PS3/ファイナルファンタジーXIII/スクウェア・エニックス
先日クリアしたので書いておく。
総プレイ時間は、およそ1ヶ月にわたって、計66時間と、流しプレイ程度である。
超ブランドシリーズの最新作という宿命から、その評価は賛否両論喧々囂々なのを野次馬として見ていたため、いろんな意味でプレイには期待していたが、その印象はというと、予想通り大変面白いゲームだった。
FF13というゲームは、RPGというゲームジャンルにおいて中核をなしてきたバトルについて、バトルプロセスの爽快感と成長強化の歓びを極めてダイレクトに追求し、かつ可能な限り煩わしい操作を廃して誰にでも楽しめるようにというポリシーで製作されたゲームだと思った。
ATBとしてFFが切り開いてきた、実時間内での戦略決定というスピード感とアクション演出。それと真っ向反するRPG特有の戦術性や詳細なバトル指示をどう落とし込むか。
FF13では、オプティマというロール管理システムとAIパーティによって、これを実現した。
アタッカー、ブラスター、エンハンサー、ジャマー、ヒーラー、ディフェンダーという各ロール毎にアビリティが割り当てられ、プレイヤーは、パーティメンバーのロールの組合せによって戦術を設計し、予めオプティマとして複数登録しておく。バトル中は、局面に応じてオプティマを切り替えるだけで、バトルの進行に応じた複雑な戦術を、ワンボタンで極めてスピーディに実現できる。
コマンド指示も多段設計とし、パーティメンバーのAIはもとより、プレイヤーが操作するキャラであっても、ワンボタンで最適なアビリティを選択し使用してくれる。
これにより、ポンポンと、適度にボタンを押しているだけで、幅広い戦術と、多彩なアビリティを、美麗なグラフィックスで、スピーディに高レスポンスで楽しむ事ができる。
操作が簡単だからといって、バトルも簡単過ぎるという事はない。レベルデザインとしては、敵がやや強めに作ってあるので、ごり押しでは通じない事も多い。特にオプティマの切替は、瞬間の判断が求められ、ワンタイミングのズレが致命的ミスに繋がる事もあり、緊張感を維持させる。
短時間に継続して一定の攻撃を加え続ける事(チェイン)で、攻撃力にボーナスが付き敵が弱体化するブレイクというシステムがあることで、どの敵から狙うか決定し、そしてブレイクターゲットへのチェインを切らさぬようにオプティマを適切に選択する、場面に応じたダイナミックな戦術性が、このゲームのバトルの華である。
そして、そうしたアクティブな戦術を実現するために、パーティメンバーを選択し、各人のロールでの持ちアビリティを睨んでオプティマを編成し、サポート装備を最適化し、オプティマ選択時のタイムロスやミスを減らすために、オプティマリストの並べ替えまで行う、というスタティックな戦略性も、バトルの面白さに深みを与えている。
各人の成長やアビリティの習得は、クリスタリウム(Xで言うところのスフィア盤)の上に予め明示してある。思い描く戦術の実現のために、どのロールを優先的に成長させるかという計画と、手に入れたアビリティによる強化、というスパイラルが、バトルのプレイモチベーションを引き上げる。
多忙な現代人は、ゲームに十分な時間を割けない。
よって、RPGのバトルの、そのうまみだけを簡単手軽にすくい取って供するシステムは評価できる。もちろんやろうと思えば、細かな指示を出したり戦術を工夫したりして、より効率的に戦う事ができるので、じっくり遊びたいプレイヤーにも応えられるだろう。
広大なワールドマップや複雑でマルチなシナリオはRPGの醍醐味の一つであるが、短時間プレイヤーは現在進行形のイベント情報や煩雑な設定を憶えきれないし、自由度の高さはシナリオやテーマの焦点をぼかしてしまう。
そこで、FF13ではほぼ一本道のマップとリニアなシナリオで、プレイヤーの迷子を阻止し、短時間ゲーマーをゲーム世界に戻りやすくしている。そして、こうした構造の不自然さを隠蔽するため、ストーリーを逃亡劇とする事で尻を叩かれるように進む物語の違和感を廃しており、プレイヤーはバトルと物語に集中する事ができる。
