早起きは、なんの得にもなりはしない
なんてこった。
職安へ八時四十分までに、行かなければならなかった。
解雇されてから、
俺は、午前十時前に起きた事がなかった。
いや、まてよ。
ひとりキャンプに行ったときは、七時に起きたっけ。
俺は目覚めるとシャワーを浴び、家を出た。
五分前に職安に着き、失業者どもの詰め込まれた会場へ入った。
満員ではなく、俺は余裕を持って座る事が出来た。
その日のミッションは、書類を提出し、呼ばれるまで待つだけで良かった。
俺は待つあいだ、本を広げ読んだ。
意外な事に、そんなやつが、周りに何人もいた。
そうは言っても、その倍ぐらいの人数が、携帯をいじくり回していた。
どちらも、とんでもない事だった。
仕事もないのに、そんな事やっている場合か、と、
職員の冷たい視線が、俺たち全員をあざ笑っているかのようだった。
今日は、必死な形相で職員に怒濤のごとく質問攻めにするおばさんもいなかった。
その日のミッションは、すんなりと終わった。
時計を観るとまだ十時前だった。
早起きしたんだ。
モーニングでも食いに行こう。
俺は心の中でつぶやくと、(ツイッターじゃないぜ)
俺はファミレスへ向かった。
レストランの中は、とんでもなく空いていた。
老人が三組ほど。
みんな新聞を読んでいた。
何故か全テーブルに新聞が置かれていた。
新手の販売促進か?
スクランブルエッグとソーセージの飯。
そんな飯が、何故か数年前の家族旅行を思い出してしまい、
俺はそれを頭から押しやった。
飯をゆっくりと食い、コーヒーをすすりながら、
俺はまたしても、本を読み始めた。
失業し、恐ろしくなるくらいに時間があったが、かといって、
喜びながら本を読む事など、俺には出来なかった。
どんなにくだらない事か忘れてしまったが、つまらない事に時間を使ってしまう。
どういう訳か、一日十時間労働し、残り二時間の自由な時間の方が、
充実していたような気もする。
コーヒーを飲みながらの読書はよいものだった。
気が付くと、昼になっていた。
ランチを食いに来たという顔の、
OLたち
職人たち
家族連れ
老人や失業者の時間は終わりだった。
俺は最後のコーヒーを注ぎに行き、
席に着きゆっくりと飲んだ。
たった今、入って来た母子が斜め前の席に座った。
心の中がざわついて、
腹の中が、痛んだ。
俺はその母子を、見たくはなかった。
なぜなら、
娘を思い出してしまうから。
俺のすばらしい朝は、それほどすばらしくもなく、
どうしようもないという訳でもなく、
だただた、過ぎてゆくばかりだった。
職安へ八時四十分までに、行かなければならなかった。
解雇されてから、
俺は、午前十時前に起きた事がなかった。
いや、まてよ。
ひとりキャンプに行ったときは、七時に起きたっけ。
俺は目覚めるとシャワーを浴び、家を出た。
五分前に職安に着き、失業者どもの詰め込まれた会場へ入った。
満員ではなく、俺は余裕を持って座る事が出来た。
その日のミッションは、書類を提出し、呼ばれるまで待つだけで良かった。
俺は待つあいだ、本を広げ読んだ。
意外な事に、そんなやつが、周りに何人もいた。
そうは言っても、その倍ぐらいの人数が、携帯をいじくり回していた。
どちらも、とんでもない事だった。
仕事もないのに、そんな事やっている場合か、と、
職員の冷たい視線が、俺たち全員をあざ笑っているかのようだった。
今日は、必死な形相で職員に怒濤のごとく質問攻めにするおばさんもいなかった。
その日のミッションは、すんなりと終わった。
時計を観るとまだ十時前だった。
早起きしたんだ。
モーニングでも食いに行こう。
俺は心の中でつぶやくと、(ツイッターじゃないぜ)
俺はファミレスへ向かった。
レストランの中は、とんでもなく空いていた。
老人が三組ほど。
みんな新聞を読んでいた。
何故か全テーブルに新聞が置かれていた。
新手の販売促進か?
スクランブルエッグとソーセージの飯。
そんな飯が、何故か数年前の家族旅行を思い出してしまい、
俺はそれを頭から押しやった。
飯をゆっくりと食い、コーヒーをすすりながら、
俺はまたしても、本を読み始めた。
失業し、恐ろしくなるくらいに時間があったが、かといって、
喜びながら本を読む事など、俺には出来なかった。
どんなにくだらない事か忘れてしまったが、つまらない事に時間を使ってしまう。
どういう訳か、一日十時間労働し、残り二時間の自由な時間の方が、
充実していたような気もする。
コーヒーを飲みながらの読書はよいものだった。
気が付くと、昼になっていた。
ランチを食いに来たという顔の、
OLたち
職人たち
家族連れ
老人や失業者の時間は終わりだった。
俺は最後のコーヒーを注ぎに行き、
席に着きゆっくりと飲んだ。
たった今、入って来た母子が斜め前の席に座った。
心の中がざわついて、
腹の中が、痛んだ。
俺はその母子を、見たくはなかった。
なぜなら、
娘を思い出してしまうから。
俺のすばらしい朝は、それほどすばらしくもなく、
どうしようもないという訳でもなく、
だただた、過ぎてゆくばかりだった。