はやぶさ/HAYABUSA | 読んだり観たり聴いたりしたもの

はやぶさ/HAYABUSA

近所の商業施設で客寄せの無料上映会があったので妻と観に行ってきた。

140分と長尺だったが、パイプイスで尻が痛くなるのも気にならないほど、大変面白かった。
単なるドジョウすくい映画だとばかり思っていたので、意外なほど丁寧に作ってあって驚いたのだ。

もちろん類い希なる名画というわけではないが、一般的なはやぶさファンが観るはやぶさ映画としては十分に及第点だろう。もっと、偉業・感動!さあ泣け!という押しつけがましさを想像していたのだが、意図して押さえ気味なあっさり演出で、優等生的な筋立てで変に脚色しておらず観ていて安心感があった。

はやぶさの科学的業績でもなく、プロジェクトの組織力でもなく、個人の才能でもなく、ひとりの人間として「情熱」を持つ事、持ち続ける事の大切さ素晴らしさ、に焦点を当てた様な作りに感じた。

であるので、全くのゼロからこの映画を観た人には、技術的な詳細や、はやぶさの状況などについてちょっと理解しづらかっただろうと思う。先行していたのぞみにもかなりスポットを当て、のぞみは火星には行けなかった、だが失敗じゃない「成果」なんだ、というメッセージを強調していたが、ちょっと分かりにくいプロットだったかも。

はやぶさの7年の長きにわたるプロジェクト。そもそもの研究会から数えたら十数年。それだけの期間になると、プロジェクトを最後まで見届けられない人も出てくる。そういう想いの行き場を丁寧に掬って描いていたのは良かったと思う。

変化が乏しい帰還前の長旅シーンの後に、回収班のギャグシーンを入れて寝かけた観客の目を覚ますなど、構成も工夫してるなと思った。笑うところで笑い泣くところで泣いていて、観客の反応も良かったと思う。

川口さんをモデルにした、川渕PM役の佐野史郎が意外と良かった。あと、コマンド通信係の人の淡々とした演技が印象深く、それ故その人が最後に泣いている姿が特に記憶に残った。

最後、回収カプセルからのビーコン受信は、シーンとして入れるべきだったと思う。

他のはやぶさ映画はどんな切り口なのか、ぜひ機会があったら観て比べてみたい。

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