彼女 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

彼女

彼女は、

笑顔がキュートだった。


酔っぱらい、頬を赤らめ、

焦点の定まらない視点が、

私をきゅんとさせた。


彼女が非情で、

性格もキツく、


私の手に負える存在ではないのだけれども、


どうしようもないほどに、

かわいらしく、

そして、きれいだった。


「これでも、大分柔らかくなったのよ」


といって、彼女は笑う。


私はナイロンに包まれた彼女の足を、

盗み見る。


遠い存在。

されど、


手に届くところにいる彼女。


私は彼女の気配を感じながら、

直視する事すら出来ず、


何かの拍子で、

彼女の興味が私に向くのではないかと、

妄想する。



彼女は、


笑う。


そこそこに美しく、


しかし、ひどい性格の女であって、


そして私は、

いつもそんな女に恋をした。





いい加減、

学習しろよと、

私の良心がささやく。


それは本能とは真逆の、



なんの慰めにもならない、

戯言だった。