車で走る。
俺は行く宛もなくさまよっていた。
飯は日が暮れてから食った。
一日一食。
その方が、健康に良いに違いない。
金があれば、沖縄に行きたかった。
毎日海に潜り、
ラフテーとか、
ゴーヤーチャンプルーとか、
ステーキとかを食う。
それは、ひどく胸が痛む夢想だった。
本屋の駐車場に車を止めると、目の前の車の下に、白いものが動いていた。
猫だった。
俺をじっと見つめている。
俺は車を降り、猫に近づくと驚いて飛び出してきたが、
逃げることはなかった。
「くそったれ猫が」
猫は眠ってしまった。
その日でたったひとつ。
心が安らいだ瞬間だった。
