中国の壷/川原泉 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

中国の壷/川原泉

安定しているというか、達観しているというか、川原泉の主人公は、いつも地に足がついている。むしろつきすぎていて一般受けしないのではないかと心配するほどだ。

ギャグでもありユーモアデアもあるが、安易なスラップスティックに持ち込まず、その上澄みだけをすくって、物語にどっしりと根を下ろした、その物語と本来的に関係のない話、本当にどうでもいい些事の詳述に振りかけました、という塩梅か。

例えば表題作の園芸話であるとか、殿様の大名生活詳細であるとか、そんなどうでもいいディティールを描き込んで、しかもそれにとらわれない微妙な距離感。人物とものがたりの奇妙な並行感が面白い。ディティールを極めてリアリティを出すのではなく、ディティールをたすき掛けにしてプレゼンスを醸す、そんな作風なのかなあと思った。

とにかくかなり面白い作品には間違いないし、川原泉の他の作品もたくさん読んでみたい。