Wii/オプーナ/コーエー
何かとネットで揶揄されているオプーナである。タイトルだけは聞いた事がある人も多いだろう。
その悲惨な売れ行きとキャラの見た目の華のなさでいろいろとネタにされる事も多いが、実は良作との評価も散見するので、いつかプレイしようと買ってきて置いた物をプレイした。
2週間程ゆっくりプレイして42時間でひとまずエンドロールを見た。多分コンプリート率は6,7割といった所だと思う。
噂に違わず丁寧に作られた良作で、十分に楽しめたRPGだったと思う。
まず、最も良かったのは、画面やイメージや世界観などビジュアル全般についてである。
開発がDSドラクエリメイクなどで有名なアルテピアッツァで、この会社はCG系の仕事もメインでやっているためか、とにかくアート系のデザインセンスが凄く良かった。SF系RPGなのだが、その都市部はちろん自然界の情景も、はっとするような画面構成に切り取られるように色彩も造形もデザインされており、見惚れる事が多かった。また、ゲーム中に無駄に美術系の蘊蓄や設定がちりばめられており、これがただ事でない労力で組み上げられている様は壮観だった。
ゲーム中には架空の美術品も多数作られており、例えばデュシャンの泉のパロディ物から、モデリングやプログラミングなど下手をすれば月単位で手間が掛かりそうなオブジェが、物語の進行とは全く無関係にぽんと置いてあるのだ。そうした美術品を集めた美術館が都市にはあり、妻と二人で大変楽しく館内を巡ったのだが、これらはクリアには全く関係のないものなので、その膨大な手間のかけ方には少々度肝を抜かれたほどだ。実際カタログレゾネに解説TV番組まであるのだから凄い凝りようだ。もちろん美術品以外にも本当に全編こんな感じで凝っており、ホップ会長の私邸など、一瞬しか来ない場所のくせに非常に手の込んだ造形となっている場所や物が多く、見飽きなかった。
オプーナの旅するランドロールの世界は、基本、荒廃した世界に存在するドーム型の都市がメインの生活空間なのだが、その未来的なデザインやインテリアエクステリア含めた造形などが非常にSF的でセンスが感じられる物となっていて感心した。ただし、それはゲームプレイアビリティ上の観点からのセンシブルな構造、という訳ではないのが残念であった。
オプーナは見知らぬ星の見知らぬドーム型SF都市にいきなり投げ出され、やむなくそこで生活を始める少年という設定ではあるので、その心細さをプレイヤーに得心させるためか、非常に迷いやすい構造になっている。通常ダンジョンなどではあまり迷う事は無いのだが、オプーナの最初の都市は2,30分迷って彷徨ってしまったほどだ。そうして迷った後に慣れて街の構造が頭にはいるとすいすいと移動でき、街に慣れた、という感覚を体験する事が出来る。これは、プレイヤーにとことんつきあう気力さえあれば、たいへんすばらしい試みだと思う。しかし、5人に1人は多分ここで諦めてしまうだろうと言う点だけが残念な仕様である。
しかしこの点はまだ良い。問題なのは、造形のあちこちが移動時に引っかかりやすい為、非常にイライラさせられる事だ。これは見た目のデザインを変更せずに解消できるはずなので気を付けるべきだったろう。
ダークローグと呼ばれる敵モンスターの造形も、とても独創的でしかもわかりやすく愛着も感じつつ敵っぽいと言う、かなり秀逸なデザインだったと思う。
主人公オプーナのてるてる坊主のような、一見すかしたような手抜きのデザインも、慣れてくると意外に愛着が湧き、先に書いたようなトータルでのデザインバランスで考えると、むしろこれしかないとも思わせるほどだ。
次に良かったのは、音楽である。これは本当にすばらしいの一言であった。メロディアスなテーマに、シーンに合わせた緩急自在なアレンジの妙がイメージの幅を膨らませて、重層的な音楽世界を紡いでいた。しばしば聞き惚れる、と言う事があり、サントラが欲しいなと思わせる出来だった。
ライフスタイルRPGと銘打ってある通り、このゲームでの基本は、社会でライセンスを取得し、仕事のノルマを達成してステップアップしていく、という非常に独特のシステムになっており、面白い。メインのバトルさえ、外敵から守る守備隊、ランドロールガードの一員に課せられた仕事、として行うのである。この世界には多くの種類のライセンスとノルマがあるのだが、欲を言えばもう少しボリュームがあると良かった。主人公に能力があるから、という前提はあるのだが、たった数日で、普通の人が一生掛かって行う仕事のノルマを、何種類も次々制覇していってしまうのは、ちょっと仕事を簡単に描きすぎではないだろうか。
