初仕事の一週間を終えて〜 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

初仕事の一週間を終えて〜

俺を優しく迎え入れてくれる場所。


それはキャンプ場だったり。

本屋だったり。

映画館だったり。


結局は、


自分と向きあう場所じゃないか。



なんてことだ。



その日は金曜日だった。

仕事を終えると、

微かな開放感と、倦怠のまま俺は放心した。

まっすぐ家に帰る気分でもなく。



俺は最後の千円札で飯を食った。

整然と区画整理された町並み。

笑わせるぜ。

こういう街って、

大資本のつまらない店ばかりが、軒を連ねる。


しょぼくれた飲み屋、

婆さんが一人たたずむタバコ屋、

駄菓子屋、

大衆食堂、

偏屈爺の古本屋。


そんなものはどこにも無く、

気取ったガラス張りのショールームばかりだった。

おもしろくもなんともない。

都市計画って、つまらない町を作る事なのか。

再開発で必然的に地価も上がり家賃も上がる。

そして、

どこの街の駅前も、

どうしようもなくつまらない場所に成り下がる。


滅菌され、去勢された街。


俺は何かを探していた。

酷く猥雑で、埃っぽい。

それでいて、どこか郷愁にかられる、人懐っこさを覚える景色を。


夢想はそこまでだった。


結局は、なんの面白みも無いショッピングモールくらいしか、

俺には行く場所が無かった。


俺はいつもの本屋へ行った。


俺は何をやっているのだろう。


ある本を手に取る。


ページを開くと、

俺は張り手を喰らったような気分になった。





$日々を生きる。~モラルハラスメント。離婚。解雇。そして、これから。



俺は誰かと話がしたかった。

本は話し相手としては、わがまま極まりない。

自分の考え方を喚き散らすだけだからだ。


俺は友人に宛ててメールを書き、転送した。


しばらく待っていても、


返信はなかった。