見学しよう工事現場3 ダム/溝渕利明 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

見学しよう工事現場3 ダム/溝渕利明

シリーズ第三弾は、これまた土木の雄、ダム。

この本もシリーズの例に漏れず、豊富な写真と詳細な解説で、非常に楽しめる作りとなっている。
これまた最新の重力式コンクリートダムである、栃木県の湯西川ダムを題材に取り上げ、ダム建設の醍醐味を語る。高さ100m超、貯水量7億2千万m3以上を誇る大きなダムである。
他の土木建築と比べ、特にダムは、実際のダム本体の建設以前の、調査や事前工事に膨大な時間とコストをかけている事が分かる。湯西川ダムも、本体工事自体は3年という超スピード工法での建設だが、調査と事前工事には10年以上の期間をかけている。

重力式コンクリートダムとは、コンクリートの自重で堰き止めた水圧を受け止める方式のダムである。ゆえに、膨大なコンクリートを必要とし、湯西川ダムの場合、100万m3、ダンプトラック25万台分のコンクリートを使用している。
もちろん、そのような大量のコンクリートを購入していては勿体ないので、セメントだけ買って、砂利や砂などの骨材は現地周辺で生成し、現場でコンクリートを製造するのだ。つまり、ダム建設に先だって、コンクリートの製造設備を建設するのである。
そうして製造したコンクリートを、どうやってダムの形につくってゆくのか、きめ細かい管理や工法などについての説明が詳しい。本書でもシリーズ同様、現場で働く人達のインタビューが大変素晴らしい。

巻末には、世界のダム、日本のダムについてのコラムもある。世界最大のアーチダムである、アメリカコロラド川のフーバーダム(映画トランスフォーマーで破壊されるらしい)は、これ1つで、日本のダム全ての貯水量を上回るという事で驚いた。急峻な地形の日本では、ダムは、建設も維持もかなり工夫が必要のようである。

シリーズ最後は橋である。こちらも楽しみだ。


溝渕利明
見学しよう工事現場3 ダム