サカタ荘221号室/坂田靖子 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

サカタ荘221号室/坂田靖子

おもに文章モノのお蔵だし本。古いエッセイや散文中心。短い漫画も数編ある。

意外に最近出版された本だ。内容は、ファンなら面白いかも。

坂田靖子は、文章も結構上手いと思った。漫画ほどではないけど。金沢でのんびりしてそうな想像だったが、修羅場の日記などありびっくり。他にも食べ物の嗜好や音楽、ゲームの話しなど、ファンには嬉しい文章が並ぶ。

泣いた赤鬼についての彼女の見解には異を唱えたい。彼女は幼少に読んだこの童話について、設定が不条理でおかしいと一刀両断にしているが、それは不当な評価だと思う。
むしろこの話は、不条理な現実のメタファーなのであって、おかしいのは異なモノを排斥するムラという現実の方なのである。つまり被差別民の排斥という寓話であって決してファンタジーではないので、子供心に棘が刺さる感じを受けるのは正常な反応であり、それは作品の欠点ではなく寧ろそれこそがこの作品の狙いであろう。


坂田靖子
サカタ荘221号室