ごくせん 9巻/森本梢子 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

ごくせん 9巻/森本梢子

今巻はイマイチかと。
期待していた理事長&スパイとのバトルは、何だかうやむやになってしまった。
大体、高三男子が中学生女子何ぞにあんなに熱狂するかい。目の色を変えるような嗜好の者は一部に過ぎないだろう。まあ、そこがギャグという事なら分からないでもないが。
何より表紙にもなっている「ごくけん」がツマラナイ。この辺のセンスは著者との乖離を強く感じた。

もちろん、黒十字との対決など、ストーリーのベースとしては十分惹き付けるものがあるので、次巻での巻き返しに期待したい。

スパイにヤンクミの素性がばれて退校の危機に、というシーン。
ヤンクミを案じた慎が弁護士の篠原に助けを求める。
「家の仕事とかで クビになんて できねーよなっ」

当然、憲法には職業選択の自由が謳われている。しかし、それは公共の福祉による制限を受けるのだ。

多分、暴力団排除条例との絡みでは非常に濃いグレーなシチュエーションだろう。
2004年の作品だが、もし現在の状況と仮定すれば、条例に基づきヤンクミをクビにできるのではないか。
黒田一家が暴力団認定されている事は、多分、間違いないだろう。
暴力団の家族親戚であっても、暴力団構成員と認定されているとは限らないし、構成員と認定されていなければ、同条例の対象にならない事は当然である。
しかしヤンクミの場合には、本人は極道じゃないというつもりだろうが、実際には暴力団事務所に同居し、その暴力団の構成員に対し指揮を執り、他の暴力団構成員と親交を結び、また実際に各所で暴力的行為を行っている。
黒田一家は悪い暴力団じゃなくて良い任侠だ、というのは議論のすり替えでしかない。
現在の世情に照らすと、こうした点がざらっと後味の悪いものにならざるを得ないだろう。

森本梢子
ごくせん 9巻