人事も経理も中国へ/NHK総合
中国が世界の工場と呼ばれて久しいが、次はいよいよ世界の事務屋となりそうだ。
人事と経理を既に中国の受託企業にアウトソーシングしているニッセンを取材。次は、難しいと思われる総務を試行錯誤してアウトソーシングする様が赤裸々に映される。
極めて衝撃的な映像だった。
銃殺刑の囚人に自分の骸を埋める穴を掘らせたり、絞首刑の囚人に縄をなわせたりする、そんな印象。
人事と経理でかなりの成功をおさめ、総務も続けと、ミスター総務と呼ばれる社員に、総務の仕事をマニュアル化し、アウトソースできる仕事を洗い出せとの指示が下る。会社側はアウトソーシングによって首切りはしないと明言しているが、貴方達はもう要らないから仕事を片付けろと言っているに等しい。
推進する執行役員の台詞に、幾つか間違いがある。
まず、受託企業の見積もりをみて、「日本で5500円かかる総務のコストが、大連なら750円でできる。これまでどれだけ非効率だったんですか、ということ」と総務部員を諭しているが、それはちがう。それは非効率なのではなく、この比較自体が間違っている。なぜなら人件費の元になる物価などの環境が全く異なるからだ。
このように効率が悪いと言われると、だらだら働いて高給をもらっている駄目社員との印象を受けがちだが、ここでの効率は単に資本効率が悪いという事に過ぎない。
日本の労働生産性は先進諸国で最低である、というニュースがあったが、字面だけを捉えては駄目だ。労働生産性とは、簡単に言えば、企業の利益を労働者数で割ったものである。つまり労働生産性が高いとはどういう事か?それは端に企業の利益が高いと言うだけの事である。営利企業にとって利益は重要であるが、それはあくまで社会の中での事業の必要性に対する報償である。たとえ労働生産性が低くても、しっかりと事業を行い、従業員に高給を払い、利益はちょぼちょぼ、それで何の問題もないのだ。
労働生産性を上げる事など簡単だ。高給取りの高齢社員をみんな首にして、派遣やアルバイトを入れて人件費を抑えればいい。残りの社員には昇級も無しにしてボーナスだけちょいちょい弾んでごまかしてやればいい。これがトヨタなど大手企業のやっている事であり、そしてニッセンがアウトソーシングで進めている事である。日本は労働生産性が高くなりました、と聞いてはたして喜べるだろうか?
もう一点は、「首切りはしないけど、総務の仕事が無くなるのだから、次の仕事は自分たちで探せ。上が塩梅してくれると思ったら大間違い」という意味の言葉。
これは実質、体の良い首切り。総務一筋十数年の人が今さら他の仕事を自分で探せといわれて、中小企業でもあるまいに、そんな仕事ある訳がない。執行役員もそう分かってて言っているのだろう。ぜひニッセンの総務部員の方は、辞表など出さずに、労働訴訟も辞さずに会社にしがみついて欲しい。
ニッセンの社長も、アウトソーシング万々歳、これがないと価格競争に勝てないと言っていたが、それなら、いっそ中国の会社にすればいいじゃないかと思った人も多いのでは。どうせ品物も大半が中国で作っているのだし。
番組では、今後40万人規模のホワイトカラーの仕事が海外にアウトソーシングされるだろうと紹介していたが、多分もっと桁が多いだろう。こうした海外への事務仕事のアウトソースが可能になった背景には、もちろん通信IT技術の発達がある。こうしたアウトソースでは、首切りできた企業と、アウトソースシステムを請け負うIBMやNRIなどの企業が利益を得るだけだ。日本はアウトソースできない一部の要職を担う高給取りと、仕事にあぶれたワーキングプアの二極化がますます進むだろう。
これを解決する方法は簡単だ。
1つ目は、中国の人件費が上がればよい。これは時が解決してくれる。中国農村部からの都市部流入人口が枯渇した時点で、中国の人件費は上昇に転じ、いずれ数十年で先進国並みとなる。他の途上国でも同様の事が起こるだろう。そうなればアウトソースのメリットは消え去る。
2つ目は、アウトソースできない仕事を増やせばいい。仕事というのは原理として、誰かが必要とする物・サービスを提供する事であるから、完全に調和が取れた社会でない以上、必ず新しい仕事がある。これだけトラブルや不安の多い日本社会ならなおさらだ。その中には幾つかは現地で直接的に行わざるを得ない仕事が存在するはずだ。そうした仕事が育つよう、政府は指導や立法を行えばよい。
