カラクリオデット 4巻/鈴木ジュリエッタ
この巻では、新キャラとして登場する林檎坂白雪との交流がメイン。オデットに恋し、3巻で果敢にアタックした柚木村は、哀れ1話(+α)のみに押しやられてしまった。
製作依頼されていたロボットを届けるよう、博士にお使いを頼まれたオデット。大きな屋敷で出会ったのは、そこで一人暮らす資産家の少女、林檎坂白雪だった。林檎坂家の女性には、時折、特殊能力を持つ者が生まれるという。触れた人間の心を読みとってしまう能力である。この異能を恐れた白雪の父母は娘と別居し、学校に通う事もなく、白雪は大きな屋敷で一人寂しく暮らしていたのだ。
しかし、触れても心が読めないオデットに安心感を覚えた白雪は、オデットの真っ直ぐで飾り気のない、「嘘のない」言動に触れて、彼女に心を開いてゆく。
ところが、二人は遊んでいる内にうっかり地下貯蔵庫に閉じこめられてしまう。白雪を助けるためにこっそりドアを壊すが、自分は知らないと「嘘」をつくオデットを、その嘘ゆえに白雪はなじる。
しかし、オデットを迎えに来た吉沢博士の心を読んで、オデットが実はロボットであり、ロボットなんて嫌いと漏らした自分の言葉故の行動だった事を知る。
こうして、ロボットであるにもかかわらず、むしろ心を読めないロボットであるからこそ、自分が唯一心を許せる存在としてオデットを認め、ゆっくりと親交を深める白雪であった。
特殊な人間が他者と折り合う事の難しさを身をもって知る白雪は、学校に通っているというオデットの言葉に驚く。「ロボットである」という特殊条件を備えたオデットは、他者との関係性において自分と同じ側の存在であるはずで、つまりは、学校生活では多大な困難を抱えているはず。そう考えた白雪は、オデットを守り、見届けるため、学校に初めて通う事を決意する。
しかし、実際には慣れない学校生活に揉まれているのは自分であって、ひょうひょうと学校に馴染み、友達までいるオデットに、逆に助けられてしまう始末。白雪は無力な自分にうちひしがれ、やっぱり通学なんてやめるとオデットに伝える。通学の本当の目的は、友達であるオデットと少しでも一緒にいられ、オデットにも自分だけを求めてもらいたいと願っての行動だった。しかし、オデットには友達がいて、私がいなくても一人でも十分だったと白雪は悟ったのだ。だが、白雪が来てくれて嬉しかったとオデットに告げられ、また、ロボット故の特性か、頼まれごとを断れない性格を他人にいいように利用されている所を目撃し、もう少し学校にいようと思い直す。自分はオデットの事を理解し、彼女を守れるんだ、そうしたいんだ。日常を共有していきたいと思える相手が、いまそこに存在する、という素晴らしさを噛みしめる白雪だった。
全てが初めての事だらけの学校生活に、懸命に取り組む白雪。一方で、頑張る友達を支える喜び、理解する楽しさ、そして共にいることの幸せをオデットは感じていた。人間と自分の違いを知りたい、と願っていたオデットは、そうした人間の生き様を、美しい、と感じる。視覚による思考が発達したオデットならではである。
もちろん失敗もある。巻末話でも、白雪の気持ちを全く理解できないオデットは、白雪にキビシイ言葉を吐いてしまう。
その日、オデットと白雪そして三和子は、洋子の家に招かれた。友達の家に招かれるのは初めてという白雪は、両親と兄が揃い絵に描いたような幸せな洋子の家庭生活を見せつけられ、太陽に目が眩むように、自分の境遇とのあまりの違いにショックを受ける。誰もいない自分の家の寂しさを思い知らされた白雪は、洋子の家が楽しかったというオデットに「私はもう 二度と ご免だわ」と漏らす。自分一人の寂しさに耐えかね、必死にオデットを自宅に誘う白雪。しかしそんな白雪の気持ちが分からないオデットは、早く博士にお土産を持っていきたいと帰ってしまう。「ひとりで 寂しいから」と正直に打ち明ける白雪に、オデットは何気なく返す。
