ポルターガイスト | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

ポルターガイスト

ぼくが子供の頃の話。

そのとき住んでいた家は二階建てで、

ぼくの部屋は二階だった。

ときどき、ぼくの心の中の感情、

とくに、

恐怖や嫌悪などに呼応するように、

ぼくの部屋の天井から、ぽん、という音が聞こえた。

はじめのうち、ぼくは両親にそのことを伝え、

ぼくの部屋で実際にそのような音が聞こえるのだということを、

知らせようとした。

だが、両親を呼び寄せたときに限って、

天井からの異音はならなかった。


何年かその家で、その音を聞いているうちに、

ぼくは更なる遠い記憶、

おそらくは3歳とか4歳くらいの記憶なのだろうか、

幼児期に住んでいた家でも同じ音を聞いていた事実を思い出す。


この音は、不吉な出来事を警告するためのものだということも、

後に知ることになる。


ぼくが心の中で考えたことにたいして、

音が答えてくれる場合もあった。


この音はいったいなんなのだろうか?

敵ではないのかも。

でも、味方でもないか。


その後月日は流れ、

大学へ行き、

就職し、

ぼくは結婚し、別の家に引っ越し、

そして、妻子は出て行った。


ぼくは夕飯をジャンクフードで済ませ、部屋でくつろいでいた。

友人から電話があり、

携帯を握る。


すると間もなく、

通話が突然途切れた。


友人が車で移動中だったに違いないと思う。

ぼくは携帯の画面を見つめたが、

圏外表示だった。


一度電源を落とし、再起動する。


PCを使って初期化までしたが、

最後には携帯電話自体の損傷だと、PCには表示されていた。


携帯はひと月前に修理に出し、新品と交換したばかりだというのに。



家の中で電球が切れたり、(頻繁に)

食器棚から突然コップが落ちたり、

あり得ない頻度で電化製品が壊れたり。


多分これらは、何らかのサインだと思う。



そう。


また何十年かぶりに、帰ってきたのかも。


あいつが。