逃亡と反撃という単純なシナリオであるので、プレイヤーのボリューム不足感を解消するために、世界設定に対する作り込みを執拗に行っている。グラフィカルなデザインを始め、衒学的な固有名詞や専門用語をちりばめた詳細で膨大な裏設定や、テーマを明示する章構成と段階を踏んで幾重にも展開する伏線など、細部にこだわる事で、プレイヤーに負担のないシナリオの底上げを構築し満足感を与えている。
こうした短時間プレイヤーへのゲームへの敷居を下げるという配慮は一貫性があり、すぐにタイトル表示されるオープニングや、初期ロード時のあらすじ機能、ほぼロードレスで開始・復帰するバトル、ムービースキップ機能、ゲームオーバー時のリスタート、こまめに配置されたセーブポイントなど、プレイアビリティの充実に配慮は怠りない。
一方で、広い世界での探索もRPGの醍醐味であるので、終盤、大平原を用意し、やり込みプレイヤー用に供しているのもぬかりない。また、冥碑クエストや、武器の強化、そして強大な敵の配置なども、やり込みとしてかなりボリュームがあるだろう。
近年のFFといえばムービーであるが、このFF13も膨大なムービーが収録され、ユーザーの要求に十分応えているだろう。特に時々重要シーンで展開されるプリレンダムービーの質には、驚愕の一言だ。製作コストなど考えるだに恐ろしい。
ただ、一方で、それと比してしまう事で、通常ムービーの粗さが不必要に目立ってしまう、という難点があった。
超微細なプリレンダ→通常ムービーのフェイスなどの微細部→通常ムービーの指先などの粗部分、という順に目を走らせると、どうしても若干違和感を感じる。
もちろん、フィールド風景の作り込みも凄い。移動範囲を限定して作業量を限定したからこそ作り得た風景なのだろう。
ストーリーや世界設定は、こういうもんだ、と思うしかないだろう。細部を除けば特に破綻しているという事もないし、あとは好き好きだろう。個人的には、前半のホープはしつこくて好きになれなかったし、奇跡の連呼は食傷気味ではあった。思い詰めたパーティの行動指針もいまいち消化不良の面もある。しかし、演出でそこそこ上手くカバーしていると思うし、ラスト寸前など、割合ぐっと来るシーンもあった。
納得できないのは、エンディングであって、13-2を視野に入れての事かも知れないが、あっさりしすぎだろう。
好きなキャラは、ヴァニラとサッズか。サッズは、おっさんおっさん呼ばれているけど、どうせ自分より年下なんだろうと鼻白んでいたら、じつは40歳と本当におっさん年齢だったので好感度UP。JRPGは主人公が十代とか若すぎるので、30そこそこでもおっさん扱いされる事が多く、歯噛みする事もしばしばなのである。絶叫アホンダラ最高。
音楽も割と良かったと思う。シアトリズムの体験版のせいか、やはりサンレス水郷が印象深い。あの明るいビジュアルのせいでもあるだろう。
難点もない訳ではない。
まず、AIがやっぱりアホでイラつくことがしばしば。なぜエンハンサーは真っ先にヘイストをかけないのか。なぜチェインが切れそうなターゲットやあと一撃ターゲットを優先的に攻撃してくれないのか。
プレイヤーのターゲットフォーカスが、勝手に変更されてしまうのも困った。アタッカー→ディフェンダー→アタッカーなどと変更すると、多分、ディフェンダー時に、最も強いターゲットに切り替わるためだろう。
オプティマ編成がこのゲームのキモであるので、その編成内容・リスト順は保存して欲しかったところ。20通りのパーティの組合せ毎に6項目リストを保存するだけである。パーティ編成を行うたびにオプティマを一から作るのでは面倒至極で、編成が億劫になる。
振り返って、メーカーの屋台骨を背負う大作シリーズを、これだけ大胆な設計で製作できる、という事に驚愕した。
安全に、過去作を踏襲した二番煎じを出していれば、大ヒットは無いかも知れないが、そこそこ売れるだろうし、旧来のファンの覚えもめでたいだろう。そうしてゆっくり死んでいくという策も選択肢としてはあるだろう。
なのに、総スカンを食らう覚悟で大胆な設計をし、誰にも理解されない事を覚悟で極めて独創的な世界観を取り入れた。かといってユーザビリティは忘れず充実させる。これは凄い事だと思う。
安くなった頃にXIII-2も手に入れてプレイしよう。

