絶対平和大作戦/小椋アカネ | 読んだり観たり聴いたりしたもの

絶対平和大作戦/小椋アカネ

例によって、大量持ち帰りコミックスシリーズ。

これも、まずまず面白かった。

現代風のとある世界でのお話。森と湖の北国メテオラと南の砂漠の国カナン。両国は長きにわたり国境を巡って戦争を続けてきた。しかし最近、ようやく和平が結ばれ両国に平和が訪れた。
北の英雄と讃えられる王子ヨハネと、南の聖女と謳われる王女ユーダ。この二人の国境を超えた愛の炎が、両国の王を説き、国民を諭し、停戦へと国を動かしたのである。

…というのは表向き。
実は戦争を終わらせるために二人が仕組んだ偽装恋愛なのである。生まれた国が違えば、性格も大幅に異なる二人。まして最近まで憎しみ合っていた国同士の王族である。婚約し国境の街に居を構えたものの、人目のないところでは、悪態を付き、喧嘩が絶えなかった。特に王女ユーダのヨハネに対する嫌悪は凄まじく、自国の民を殺しまくった粗暴な英雄を全否定し冷ややかな眼差しではねつけていた。一方のヨハネも、いつまで経ってもとことんまで嫌い抜くユーダの頑迷さに堪忍袋の緒を切らし、いつでも最後は喧嘩になるのだった。

…というのはまたまた表(?)向き。
実は心の奥底では惹かれ合っている二人だった。しかし初めての恋にとまどうユーダは、自分の心の変化に怯え、子供のように反発するしか表現の方法を知らなかったのだ。そして、突っかかれるとついつい反応してしまうヨハネもまだまだ大人の余裕というものにはほど遠い状態である。

要はツンデレの話である。
あ、あんたなんか嫌いだけど、平和のためだから、し、仕方なく婚約してあげてるんだからね!というヤツである。
しかし、本作では少年誌のようにそこまで記号的で平面的という事もなく、揺れる少女の心理を丁寧に描いているので好感が持てる。また、構造としては良くある類の話であるが、王族同士で、平和が掛かった偽装婚約という設定が意外と面白い。
ただ、二人とも、あまり王族という感じはしない。せいぜい良家の子女という感じで、本物の王族の持つ、雰囲気や態度、思考、物腰、言動などからはほど遠い印象である。話の展開も当然それらの影響を受ける。必然的にどうしても作品としてのスケール感が出ないので、そこはある程度割り引いて鑑賞する必要があるだろう。
絵柄もそう上手いという程ではないが、割合好みのタイプで点が甘い。にっこり逆への字口には弱いのだ。

展開も気になるし、ぜひ続きも読みたいと思う。

小椋アカネ
絶対平和大作戦