第六大陸 全2巻/小川一水
小川一水という作家の、これが初めて読んだ本だった。妻のお薦めであったが、確かにお薦めだけあって非常に面白かった。日本のSFとしてはかなりの良作だと思う。
SFのSの部分は良く練り込まれていて好感が持てた。惜しむらくは計画がスムーズに行きすぎて(スムーズに行っているように感じられて)、主人公の達成感に共感が行きにくいところだろう。全巻を通じて最も感動し涙がこぼれそうになった場面が、プロジェクト始動のシーンであるほどだ。また、全体にさりげなさを装いながらも技術に関しての説明口調が目について没入感をそがれる気がした。つまり、近未来の話ではあるが、地の文の視点つまり作者の視点が、明らかに読者のいる今この時代をちらちら意識しているからだと思われる。ただ、シミュレーション小説として幾分かは仕方ないとも思う。
Fの部分については、この小説ではそっちがメインじゃないから、と言い訳する事も可能だとは思うが、これだけの力量のある作家だからむしろ要求を出したいと思う。つまり、せっかくの骨太の話のベースに比べて人物があまりに弱かった。これだけの大プロジェクトを成し遂げる行動力ある人達のはずなのに、そのギトギトしているはずのエネルギーをあまり感じない。精力的にプロジェクトを進めているのは作者であり、その作者の駒として動かされている感がどうしてもちらついてしまう。特に主人公の2人が顕著だと思う。彼と彼女が、10年に及ぶプロジェクトにおいて、キーとなるシーンでの行動に説得力が薄い。特にプロジェクトの原点である妙の人格はもっともっと描き込んで欲しかったところだし、常人の想像の及ばないような地点に立地してくれたら最高だったろう。
ともあれ、面白い本を書く人を見つけたのでしばらく楽しめそうで嬉しい限りだ。
SFのSの部分は良く練り込まれていて好感が持てた。惜しむらくは計画がスムーズに行きすぎて(スムーズに行っているように感じられて)、主人公の達成感に共感が行きにくいところだろう。全巻を通じて最も感動し涙がこぼれそうになった場面が、プロジェクト始動のシーンであるほどだ。また、全体にさりげなさを装いながらも技術に関しての説明口調が目について没入感をそがれる気がした。つまり、近未来の話ではあるが、地の文の視点つまり作者の視点が、明らかに読者のいる今この時代をちらちら意識しているからだと思われる。ただ、シミュレーション小説として幾分かは仕方ないとも思う。
Fの部分については、この小説ではそっちがメインじゃないから、と言い訳する事も可能だとは思うが、これだけの力量のある作家だからむしろ要求を出したいと思う。つまり、せっかくの骨太の話のベースに比べて人物があまりに弱かった。これだけの大プロジェクトを成し遂げる行動力ある人達のはずなのに、そのギトギトしているはずのエネルギーをあまり感じない。精力的にプロジェクトを進めているのは作者であり、その作者の駒として動かされている感がどうしてもちらついてしまう。特に主人公の2人が顕著だと思う。彼と彼女が、10年に及ぶプロジェクトにおいて、キーとなるシーンでの行動に説得力が薄い。特にプロジェクトの原点である妙の人格はもっともっと描き込んで欲しかったところだし、常人の想像の及ばないような地点に立地してくれたら最高だったろう。
ともあれ、面白い本を書く人を見つけたのでしばらく楽しめそうで嬉しい限りだ。
- 小川 一水
- 第六大陸〈1〉