スクウェア・エニックス
ファイナルファンタジーXIII
総プレイ時間は、およそ1ヶ月にわたって、計66時間と、流しプレイ程度である。
超ブランドシリーズの最新作という宿命から、その評価は賛否両論喧々囂々なのを野次馬として見ていたため、いろんな意味でプレイには期待していたが、その印象はというと、予想通り大変面白いゲームだった。
FF13というゲームは、RPGというゲームジャンルにおいて中核をなしてきたバトルについて、バトルプロセスの爽快感と成長強化の歓びを極めてダイレクトに追求し、かつ可能な限り煩わしい操作を廃して誰にでも楽しめるようにというポリシーで製作されたゲームだと思った。
ATBとしてFFが切り開いてきた、実時間内での戦略決定というスピード感とアクション演出。それと真っ向反するRPG特有の戦術性や詳細なバトル指示をどう落とし込むか。
FF13では、オプティマというロール管理システムとAIパーティによって、これを実現した。
アタッカー、ブラスター、エンハンサー、ジャマー、ヒーラー、ディフェンダーという各ロール毎にアビリティが割り当てられ、プレイヤーは、パーティメンバーのロールの組合せによって戦術を設計し、予めオプティマとして複数登録しておく。バトル中は、局面に応じてオプティマを切り替えるだけで、バトルの進行に応じた複雑な戦術を、ワンボタンで極めてスピーディに実現できる。
コマンド指示も多段設計とし、パーティメンバーのAIはもとより、プレイヤーが操作するキャラであっても、ワンボタンで最適なアビリティを選択し使用してくれる。
これにより、ポンポンと、適度にボタンを押しているだけで、幅広い戦術と、多彩なアビリティを、美麗なグラフィックスで、スピーディに高レスポンスで楽しむ事ができる。
操作が簡単だからといって、バトルも簡単過ぎるという事はない。レベルデザインとしては、敵がやや強めに作ってあるので、ごり押しでは通じない事も多い。特にオプティマの切替は、瞬間の判断が求められ、ワンタイミングのズレが致命的ミスに繋がる事もあり、緊張感を維持させる。
短時間に継続して一定の攻撃を加え続ける事(チェイン)で、攻撃力にボーナスが付き敵が弱体化するブレイクというシステムがあることで、どの敵から狙うか決定し、そしてブレイクターゲットへのチェインを切らさぬようにオプティマを適切に選択する、場面に応じたダイナミックな戦術性が、このゲームのバトルの華である。
そして、そうしたアクティブな戦術を実現するために、パーティメンバーを選択し、各人のロールでの持ちアビリティを睨んでオプティマを編成し、サポート装備を最適化し、オプティマ選択時のタイムロスやミスを減らすために、オプティマリストの並べ替えまで行う、というスタティックな戦略性も、バトルの面白さに深みを与えている。
各人の成長やアビリティの習得は、クリスタリウム(Xで言うところのスフィア盤)の上に予め明示してある。思い描く戦術の実現のために、どのロールを優先的に成長させるかという計画と、手に入れたアビリティによる強化、というスパイラルが、バトルのプレイモチベーションを引き上げる。
多忙な現代人は、ゲームに十分な時間を割けない。
よって、RPGのバトルの、そのうまみだけを簡単手軽にすくい取って供するシステムは評価できる。もちろんやろうと思えば、細かな指示を出したり戦術を工夫したりして、より効率的に戦う事ができるので、じっくり遊びたいプレイヤーにも応えられるだろう。
広大なワールドマップや複雑でマルチなシナリオはRPGの醍醐味の一つであるが、短時間プレイヤーは現在進行形のイベント情報や煩雑な設定を憶えきれないし、自由度の高さはシナリオやテーマの焦点をぼかしてしまう。
そこで、FF13ではほぼ一本道のマップとリニアなシナリオで、プレイヤーの迷子を阻止し、短時間ゲーマーをゲーム世界に戻りやすくしている。そして、こうした構造の不自然さを隠蔽するため、ストーリーを逃亡劇とする事で尻を叩かれるように進む物語の違和感を廃しており、プレイヤーはバトルと物語に集中する事ができる。