「変なの」「どうして今日は 寂しいの?」「もう何年も こうやって 暮らしているのに」
しかし、その夜、ドカ雪で博士の帰りは遅れ、誰もいない暗い家に帰り着いたオデットは、自分で経験してみて初めて白雪の気持ちが分かったのだ。これまで当たり前にあった、博士がいる生活の暖かさを。当たり前に感じている事は、無くなってみて初めて身に沁みて分かるものだと。
自分一人の寂しさに泣き、そして白雪の寂しさに涙するオデット。
ちなみに、オデットはアンドロイドだが、眼球保護用に涙腺を備えているので、当初より涙を流す事は可能である(1巻参照)。しかし、悲しい気持ちによって涙する事はできなかった。人が何故涙を流すのか分からなかったのだ。それが、人間を理解するに連れ、だんだん涙を流せるように制御が上達してきている。2巻では、クリスと一緒に泣いても涙が出なかったオデットも、3巻でほろりと涙を流し、4巻でもしくしくと泣いている。
クリスはダウンしたまま出番無し。
僅かに柚木村が登場する話もよい。学校で水没したオデットは、修理中、旧作の幼児ボディ「アリス」を使い、念願の七五三の神社参り写真を撮りに行く。出がけにオデットの見舞いに来た柚木村と鉢合わせしたため、何故か柚木村が子守りで引っ張り回されるお話である。
黒瀬朝生に心ときめかす珍しい乙女がライバルとして登場する話は、3巻の恋愛話を辛うじてキープという感じか。
今巻から、何か急に、絵柄があか抜けてきた、と言う印象。
それは、もともと余白やトーン、花柄などを多用する絵作りを転換し、急に背景の描き込みに力を入れてきた事が理由のように思われる。また、デフォルメキャラ、デフォルメ表情も多用するようになり、緩急が付いた事も一因だろう。
以前のベッタリした地味な作画がかなり好きだったので、個人的には寂しさも半分だが、「マンガ」としてのレベルは一段上がったのは間違いない。
カラクリオデットの過去エントリ

鈴木ジュリエッタ
カラクリオデット 4巻
製作依頼されていたロボットを届けるよう、博士にお使いを頼まれたオデット。大きな屋敷で出会ったのは、そこで一人暮らす資産家の少女、林檎坂白雪だった。林檎坂家の女性には、時折、特殊能力を持つ者が生まれるという。触れた人間の心を読みとってしまう能力である。この異能を恐れた白雪の父母は娘と別居し、学校に通う事もなく、白雪は大きな屋敷で一人寂しく暮らしていたのだ。
しかし、触れても心が読めないオデットに安心感を覚えた白雪は、オデットの真っ直ぐで飾り気のない、「嘘のない」言動に触れて、彼女に心を開いてゆく。
ところが、二人は遊んでいる内にうっかり地下貯蔵庫に閉じこめられてしまう。白雪を助けるためにこっそりドアを壊すが、自分は知らないと「嘘」をつくオデットを、その嘘ゆえに白雪はなじる。
しかし、オデットを迎えに来た吉沢博士の心を読んで、オデットが実はロボットであり、ロボットなんて嫌いと漏らした自分の言葉故の行動だった事を知る。
こうして、ロボットであるにもかかわらず、むしろ心を読めないロボットであるからこそ、自分が唯一心を許せる存在としてオデットを認め、ゆっくりと親交を深める白雪であった。
特殊な人間が他者と折り合う事の難しさを身をもって知る白雪は、学校に通っているというオデットの言葉に驚く。「ロボットである」という特殊条件を備えたオデットは、他者との関係性において自分と同じ側の存在であるはずで、つまりは、学校生活では多大な困難を抱えているはず。そう考えた白雪は、オデットを守り、見届けるため、学校に初めて通う事を決意する。