ライフスタイルの一環として、多数のNPCとのコミュニケーションも作り込まれており、多数のサブイベントやセリフが用意されている感じで、ざっと遊ぶだけでもその多くを感じる事が出来るのは楽しかった。特にミラと友だちになる行や、ジョイに振り回される辺りなど、ぐっと来る事もあった。それ以外の主要以外のNPCも、もちろんメインのNPCも、只単にほのぼの世界の住人と言うような安易な作りではなく、そのセリフの裏には結構毒があったり、生活の裏側には結構哀愁が漂ったり、過去に舐めてきた辛酸を感じさせたりと、非常に厚みを持った人物達として描かれている。ワンパターンのセリフをっしゃべるだけの市井の一般人という様な重要度の低い人物の、何気なく聞けば何の意味もないようなセリフが、別の都市であるイベントの裏の内容を知った後で同じセリフを聞いたときには、そのイベントを別の視点から重層的に描いていてはっとさせたりなど非常に手が込んでいるものが多く好印象だった。
しかし、それだからこそ、逆にクリア後の淡泊さはそのギャップにやや呆然とする感じだ。もう少しコミュニケーションの余韻をサービスしても良いだろうに、予算と期限で切られたのだろうかと勘繰ってしまう。
売りであるバトルシステムは面白いし簡単操作で爽快だ。しかし、敵ターゲットのロックトグルが直感的でなくややイラつくのと、メニュー回りが雑然としているためATBでは上手くコマンドを選びきれないもどかしさがあった。特にターゲットロックのデフォルトがかなりの確率でボム、と言うのは嫌がらせとしか思えない。
アイテムやフォースの種類が多いのは結構だが、選択メニューがフラットなので選びにくいし、結局実用になるのは一部だけという調整は多くのRPGの悪しき伝統を引き継いでおり残念だ。
また、ヌンチャクだけで操作できるという意欲は認めるが、実際にはリモコンも使った方が操作しやすいので、おやつを食べるとき以外は無理にヌンチャクだけでプレイする必要はない。
主幹のストーリーはありがちではあるがそれなりにまとまっており問題はない。メイン展開とサブのライフコミュニケーションとの間に、関係があるようでない、無いようである、というのは割とリアルなバランスで良かった。
箱庭世界を旅して回るRPGが好きな向きには大変オススメである。
コーエー
オプーナ
その悲惨な売れ行きとキャラの見た目の華のなさでいろいろとネタにされる事も多いが、実は良作との評価も散見するので、いつかプレイしようと買ってきて置いた物をプレイした。
2週間程ゆっくりプレイして42時間でひとまずエンドロールを見た。多分コンプリート率は6,7割といった所だと思う。
噂に違わず丁寧に作られた良作で、十分に楽しめたRPGだったと思う。
まず、最も良かったのは、画面やイメージや世界観などビジュアル全般についてである。
開発がDSドラクエリメイクなどで有名なアルテピアッツァで、この会社はCG系の仕事もメインでやっているためか、とにかくアート系のデザインセンスが凄く良かった。SF系RPGなのだが、その都市部はちろん自然界の情景も、はっとするような画面構成に切り取られるように色彩も造形もデザインされており、見惚れる事が多かった。また、ゲーム中に無駄に美術系の蘊蓄や設定がちりばめられており、これがただ事でない労力で組み上げられている様は壮観だった。
ゲーム中には架空の美術品も多数作られており、例えばデュシャンの泉のパロディ物から、モデリングやプログラミングなど下手をすれば月単位で手間が掛かりそうなオブジェが、物語の進行とは全く無関係にぽんと置いてあるのだ。そうした美術品を集めた美術館が都市にはあり、妻と二人で大変楽しく館内を巡ったのだが、これらはクリアには全く関係のないものなので、その膨大な手間のかけ方には少々度肝を抜かれたほどだ。実際カタログレゾネに解説TV番組まであるのだから凄い凝りようだ。もちろん美術品以外にも本当に全編こんな感じで凝っており、ホップ会長の私邸など、一瞬しか来ない場所のくせに非常に手の込んだ造形となっている場所や物が多く、見飽きなかった。
オプーナの旅するランドロールの世界は、基本、荒廃した世界に存在するドーム型の都市がメインの生活空間なのだが、その未来的なデザインやインテリアエクステリア含めた造形などが非常にSF的でセンスが感じられる物となっていて感心した。ただし、それはゲームプレイアビリティ上の観点からのセンシブルな構造、という訳ではないのが残念であった。