人事と経理を既に中国の受託企業にアウトソーシングしているニッセンを取材。次は、難しいと思われる総務を試行錯誤してアウトソーシングする様が赤裸々に映される。
極めて衝撃的な映像だった。
銃殺刑の囚人に自分の骸を埋める穴を掘らせたり、絞首刑の囚人に縄をなわせたりする、そんな印象。
人事と経理でかなりの成功をおさめ、総務も続けと、ミスター総務と呼ばれる社員に、総務の仕事をマニュアル化し、アウトソースできる仕事を洗い出せとの指示が下る。会社側はアウトソーシングによって首切りはしないと明言しているが、貴方達はもう要らないから仕事を片付けろと言っているに等しい。
推進する執行役員の台詞に、幾つか間違いがある。
まず、受託企業の見積もりをみて、「日本で5500円かかる総務のコストが、大連なら750円でできる。これまでどれだけ非効率だったんですか、ということ」と総務部員を諭しているが、それはちがう。それは非効率なのではなく、この比較自体が間違っている。なぜなら人件費の元になる物価などの環境が全く異なるからだ。
このように効率が悪いと言われると、だらだら働いて高給をもらっている駄目社員との印象を受けがちだが、ここでの効率は単に資本効率が悪いという事に過ぎない。
日本の労働生産性は先進諸国で最低である、というニュースがあったが、字面だけを捉えては駄目だ。労働生産性とは、簡単に言えば、企業の利益を労働者数で割ったものである。つまり労働生産性が高いとはどういう事か?それは端に企業の利益が高いと言うだけの事である。営利企業にとって利益は重要であるが、それはあくまで社会の中での事業の必要性に対する報償である。たとえ労働生産性が低くても、しっかりと事業を行い、従業員に高給を払い、利益はちょぼちょぼ、それで何の問題もないのだ。
労働生産性を上げる事など簡単だ。高給取りの高齢社員をみんな首にして、派遣やアルバイトを入れて人件費を抑えればいい。残りの社員には昇級も無しにしてボーナスだけちょいちょい弾んでごまかしてやればいい。これがトヨタなど大手企業のやっている事であり、そしてニッセンがアウトソーシングで進めている事である。日本は労働生産性が高くなりました、と聞いてはたして喜べるだろうか?
もう一点は、「首切りはしないけど、総務の仕事が無くなるのだから、次の仕事は自分たちで探せ。上が塩梅してくれると思ったら大間違い」という意味の言葉。
これは実質、体の良い首切り。総務一筋十数年の人が今さら他の仕事を自分で探せといわれて、中小企業でもあるまいに、そんな仕事ある訳がない。執行役員もそう分かってて言っているのだろう。ぜひニッセンの総務部員の方は、辞表など出さずに、労働訴訟も辞さずに会社にしがみついて欲しい。
ニッセンの社長も、アウトソーシング万々歳、これがないと価格競争に勝てないと言っていたが、それなら、いっそ中国の会社にすればいいじゃないかと思った人も多いのでは。どうせ品物も大半が中国で作っているのだし。
番組では、今後40万人規模のホワイトカラーの仕事が海外にアウトソーシングされるだろうと紹介していたが、多分もっと桁が多いだろう。こうした海外への事務仕事のアウトソースが可能になった背景には、もちろん通信IT技術の発達がある。こうしたアウトソースでは、首切りできた企業と、アウトソースシステムを請け負うIBMやNRIなどの企業が利益を得るだけだ。日本はアウトソースできない一部の要職を担う高給取りと、仕事にあぶれたワーキングプアの二極化がますます進むだろう。
これを解決する方法は簡単だ。
1つ目は、中国の人件費が上がればよい。これは時が解決してくれる。中国農村部からの都市部流入人口が枯渇した時点で、中国の人件費は上昇に転じ、いずれ数十年で先進国並みとなる。他の途上国でも同様の事が起こるだろう。そうなればアウトソースのメリットは消え去る。
2つ目は、アウトソースできない仕事を増やせばいい。仕事というのは原理として、誰かが必要とする物・サービスを提供する事であるから、完全に調和が取れた社会でない以上、必ず新しい仕事がある。これだけトラブルや不安の多い日本社会ならなおさらだ。その中には幾つかは現地で直接的に行わざるを得ない仕事が存在するはずだ。そうした仕事が育つよう、政府は指導や立法を行えばよい。