2010.11.1 22:44
このニュースのトピックス:領土問題
1日、北方領土・国後島で住民の家庭を訪問し、少年と握手するロシアのメドベージェフ大統領(右)(AP) メドベージェフ露大統領の国後島訪問は戦略的によく練られたものだ。ロシアは、事前にこの訪問についてシグナルをいくつも出してきたが、日本外務省は「メドベージェフ大統領の北方領土訪問はない」と分析を誤った。今回の事態について、外務省のインテリジェンス能力を抜本から点検する必要がある。
今回の大統領訪問の目的を一言でいうと「北方領土の脱日本化」だと筆者は見ている。過去に日本外務省は、人道支援、ビザなし交流などによって、北方領土の日本化を進めていたが、それを逆転させるということだ。
国後島におけるメドベージェフ大統領の発言を分析すると、そのことがよくわかる。大統領は地熱発電所を訪れ、「これは小さな発電所だが、もっともエネルギー効率がよい」と発言した。日本は北方四島の住民生活を支援するためにディーゼル発電機を供与し、事実上の発電所をつくった。それにより、日本政府は北方四島住民の日本への依存度を高めようとした。今後は、ロシアが自前で電力を調達するので、日本には依存しないという意思表示を大統領が行ったと筆者は見ている。
また、大統領は、現在4チャンネルのテレビ放送を「20チャンネルにする」と約束した。国後島のロシア系住民は日本のBS放送を見ている。このような状況をロシアのテレビチャンネルを20に増加させることによって変化させることをメドベージェフ大統領は意図している。
さらに、「ここでは(携帯電話の)通信がどこでも通じる。もちろん日本製でない」と述べた。電力、テレビ、通信において、日本の影響力を排除するというロシア国家としての意思をメドベージェフ大統領が表明したのだ。