2011年3月11日 地震 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

2011年3月11日 地震

今日は仕事が休みだった。

休日は家で過ごす事がほとんどで、当然今日もそうだった。

DVDを見終わり、横になっているときに地震があった。


また地震だ。


天井を見ながら思った。


じっとしていれば収まる。

俺にとって、地震とはそんなもので、特に恐れるほどものではなかった。


うまれてこのかた、大きな地震を経験した事が無かったからだ。

阪神大震災も、遠い国で起きた震災も、リアルに感じる事が出来なかった。


それは俺が人でなしだから?




俺はいつものように地震をやり過ごせると思ったが、そうはならなかった。


あまりにも長く続く揺れ。

突然、本棚から本が崩れ落ちた。

俺はソファーから跳ね起きた。


ついに来たのか。直下型の大震災が、この地に。


倒れそうになるモニターを手で押さえた。


家屋は築四十年近い中古住宅だ。

崩壊してもおかしくない。

耐震基準など無かった頃の建築ではあるまいか?

俺は、現在二階にいるのだった。

刹那、家の外に出るか迷ったが、外に出る事が出来なかった。


家が倒壊する恐怖に、鼓動が跳ね上がるのを感じながら、

二階にいる方が、階下が倒壊した場合助かるかもしれないと思っていた。


死ぬかもしれない。


俺はリアルな恐怖を感じた。

と同時に、瓦礫に押しつぶされて死ぬならそれで仕方ないとも思った。

そして、俺のような身寄りの無い独り者が孤独死した場合、

死体はどう扱われるか気になった。

死体は火葬され、遺骨はきちんと父母の墓におさめられるのか。

金は誰が負担するのか。

独り身という事の切なさを、その刹那に感じながら。




第一波。

その後絶え間なく余震が続いた。

驚いた事に、今現在(22時過ぎ)も余震が続いている。


今回は幸いにも、直下型地震ではなかった。


将来必ず来るであろう直下型地震。

そのときは、とんでもない事になるだろう。


今回の地震でも、首都圏の交通網が完全に麻痺している。



喉が渇いていた。

階下に降りた。

キッチンの食器棚から、こぼれだした皿やコップなどが、

床で割れ、散乱している。


水道をひねっても、ぶすぶすという音がするだけで、

水は出なかった。


会社からも、明日は自宅で待機するようにとの連絡があった。



あらぶる大地。

俺は心底恐怖し、

こうして無事戯れ言を打ち込める事を、

有り難く思っている。


そう。

まだ、やり残したことが山ほどあるのだから。


何時間も揺れ続く。

こんな異常事態に、慣れて来て。

俺はふと用事を思い出す。


水を買い出しにいかねばな。


酒も必要だ。

この揺れじゃ、しらふでは眠れないだろう。