逃亡と反撃という単純なシナリオであるので、プレイヤーのボリューム不足感を解消するために、世界設定に対する作り込みを執拗に行っている。グラフィカルなデザインを始め、衒学的な固有名詞や専門用語をちりばめた詳細で膨大な裏設定や、テーマを明示する章構成と段階を踏んで幾重にも展開する伏線など、細部にこだわる事で、プレイヤーに負担のないシナリオの底上げを構築し満足感を与えている。
こうした短時間プレイヤーへのゲームへの敷居を下げるという配慮は一貫性があり、すぐにタイトル表示されるオープニングや、初期ロード時のあらすじ機能、ほぼロードレスで開始・復帰するバトル、ムービースキップ機能、ゲームオーバー時のリスタート、こまめに配置されたセーブポイントなど、プレイアビリティの充実に配慮は怠りない。
一方で、広い世界での探索もRPGの醍醐味であるので、終盤、大平原を用意し、やり込みプレイヤー用に供しているのもぬかりない。また、冥碑クエストや、武器の強化、そして強大な敵の配置なども、やり込みとしてかなりボリュームがあるだろう。
近年のFFといえばムービーであるが、このFF13も膨大なムービーが収録され、ユーザーの要求に十分応えているだろう。特に時々重要シーンで展開されるプリレンダムービーの質には、驚愕の一言だ。製作コストなど考えるだに恐ろしい。
ただ、一方で、それと比してしまう事で、通常ムービーの粗さが不必要に目立ってしまう、という難点があった。
超微細なプリレンダ→通常ムービーのフェイスなどの微細部→通常ムービーの指先などの粗部分、という順に目を走らせると、どうしても若干違和感を感じる。
もちろん、フィールド風景の作り込みも凄い。移動範囲を限定して作業量を限定したからこそ作り得た風景なのだろう。
ストーリーや世界設定は、こういうもんだ、と思うしかないだろう。細部を除けば特に破綻しているという事もないし、あとは好き好きだろう。個人的には、前半のホープはしつこくて好きになれなかったし、奇跡の連呼は食傷気味ではあった。思い詰めたパーティの行動指針もいまいち消化不良の面もある。しかし、演出でそこそこ上手くカバーしていると思うし、ラスト寸前など、割合ぐっと来るシーンもあった。
納得できないのは、エンディングであって、13-2を視野に入れての事かも知れないが、あっさりしすぎだろう。
好きなキャラは、ヴァニラとサッズか。サッズは、おっさんおっさん呼ばれているけど、どうせ自分より年下なんだろうと鼻白んでいたら、じつは40歳と本当におっさん年齢だったので好感度UP。JRPGは主人公が十代とか若すぎるので、30そこそこでもおっさん扱いされる事が多く、歯噛みする事もしばしばなのである。絶叫アホンダラ最高。
音楽も割と良かったと思う。シアトリズムの体験版のせいか、やはりサンレス水郷が印象深い。あの明るいビジュアルのせいでもあるだろう。
難点もない訳ではない。
まず、AIがやっぱりアホでイラつくことがしばしば。なぜエンハンサーは真っ先にヘイストをかけないのか。なぜチェインが切れそうなターゲットやあと一撃ターゲットを優先的に攻撃してくれないのか。
プレイヤーのターゲットフォーカスが、勝手に変更されてしまうのも困った。アタッカー→ディフェンダー→アタッカーなどと変更すると、多分、ディフェンダー時に、最も強いターゲットに切り替わるためだろう。
オプティマ編成がこのゲームのキモであるので、その編成内容・リスト順は保存して欲しかったところ。20通りのパーティの組合せ毎に6項目リストを保存するだけである。パーティ編成を行うたびにオプティマを一から作るのでは面倒至極で、編成が億劫になる。
振り返って、メーカーの屋台骨を背負う大作シリーズを、これだけ大胆な設計で製作できる、という事に驚愕した。
安全に、過去作を踏襲した二番煎じを出していれば、大ヒットは無いかも知れないが、そこそこ売れるだろうし、旧来のファンの覚えもめでたいだろう。そうしてゆっくり死んでいくという策も選択肢としてはあるだろう。
なのに、総スカンを食らう覚悟で大胆な設計をし、誰にも理解されない事を覚悟で極めて独創的な世界観を取り入れた。かといってユーザビリティは忘れず充実させる。これは凄い事だと思う。
安くなった頃にXIII-2も手に入れてプレイしよう。