僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?/木暮太一 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?/木暮太一

何気なく手にとってパラパラと読んでみた。

労働者(=給与所得者)の給料は何故少ないのか、という現実の課題を、マルクスの資本論を引いて解説する前半と、じゃあ、どうすれば抜け出せるのか?という後半で構成。

物の売値に相当する、言葉本来の意味通りの物の価値である「使用価値」と、原価に相当する「価値」という資本論のタームを使って、労働者が薄給でありつづける原理を説明する。
曰く、労働者の賃金は報酬ではなく、原価である。つまり、その働きぶりや成果などの労働者の「使用価値」に応じて支払うのではなく、原価としての「価値」に対して計算されている。労働者の原価とは、明日も同様に働かせるに必要なコストである。従って、自ずとそれは、今日を生きながらえ明日に命を繋ぐに最低限必要な額があれば十分、という事になる。そもそも資本論的な原理上では、労働者は薄給である、という事だ。

こうした内容を、やや的が外れているものの例示も多数交えながら、平易な言葉で解説してゆく。内容はともかくとして、読みやすいことは非常に読みやすいだろう。
ただし、やや金科玉条的な嫌いがあり、無理矢理に近いこじつけや事実の無視に近い言及回避などがあからさまで、興が殺がれること甚だしい。

確かに資本論的な分析は世界の一部を説明できるだろう。だが、それだけで世界の全てを説明する必要は無いし、そもそもそれはできない相談だ。世界はそんなに単純じゃない。

よって、前半の無理矢理な前提を元にした後半の提言はいかにも尻すぼみで現実味の薄い、あまり意味の無い内容になってしまっている。

アイデアは良かったんだけどね~、という本かな。

木暮太一
僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?