オプーナは見知らぬ星の見知らぬドーム型SF都市にいきなり投げ出され、やむなくそこで生活を始める少年という設定ではあるので、その心細さをプレイヤーに得心させるためか、非常に迷いやすい構造になっている。通常ダンジョンなどではあまり迷う事は無いのだが、オプーナの最初の都市は2,30分迷って彷徨ってしまったほどだ。そうして迷った後に慣れて街の構造が頭にはいるとすいすいと移動でき、街に慣れた、という感覚を体験する事が出来る。これは、プレイヤーにとことんつきあう気力さえあれば、たいへんすばらしい試みだと思う。しかし、5人に1人は多分ここで諦めてしまうだろうと言う点だけが残念な仕様である。
しかしこの点はまだ良い。問題なのは、造形のあちこちが移動時に引っかかりやすい為、非常にイライラさせられる事だ。これは見た目のデザインを変更せずに解消できるはずなので気を付けるべきだったろう。
ダークローグと呼ばれる敵モンスターの造形も、とても独創的でしかもわかりやすく愛着も感じつつ敵っぽいと言う、かなり秀逸なデザインだったと思う。
主人公オプーナのてるてる坊主のような、一見すかしたような手抜きのデザインも、慣れてくると意外に愛着が湧き、先に書いたようなトータルでのデザインバランスで考えると、むしろこれしかないとも思わせるほどだ。
次に良かったのは、音楽である。これは本当にすばらしいの一言であった。メロディアスなテーマに、シーンに合わせた緩急自在なアレンジの妙がイメージの幅を膨らませて、重層的な音楽世界を紡いでいた。しばしば聞き惚れる、と言う事があり、サントラが欲しいなと思わせる出来だった。
ライフスタイルRPGと銘打ってある通り、このゲームでの基本は、社会でライセンスを取得し、仕事のノルマを達成してステップアップしていく、という非常に独特のシステムになっており、面白い。メインのバトルさえ、外敵から守る守備隊、ランドロールガードの一員に課せられた仕事、として行うのである。この世界には多くの種類のライセンスとノルマがあるのだが、欲を言えばもう少しボリュームがあると良かった。主人公に能力があるから、という前提はあるのだが、たった数日で、普通の人が一生掛かって行う仕事のノルマを、何種類も次々制覇していってしまうのは、ちょっと仕事を簡単に描きすぎではないだろうか。
ライフスタイルの一環として、多数のNPCとのコミュニケーションも作り込まれており、多数のサブイベントやセリフが用意されている感じで、ざっと遊ぶだけでもその多くを感じる事が出来るのは楽しかった。特にミラと友だちになる行や、ジョイに振り回される辺りなど、ぐっと来る事もあった。それ以外の主要以外のNPCも、もちろんメインのNPCも、只単にほのぼの世界の住人と言うような安易な作りではなく、そのセリフの裏には結構毒があったり、生活の裏側には結構哀愁が漂ったり、過去に舐めてきた辛酸を感じさせたりと、非常に厚みを持った人物達として描かれている。ワンパターンのセリフをっしゃべるだけの市井の一般人という様な重要度の低い人物の、何気なく聞けば何の意味もないようなセリフが、別の都市であるイベントの裏の内容を知った後で同じセリフを聞いたときには、そのイベントを別の視点から重層的に描いていてはっとさせたりなど非常に手が込んでいるものが多く好印象だった。
しかし、それだからこそ、逆にクリア後の淡泊さはそのギャップにやや呆然とする感じだ。もう少しコミュニケーションの余韻をサービスしても良いだろうに、予算と期限で切られたのだろうかと勘繰ってしまう。
売りであるバトルシステムは面白いし簡単操作で爽快だ。しかし、敵ターゲットのロックトグルが直感的でなくややイラつくのと、メニュー回りが雑然としているためATBでは上手くコマンドを選びきれないもどかしさがあった。特にターゲットロックのデフォルトがかなりの確率でボム、と言うのは嫌がらせとしか思えない。
アイテムやフォースの種類が多いのは結構だが、選択メニューがフラットなので選びにくいし、結局実用になるのは一部だけという調整は多くのRPGの悪しき伝統を引き継いでおり残念だ。
また、ヌンチャクだけで操作できるという意欲は認めるが、実際にはリモコンも使った方が操作しやすいので、おやつを食べるとき以外は無理にヌンチャクだけでプレイする必要はない。
主幹のストーリーはありがちではあるがそれなりにまとまっており問題はない。メイン展開とサブのライフコミュニケーションとの間に、関係があるようでない、無いようである、というのは割とリアルなバランスで良かった。
箱庭世界を旅して回るRPGが好きな向きには大変オススメである。