深夜三時 | 日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。

深夜三時

デーブルの上には、月給を上回るクレジットカードの請求書。


安物のウイスキーのボトル。
(飲んでも、酔っぱらわないな。くそったれ!)



おっさんがカリフォルニアでワインを飲み歩くという、ハリウッドリメイクの、邦画のDVD。
(劇中で、ピノだのカベルネだの偉そうに言っても、焼酎で言えば芋と麦の違いだろうという台詞で、俺は腹をかかえて笑った)



二週間前。


娘の母親から、電話があった。

「カードが引き落とされていないって、連絡がきたじゃない。何で口座に入金していない訳!
私の自動車保険が払えないじゃない!あんたはもう、私や娘がどうなろうと知ったとこじゃないわけね!私は働いてないのよ。手当だけで生活出来る訳ないでしょう!!」

「金がないんだよ。払える訳が無いじゃないか」

俺は、正直に言った。


なんてことだ。

娘の母親が使っていたカードは、一つだけじゃなかったのか。


俺は卒倒しそうになった。


金は無かった。

自転車操業だった。


俺は、ウイスキーを注ぎ、飲む。

いくら飲んでも、酔えはしなかった。


これは、絶望か。

それとも、希望、か?



別れる前に抱いていた、娘の母親に対しての、憎しみは消えていた。


俺は、娘の母親を許したのかもしれない。



そうさ。


俺は、誰も憎んでいない。



しかし、

疲れていた。


俺は、眠る事が出来なかった。


酔えば、眠れるだろうとおもって、安酒を飲んでいるのだが……。


もしも、眠る事が出来たなら、


そのまま、死んだように眠り続けたい。


それが、地獄だろうと、

天国だろうと。