カラクリオデット/鈴木ジュリエッタ | 読んだり観たり聴いたりしたもの

カラクリオデット/鈴木ジュリエッタ

悪魔とドルチェ 」に心酔したので、いそいそと著者の別作品を漁ってきた訳だが、著者の代表作といわれるカラクリオデットに手を出してみた。

素晴らしいデキである。

オデットは、若き天才ロボット学者吉沢博士が開発した超高性能なアンドロイドである。生まれたてのオデットにぼんやりと生まれた疑問。それは、自分と人間の違い、についてだった。それを知るべく人のいる学校へ通いたいと言い出すオデット。何とか地元の高校へ通学を許可されたオデットは、吉沢オデットと名乗り、正体がばれないように学校生活を送りながら、色々な体験を通して人間とは何か、学んでゆくのだった。

ツボを押さえた豊かな表情描写による感情表現が作者の持ち味である。この作品でも、それは活かされている。オデットはアンドロイドであるので、他の人間達に比べかなり無表情に描かれる。台詞も単刀直入でぶっきらぼうだ。しかし、だからこそ、その、ほんの僅かの変化、例えば口の端の僅かなゆるみ、僅かに持ち上げられた眉の位置などで、その内部状態、つまり「こころ」のありようが良く伝わってくる。この表現の度合いが、素晴らしいバランスなのである。もう少し強調されすぎると「設定だけアンドロイド」といったよくあるギャグマンガになってしまうし、もう少し弱ければ魅力が落ちてしまう。そのギリギリのラインを維持して、決して人ではないものの持つ「ワイアードな精神」を上手く表現し、時に人間以上に人間的なその挙動を軸に物語を紡いでゆく。

吉沢博士を始め、高校で友達になる洋子、不良の朝生、おなじアンドロイドのアーシアにクリスと、登場人物も多彩で個性的である。

現代日本のようで、ちょっとどこかファンタジー風な世界観もよくマッチしている。
次巻以降も非常に楽しみである。

鈴木ジュリエッタ
カラクリオデット