ZOKU/森博嗣 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

ZOKU/森博嗣

森博嗣の隠れた(別に隠れていないかも)秀作。自分の中では、スカイ・クロラに次ぐ第2位の位置を占めている作品だ。

好きなジャンルで、好きな事を書く。と思わせずにはいない、その伸び伸びとした筆致は、読んでいて実に爽快だ。特に会話文が良い。水彩画のようにベッタリしておらず、モザイクのように、一つ一つがタイルになっているかの様だ。そうして敷き詰められたシチュエーションという名のタイルを、遠くから眺めると大きな絵になっているのだが、実はその絵、つまり設定や筋、結末などにはたいした意味はない。タイルでモザイク作品をつくった、という手法に意味を持たせた作品ではないか、とまで言うのは穿ちすぎか。

遠ざかったり近づいたりして、タイルがモザイク画を描き出す変幻さを楽しむ本なのだろう。ミステリではないので、シリーズファンは注意。

著者: 森 博嗣
タイトル: ZOKU