リアル/井上雄彦 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

リアル/井上雄彦

スラムダンクからバスケ繋がり、ということで読んでみた。
とりあえず職場にあった9巻までを読んでみたが、10巻まで出ており、まだ連載中のようだ。

バイク事故を遠因として高校を中退、入れ込んでいたバスケ部からも去るハメとなったバスケバカ野宮を主人公とし、健常者と障害者、バスケットボールと車椅子バスケットボールが螺旋のように絡み合い、物語が紡がれる。
人が何かをするのは、なぜなのか?生きるということは、何をすることなのか?というのがテーマと感じた。

野宮はバイク事故からは完治したが、その事故ではヤケでナンパした同乗の女性を生涯半身不随にさせてしまっていた。
その見舞いの折りに出会った、車椅子バスケに打ち込む元陸上選手の戸川。彼は短距離日本一を目前にして骨肉腫で片足を切断した過去を持っていた。妙なライバル心から二人は全く違う立場、違うスポーツを通して、同じ「バスケ」仲間として切磋琢磨する。
そんな頃、野宮の元チームメイト高橋は、努力せずとも何でもそつなくこなせる才能を持ちながら人を見下し何事にも真剣になれない日常を浪費する生活の中、盗んだ自転車でダンプにはねられ、脊椎損傷となり、茫然自失、自己の生きる意味を問い続ける混迷の闇にいた。

この三人がメインとなって絡み合っていくのだろう。読んだ9巻まででは、まだその途中という感じである。

スラムダンクでも感じた、バスケへの熱い想いがひしひしと伝わってくる描写は素晴らしい。
テーマ的に重い部分もあるが、車椅子バスケはスポーツなのか?という様な所から始まって、逃げずにちゃんと斬り込んでおり感心した。
その一方で、各主人公達のバスケ以外の想いは今ひとつ描き切れていない感触。
リアル、だからではないだろうが、スラムダンクに比べて、絵柄が堅い。テーマ的にその方が良いと判断したのだろうが、若干味気ない感じである。バガボンドのパサパサしたタッチを思い出してしまう。

終盤、ちょっと気になるテイストが鼻につくようになってきた。何だか、まるで浦沢直樹の漫画の様な気配を感じた。頼むから、ああいう漫画の描き方にだけはなって欲しくない。

ストーリー的にも今後楽しみである。

井上雄彦
リアル