職場での、会話にならない会話
私は休憩を済ませ、トイレへ入った。
年配の同僚がいて、私と並んで用をたすかたちとなった。
私は微かな気まずさを感じ、何か話題はないかと考えた。
私は口を開く。
「いやあ、外は寒いですねえ」
それを受け、年配の同僚はこう答える。
「中からきたから、わかんねえ」
私は何と言ってよいかわからなかった。
彼の言っている事は正論だった。
温度管理された部屋からきたのである。
当然の事を言っている。
外のことはわからないはずだ。
私は後悔した。
ここの職場で、まともに会話できる人はみな辞めていってしまった。
この職場に話し相手はいなかった。
たまにしゃべると、こんなことになる。