幻覚から、夢へ | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

幻覚から、夢へ

奇妙な夢だった。

それは昼間の幻覚の続きだった。


俺の目の前に娘がいた。

俺はうれしくてたまらなかった。

娘と話し、

遊び、

俺は珠玉のときをすごした。

このときを、どれほど待ちわびていた事だろう。

娘の母親はどこにいるのだ。

そう思ったとき、

不意に、長身のやせた男が現れた。

昼間の野球帽をかぶった男だった。


娘はその男の事を、先生と呼んだ。


なんて事だ。


娘の母親がいつの間にか現れ、

三人で、何か楽しそうに話し始めると、

俺はそれを遠巻きに見ているのだった。


昼間の映像が写真のように目の前に広がった。

車の中の、娘とおぼしき、影。

顔の輪郭も車の中で影となり、はっきりとしない。

その映像が、まるで画像解析にかけられたもののように、

次第に鮮明になり、輪郭もはっきりし、

色鮮やかによみがえってくる。


はっきりと、娘の顔が浮かび上がった。


俺は衝撃とともに、目を覚ました。


腹が痛かった。


俺はトイレの中へ駆け込み、悶絶した。



なんてこった。



布団へ戻り、ぼんやりとしているうちに眠った。

それから腹痛で目覚めるという事を繰り返した。


最後に目覚めたとき、


午後の四時を回っていた。


もうたくさんだった


なにもしたくなかった。