Wii/安藤ケンサク/任天堂 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

Wii/安藤ケンサク/任天堂

最初に聞いた時には、正直微妙なゲームだろうと思った。
その後、社長が訊くで読んだ時には、その意図と力のいれ具合を見て興味を引かれた。が、購入に至るほどではなかった。予算も時間もなかなか割けないものだ。
だが、ゲーム屋のワゴンで新品800円台なら話は別で、とりあえず即買いだろう。自分の中の評価では、この価格で入手ならプレイせずとも既にかなりお買い得、位の評価はしていたつもりだ。

しかし、プレイしてみて完全に見る目がなかった事が分かった。
お買い得どころではない。このゲームは今年面白かったゲームベスト10に食い込んできてもおかしくない出来だった。
個人的には接待用パーティゲームとしては、Wiiパーティを完全に凌駕すると思う。
ただしそれには前提があって、プレイヤーが全員そこそこ以上のネットユーザーである事、という条件付きだ。

CMも結構流していたので内容を知っている人も多いだろう。Googleの検索結果を当てるクイズゲーム。何と安直なとか、手抜きとか、パソコンで無料でできるとかの声が聞こえてきそうだが、実際にプレイしたり社長が訊くを読めば分かるが、実はそう安直ではないのだ。むしろ驚くほど手間が掛かっている。
例えば、1000個の単語をリストアップしてGoogle検索のヒット数を取得してデータ化し、ランダムにピックアップした単語を表示して、どっちのヒット数が大きいか?とやるようなゲームであれば、多分全く面白くないし直ぐ飽きるだろう。
安藤ケンサクでは、問題は全て人間が作っている。つまり、この単語とこの単語だと判断難しいよね、とか意外に裏を読み過ぎて間違えそう、と言うような単語をあつめて問題セットを作り、さらにそれを実際に検索してチェックし、面白い結果になった物だけをゲームの問題として採用しているのである。だから、問題に向き合うと、そこにその問題を設定した人間の意図をひしひしと感じるのだ。

また、売りであるGoogle検索結果で遊ぶという主題を除いてみても、まずゲームの部分がかなりしっかりと作り込まれている。ゲームルール、バランス、演出、テンポ、操作感などどれも申し分ないレベルである。一人用モードと複数人モードにそれぞれ多数の種類のゲームを用意しておりボリュームも盛りだくさん。たとえ一人で一通りのモードをプレイするだけでも、それで800円ぐらいは余裕で元が取れるだろう。
演出で特に素晴らしいと思うのはギャラリーの存在だ。プレイヤーの状態や、提示された問題、プレイヤーの選択など、いろんな状態・アクションに対して、プレイヤー間のバトルを見守っているギャラリーが音声合成の無機質な声で、何とも味のある「突っ込み」をしまくるのである。突っ込みには問題に会わせて人間が作ったセリフと、汎用的な物とあるが、どちらもややブラックで斜に構えてるのに熱い時は熱いという突っ込み加減で、実にいい雰囲気を醸すのだ。実際、このシステムが無ければこのゲームの魅力は半減していただろう。

このようにクイズゲームとしての土台がしっかり作られている上に、吟味された問題が載っているのだから面白くない訳がないのである。

結局、安藤ケンサクって何なの?という問いに一言で答えると、これは現代の「クイズ100人に聞きました」なのではないかと思う。知識だけで答えるクイズではなく、webとサーチエンジンという仕組みの理解の上で、ある単語(アンドケンサクなら複数の単語)を含むページが作られる状況を想像し、人間の表現欲求や行動原理の裏の裏を推理し、クローラー取得したデータをサーチエンジンがヒット数に変換する際の補正を発想し、その順位を当てる行為がゲームの肝なのである。
つまり、一見Googleの検索結果などと言うネットのハイテク技術を使ったデジタルなゲームという皮をかぶっているが、その内実は人間を読むという実にアナログな推理ゲームなのである。だから、インターネットなどという泥臭い仕組みを十分に分かっている酸いも甘いも噛み分けた大人が、このゲームの肝を理解した上で本気で遊ぶとかなり面白いだろうと言う事は容易に理解できるだろう。
このようにプレイヤーを選ぶのでなかなか万人向けとは言いづらいが、単に勘で当てるパネルめくりゲーム(=ルーレットやサイコロ)としてプレイしたとしても、ベースの出来がよいのでそこそこ楽しんで遊べるから安心して欲しい。

ケンサクパネル9とケンサクカードバトル、ケンサク階段が出色の出来。ネットで追加配信されている、どちらがおおい?の突っ込みボイスもかなり頑張っていると思う。

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