イマジン/清水義範
清水義範お得意の青春小説+タイムトラベル物の集大成と言える本。面白さは学問のススメ、スシとニンジャなどに匹敵すると言えよう。
有名大学を出、ITベンチャーを興して大成功を収めた父親へのコンプレックスとうまく行かない現実に悩む主人公翔悟はある事件をきっかけに、1980年の過去へとタイムスリップし、若き日の父との奇妙な共同生活を始めることに。屈折した父への思いと、目の前の父への友情と信頼感のギャップ。奇妙な経験と自身の成長を通して父への理解が深まっていく。
特に最後のシーンでは感涙を禁じ得なかった。「懐かしさ」という感情をとても上手に描いており、二重の意味で涙が出るのだ。つまり、翔悟の視点での涙と、父の視点での涙である。
清水義範がタイムトラベル物をうまく描く理由には、時事ネタに強く人間観察が趣味であり、時事ネタをちゃんと庶民の感想としてストックしている点が挙げられるだろう。
この本は、あまりSFという視点で見てはいけない。もはやタイムスリップぐらいではSFという訳でもないだろう。また、もしかすると、IT技術などに関する描写がかなり噛み砕きすぎて構成されている点が気になるかも知れないが、これは発表媒体を考えてわざとこうしているのだと思われる。テクニカルタームをちりばめて見た目のリアリティを作り出す事は簡単だが、それは本作の主題ではない。読者を登場人物の心情に引き寄せるために、あえてリアリティを捨て、平易にかみ砕いて丁寧に読ませたのだと思う。
有名大学を出、ITベンチャーを興して大成功を収めた父親へのコンプレックスとうまく行かない現実に悩む主人公翔悟はある事件をきっかけに、1980年の過去へとタイムスリップし、若き日の父との奇妙な共同生活を始めることに。屈折した父への思いと、目の前の父への友情と信頼感のギャップ。奇妙な経験と自身の成長を通して父への理解が深まっていく。
特に最後のシーンでは感涙を禁じ得なかった。「懐かしさ」という感情をとても上手に描いており、二重の意味で涙が出るのだ。つまり、翔悟の視点での涙と、父の視点での涙である。
清水義範がタイムトラベル物をうまく描く理由には、時事ネタに強く人間観察が趣味であり、時事ネタをちゃんと庶民の感想としてストックしている点が挙げられるだろう。
この本は、あまりSFという視点で見てはいけない。もはやタイムスリップぐらいではSFという訳でもないだろう。また、もしかすると、IT技術などに関する描写がかなり噛み砕きすぎて構成されている点が気になるかも知れないが、これは発表媒体を考えてわざとこうしているのだと思われる。テクニカルタームをちりばめて見た目のリアリティを作り出す事は簡単だが、それは本作の主題ではない。読者を登場人物の心情に引き寄せるために、あえてリアリティを捨て、平易にかみ砕いて丁寧に読ませたのだと思う。
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