気配 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

気配

夜中帰宅し家に上がると、

何故か未だに、猫の気配を感じてしまう。


それは、


私の願望なのか。


猫の死を、心のどこかで受け止まられないでいるせいか。


私は家に帰ると、ただいまと声をかける。


誰もいない居間に向かって。


しかし、


物陰に、猫の気配を感じる。



錯覚?



私は何度も猫の名前を呼んだ。


「すまなかったな、ほんとうに。俺じゃなく娘たちと一緒に暮らしてた方がよかったか?」


また余震だった。


私は歯を磨き、布団へ潜り込む。


動物と人間の違いは何だろうか?


食事し、

睡眠をとり、

日々が過ぎ去って行く。


おそらくは、

人と動物の境界線は、

「考える」

かどうかの違いくらいだろう。


私は家畜だった。

家と職場の往復。

今、その現状に疑問を抱くことなど遠い昔のことで、

考える事に疲れ、それを放棄してしまっている。


寝る時間だった。

働くために。

ただ、寝るだけだ。