豆腐 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

豆腐

朝七時に帰宅し、

水割りを一杯飲むと、

俺は布団に寝転がった。

酷い暑さだった。


蝉の鳴き声。

朝の身支度の物音。

何かとんでもないものが落っこちたのか、

隣の庭から大きな音がした。

くそったれめ。


それでも俺は、いつの間にか眠っていた。

この蒸し暑さの中、

眠れる自分が信じられなかった。


五時間ほどの睡眠。


汗まみれになって目覚めた。

昼だった。

冷蔵庫の中に豆腐が一丁。


醤油をぶっかけて食った。


毛むくじゃらの猫は、

窓辺に寝転がり、じっとしていた。

なんてかわいそうなことか。


お気の毒さま。


俺は猫を抱き上げ抱きしめる。


迷惑そうな視線を俺に向け、

それでも、ぐるぐると喉を鳴らした。



仕事のシフト表。


一日十三時間拘束。


なんてこった。



何も見えなかった。


それもそのはずだ。


そもそも俺は、


何も観たくはないのだから。