しかし、実際には慣れない学校生活に揉まれているのは自分であって、ひょうひょうと学校に馴染み、友達までいるオデットに、逆に助けられてしまう始末。白雪は無力な自分にうちひしがれ、やっぱり通学なんてやめるとオデットに伝える。通学の本当の目的は、友達であるオデットと少しでも一緒にいられ、オデットにも自分だけを求めてもらいたいと願っての行動だった。しかし、オデットには友達がいて、私がいなくても一人でも十分だったと白雪は悟ったのだ。だが、白雪が来てくれて嬉しかったとオデットに告げられ、また、ロボット故の特性か、頼まれごとを断れない性格を他人にいいように利用されている所を目撃し、もう少し学校にいようと思い直す。自分はオデットの事を理解し、彼女を守れるんだ、そうしたいんだ。日常を共有していきたいと思える相手が、いまそこに存在する、という素晴らしさを噛みしめる白雪だった。
全てが初めての事だらけの学校生活に、懸命に取り組む白雪。一方で、頑張る友達を支える喜び、理解する楽しさ、そして共にいることの幸せをオデットは感じていた。人間と自分の違いを知りたい、と願っていたオデットは、そうした人間の生き様を、美しい、と感じる。視覚による思考が発達したオデットならではである。
もちろん失敗もある。巻末話でも、白雪の気持ちを全く理解できないオデットは、白雪にキビシイ言葉を吐いてしまう。
その日、オデットと白雪そして三和子は、洋子の家に招かれた。友達の家に招かれるのは初めてという白雪は、両親と兄が揃い絵に描いたような幸せな洋子の家庭生活を見せつけられ、太陽に目が眩むように、自分の境遇とのあまりの違いにショックを受ける。誰もいない自分の家の寂しさを思い知らされた白雪は、洋子の家が楽しかったというオデットに「私はもう 二度と ご免だわ」と漏らす。自分一人の寂しさに耐えかね、必死にオデットを自宅に誘う白雪。しかしそんな白雪の気持ちが分からないオデットは、早く博士にお土産を持っていきたいと帰ってしまう。「ひとりで 寂しいから」と正直に打ち明ける白雪に、オデットは何気なく返す。
「変なの」「どうして今日は 寂しいの?」「もう何年も こうやって 暮らしているのに」
しかし、その夜、ドカ雪で博士の帰りは遅れ、誰もいない暗い家に帰り着いたオデットは、自分で経験してみて初めて白雪の気持ちが分かったのだ。これまで当たり前にあった、博士がいる生活の暖かさを。当たり前に感じている事は、無くなってみて初めて身に沁みて分かるものだと。
自分一人の寂しさに泣き、そして白雪の寂しさに涙するオデット。
ちなみに、オデットはアンドロイドだが、眼球保護用に涙腺を備えているので、当初より涙を流す事は可能である(1巻参照)。しかし、悲しい気持ちによって涙する事はできなかった。人が何故涙を流すのか分からなかったのだ。それが、人間を理解するに連れ、だんだん涙を流せるように制御が上達してきている。2巻では、クリスと一緒に泣いても涙が出なかったオデットも、3巻でほろりと涙を流し、4巻でもしくしくと泣いている。
クリスはダウンしたまま出番無し。
僅かに柚木村が登場する話もよい。学校で水没したオデットは、修理中、旧作の幼児ボディ「アリス」を使い、念願の七五三の神社参り写真を撮りに行く。出がけにオデットの見舞いに来た柚木村と鉢合わせしたため、何故か柚木村が子守りで引っ張り回されるお話である。
黒瀬朝生に心ときめかす珍しい乙女がライバルとして登場する話は、3巻の恋愛話を辛うじてキープという感じか。
今巻から、何か急に、絵柄があか抜けてきた、と言う印象。
それは、もともと余白やトーン、花柄などを多用する絵作りを転換し、急に背景の描き込みに力を入れてきた事が理由のように思われる。また、デフォルメキャラ、デフォルメ表情も多用するようになり、緩急が付いた事も一因だろう。
以前のベッタリした地味な作画がかなり好きだったので、個人的には寂しさも半分だが、「マンガ」としてのレベルは一段上がったのは間違いない。
カラクリオデットの過去エントリ