や復習はもとより学校外での学習を一切やらず、授業中の集中力に全てを賭ける、当時の私の勉強スタイルには手ひどい痛手だったはずである。
過ぎたことは忘れる性格なのであまり覚えていないが、こうして症状の悩みが解消した今、さらにこうした辛さの記憶は薄れていくことだろう。

最近まで飲んでいた薬は、セチリジンという錠剤。妻が通っている医院がホームドクターみたいな感じで、私も時々診てもらっており、そこで気安く出してくれる薬がこれだ。ここ数年飲んでいて効果は割合高く、水っぱなが完全に干上がる。そして痒みも治まる。一応、眠くなりにくいという謳い文句だが、全くそんなことは無く、かなり眠くなる。だるくなって、やる気や闘志もかなり殺がれる。特に日中、頓服として服用した場合は、以後かなり眠気が襲う。就寝前に飲めばまだましだが、いずれにしても、夜半の定時まで起きている必要がある4時間半睡眠法には天敵とも言える。
それ以前に飲んでいたのはホノビエンという漢方系の錠剤。こちらは遅効性なので頓服では無く、期間中ずっと飲み続ける必要がある。漢方系と言うことで副作用は穏やかなような気がするが、なにせ一定期間飲み続ける必要があるので、期間中ずっと副作用が出て、それはそれで辛いものがある。
そのほか、目薬系や鼻孔噴霧系もいろいろ使ってきた。
薬以外でも、食品系では、甜茶や紫蘇油なども試してみたし、WiiFitなどのヨガもかなりの効果を見た。
それでも、やはり、これだけで完璧、というものはなかったし、効果も100%満足、というものもなかった。

それが、ほぼ100%、症状を押さえ込むことに成功したのだ。もちろん副作用は皆無だ。
その魔法のようなアイテムの名前をここに記そう。それは、「マスク」という。

すごい機能を持った新製品のマスクが登場!と言うわけでは無い。
実は、これまで花粉症対策としてマスクというものを使ったことが無かったのだ。
で、今回、半信半疑でマスクを使ってみたら、花粉症の症状がほぼ100%消滅した、という経緯なのである。あきれてひっくり返る読者もいるかもしれないが、本人は大まじめである。

なぜ、これほど花粉症に悩んでいながら、これまで一度もマスクで対策をしたことが無かったのか。

まず、身体、特に顔に何かを装着する、という感覚が大嫌いであった。ここ20年ほどはメガネを掛けて慣れているが、本当はメガネも嫌いだ。しかしコンタクトよりはましであるのでやむなく掛けている、という事である。スキンクリームやリップクリームなどの塗りたくる系も大嫌いである。高めの襟やマフラーも苦手だ。今現在も、効果抜群で本当に助かっているなと思いながら、でも、可能なら一刻も早くマスクを取りたい自分を、どうどう、と抑えている感じである。この自分の習性が理由の半分ぐらい。

また、当初マスクが必要になった30年前では、マスクをする、という行為は、まだそれほど一般的で無かったという時代背景もあろう。今でこそマスク者など日常だが、往時の田舎では、農作業時でも無いのにマスクをしていればかなり人目を引いた。こうした心理的抵抗感が初動としてのマスク装着を妨げた要素はある。

さらに、個人的に、マスク、と言うものの効果にさほど期待していなかったと言う点がある。
まず、これまでの観測として、身辺の同病者には、マスクをしている者が確かに多かったが、同時に、彼らはマスクをしていても発する緒症状にかなり苦しんでもいた。つまり、マスクの効果など高が知る、という推論とならざるをえない。
理論的考察としても、マスクの効果は信用ならなかった。まず第一に、99.99%というような高精度の除去率を誇る商品があるが、それはあくまでフィルター部の濾過性能にすぎない。実際にマスクを装着して息を吸い込んだときに、現実にどれだけ花粉を除去できるかという観点で考えると、むしろ、マスク周辺の隙間から入り込む吸気が重要であることは明らかだ。顔の形に合わせて変形フィットし、こうした周囲からの漏れを防ぐ機能を謳ったマスクも多々あるが、粘着テープを使って貼り付けるか、防毒マスクのように堅いフレームで圧着しなければ、所詮、フィルター部のカット率など誤差にしかならないだろう。わずかな量で発症するのがアレルギーの特徴であるに、こうしたマスクの構造を前提とするなら、その効果は薄そうであると判断せざるを得ない。
第二に、そもそも私の症状の一つに目の痒みがある以上、マスクの効果は限定的と予想される。マスクではどうあがいても目への花粉の影響は防ぎきれないだろう。
第三に、たとえマスクが効果を発揮したとしても、マスクを装着していられないシチュエーションが存在する点。例えば、食事などだ。また、就寝時には装着できないか、もしくは装着したとしても、寝相でずれてしまう可能性はかなり高いと思われる。一日の3分の一をマスクなしで過ごすとすればその効果の程も3分の一減少するであろう。

