キャラクター小説の作り方 講談社現代新書/大塚英志 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

キャラクター小説の作り方 講談社現代新書/大塚英志

キャラクター小説とは、スニーカー文庫に代表されるような、早い話がラノベのことであるようだ。

キャラクター小説は、近代文学の系譜から新しい飛躍を遂げる可能性を秘めており、にもかかわらず現在のその担い手及び作品の質があまりに粗悪な為、キャラクター小説を志す若人に対し喚起を促すことでその発展に寄与すべく、講義形式での連載をまとめたのが本書であるらしい。

日本の近代文学は私小説に代表されるように、「私」を主人公とし、著者の思考や意図を「私」を通じて表現したもので合ったのに対し、キャラクター小説では、架空のキャラクターの思考や意図を「主人公」を通じて表現したものである、とするのが、かいつまんだ所、著者の主張である。近代文学の代表として「布団」を、キャラクター小説の嚆矢として新井素子をそれぞれ挙げている。
しかし、典拠の少ないこのような分類は少々こじつけが過ぎると思われるし、また、たとえ分離できたとしても、その境目は、かなり曖昧なものであるだろう事は、ちょっと考えれば誰でも分かるだろう。

キャラクター小説が好きだから、キャラクター小説を応援したい、と素直に書けばよいのに。
キャラクター小説とは、古来より小説のパターンとして自然なものであり、著者が力説するほど特別なものではないと思われる。

自作を俎上に上げての分析や、自分が今行っている作業方法の紹介など、実用書としてすぐに役立つ内容が盛り込まれているのは大変好印象だろう。


大塚英志
キャラクター小説の作り方 講談社現代新書