まあ、このような理論武装は、自身のマスクへの嫌悪感を正当化するため無理矢理な感じもあるわけだが、ともかく、そう思い込んで、花粉症対策にマスクは意味なし、と言う事にしていた。

が、妻が強く進めるので、先日、しぶしぶマスクをしてみたのである。

たちまち鼻水とくしゃみがぴたりとやんだ。驚いた。想像以上の効果だった。
花粉症の薬は、飲んで効いていても、それでもどこかにかすかな痒みやもぞもぞする感じが残っていた。くしゃみも出た。マスクをしているとそういう感じが一切無いのだ。鼻からの呼吸が、実にすがすがしいの一言である。
薬を飲んでいてさえ、鼻をかみまくり、くしゃみを連発する、つらい花粉症の症状と、こうしてあっさりと決別した。マスクを始めて1ヶ月弱、今では、1回も鼻をかまない、1回もくしゃみをしない日さえ珍しくない。もっと早くマスクの効果を知っていれば、と思う。後悔先に立たず。

しかし、私の理論は何が間違っていたのだろうか。

まず、アレルギー反応には許容量がある、ということだろう。十数年ほど前に行った私のIgE抗体の血液検査結果を見ると、スギ、ヒノキ、ブタクサ、ハウスダストなどがアレルゲンのメインであったが、反応レベルはそれほど重度では無かった。
つまり、スギ花粉を考えるとして、私の体の免疫系がアレルギー反応を起こさないレベルに抑えるためには、今年の花粉飛散量下において、吸気の漏れを勘案しても、8割程度をカットできるマスクで十分、という事なのだろう。
目の痒みも、直接花粉がもたらす痒みでは無く、発症したアレルギー反応であるので、そもそも発症しなければ暴露していても痒くないのだ。
さらに、マスク非装着時の問題。とくに就寝時などは、これはダイキンの空気清浄機と、パナの洗濯機のコンボがかなり効いていると思われる。共に昨年新調した家電である。これらにより愛猫の和毛の乱舞や洗濯物に付着したダストが激減している。そして、昨年後半よりPM2.5対策として洗濯物を主に屋内に干すようにしたことも花粉その他アレルゲンの屋内進入防止に多大な効果を上げているものと思われる。さらに、WiiFit以来の長年の習慣であるヨガや、規則正しい生活、野菜中心の栄養バランスのよい食事などによる体調維持が地味ながら重要なベースアップとなっていただろう。こうしたバックボーンがあったため、花粉などのアレルゲンに大量に晒される外出時及び仕事中のマスク着用を心がけるだけで、就寝中はマスクが無くても発症しない程度のアレルギー耐性を手にすることができたのだと思われる。
まあ、就寝時と違って活動中は埃が舞いやすいので、現在では自宅でも起床活動時は念のためマスクを着用しているが、これも花粉の飛散量が減ってくれば不要になるだろう。

マスクも、市販の廉価品で全く十分であった。60枚入って数百円というような使い捨てマスクである。むしろ、フィルターの性能では無く、フィット感を重視して選択すべきだろうと思う。安くてもぴったりするマスクなら花粉対策としてはそれで十分なのである。

今回の件を教訓としてまとめると、何でも試してみなければ分からない、と言う事か。また、主因を断つ、と言う事も重要だ。8割では意味が無いと頭でっかちに考えてはいけない。逆に、細かな要素であっても積み上げれば効果を発揮するという観点も重要だ。
要は、有名なバケツモデルに従って、アレルゲンの侵入量を、アレルギー許容量以下に抑えれば勝ちなのだ、という大局観にそって戦略を考える必要があった、ということだろう。近視眼的な対症療法に拘泥して、いかに無益な時間を過ごしたか。振り返ってみて始めて身に浸みる。まあ、こうした経験も今後の糧となるだろう。

ところで、マスクだが、一つだけ弱点がある。
それはメガネが曇ること。これについてはまた次回。